井上:早速なんですが、今回のシングル「蛍灯」に込めたメッセージを聞かせてください。
KUREI:3/11の震災が起きてから作った曲で、自分たちでもなにかできないかなという想いから詞を書き始めてそれにISEKIがメロディをつけて完成した曲なんです。
井上:やはり3/11以降に作られた曲なんですね。
KUREI:そうですね。僕の地元である逗子もずっと停電が続いていて、夜はすごく真っ暗で、雰囲気や気持ちも暗かったんですよ。
でもどんなに暗い夜でも辛抱して頑張っていれば必ず明るい明日はやってくるんだよ。という気持ちを込めて歌詞を書きました。
井上:そのメッセージ性は強く感じましたし、「蛍灯」を聴かせてもらったときに応援歌というイメージが真っ先に浮かびました。
ISEKI:この曲はもちろんそうなんですが、自分自身を奮い立たせるのと共に、色々な人たち、例えば自分たちの曲を聴いてくれる方々への応援などをコンセプトやテーマにしている曲が他にも多いんですよ。
井上:それは二人のこだわりだったりするんでしょうか?
ISEKI:いや、こだわりというよりは自然にそうなっていった感じですね。
井上:この曲ももちろんアルバムに入るとは思うんですが、今回はそういった応援歌的なコンセプトやテーマになっているんでしょうか?
KUREI:実はそこだけに偏っている訳でもないんですよ。どちらかというと僕らが普段の生活で感じること、感じたことを詰め込んだアルバムですね。「LOVE+LIFE+LOCAL」というアルバムタイトルなんですが、愛だったり生きるということだったり地元だったり僕らを取り巻く環境の人々との繋がりのことを書いた曲が多いので原点に戻ったような感覚のアルバムだと思います。
ISEKI:僕らの自然な想いで作った曲たちを集めたアルバムだからそういう感覚になるんでしょうね。
井上:曲を作るときの担当はあるんですか?
ISEKI:基本的に歌詞をKUREIが書いて曲は僕が書いてという形ですね。
井上:その際にお互いに意見を交わしたりして作っていく感じですか?
ISEKI:そうですね。セッションの様な感じです。歌詞はこうだとかメロディはこうしてほしいとか意見交換しながら進めていきます。
井上:CDなのにすごくライブ感があるように聴こえるのも二人での意見交換から生まれているんですか?
ISEKI:僕たち二人の意見もありますが、それはキマグレンの制作チーム全員での意向も強いですね。歌詞や曲のクオリティも上がってきていますが、チーム全員でのバランスや役割分担が今すごく良いんですよ。インディーズ時代から含めるともう5枚目のアルバムなので良い部分も悪い部分もチーム全員でお互いの理解が深まった結果ですかね。今回のアルバムはそういった要素が集約されていると思います。
井上:先ほど地元の話が少しでてきましたがキマグレンは地元に対する想いや愛がすごく強いアーティストだと思うんです。お二人にとって重要な場所である逗子について少し聞かせてほしいです。
KUREI:実家が逗子にあって今でも二人とも逗子近辺に住んでいるのですが、やはりOTODAMA SEA STUDIOを始めたのは大きかったですね。今までは帰って寝る場所という意味合いが強かった場所でしたが、今は完全に生活にかかせない場所になったので。
ISEKI:僕も同じで元々地元は好きでしたが、OTODAMA SEA STUDIOを始めてからは完全に生活の中心の一つになってます。
井上:OTODAMA SEA STUDIOは「海の家ライブハウス」ということでキマグレンとしてのアーティスト活動だけでなく、密接にライブというものに携わるようになったと思うのですが、ライブの時に大事にしていることなどを教えてもらいたいです。
ISEKI:僕がシンプルに意識しているのはライブ前までの準備をしっかりすること、そしてライブ自体は気持ちで押し切る。どれだけ伝わるかどれだけ気持ちで持っていけるかというのを最近特に意識してますね。
井上:集中力とかもですかね?
ISEKI:そうですね。昔は結構散漫になってしまうことも多かったんですが、最近は集中力が高まったと思います。経験を積んで、良い意味での余裕も少しでてきたので長い時間集中力が持続できるようになったのが大きいかもしれないです。
KUREI:僕は特別心がけているという訳ではないんですが、とりあえず楽しむことですかね。音楽は音を楽しむと書きますがそれを純粋に楽しむって実は凄く難しいことなんですよね。ついつい固くなっちゃって楽しめないこととかもよくあるので。
ISEKI:あとはOTODAMAをやるようになってからイベント全体を大事に、楽しむことはできるようになってきたと思います。
井上:イベンター的な側面も持つようになったせいですかね。
ISEKI:出番とかはすごく意識しますよね。自分でイベントのブッキングをやったりしているので出番によっての役割を決めたりするじゃないですか。
KUREI:転換時間のこととか考えちゃったりね(笑)
井上:職業病ですね(笑)
ISEKI:そうですね(笑)
KUREI:1番目だったら特攻隊長的な役割とか、トリだったらイベントを締める役割とかそういう視線を持っているというは今すごく大きいかもしれないです。僕は1番目ってすごく好きなんですよね。野球で言ったら先発ピッチャーとしてまだ誰も足を踏み入れていないマウンドで投げられる喜び的な。
井上:トリよりも1番目が好きですか?
KUREI:トリは抑えのピッチャーの役割だからプレッシャーが(笑)
ISEKI:打たれたらその日のイベント全体の印象が悪くなっちゃうからね(笑)
KUREI:あと1番目だとお客さんの今か今かという期待感がウワーッと感じることができるので好きなんです。
井上:ライブに対するお話しを聞いてきましたが、エッグマンでの思い出ってありますか?
KUREI:とあるエッグマンでのライブの前に僕入院しちゃって、ドクターストップだったんですよ。でも無理して行きましたね。
ISEKI:この日のライブが僕たちにとって凄く重要なライブだったんですよ。それもあってすごくよく覚えてます。
KUREI:でもライブ中微動だにできなかったですからね(笑)しかもそのあとすぐに病院に逆戻りでしたから。
井上:かなりロックですね(笑)
ISEKI:相当ロックですよね(笑)
KUREI:あれはめちゃくちゃ印象的な出来事でした。
ISEKI:そんなエッグマンも今年で30周年ということでおめでとうございます!
井上:ありがとうございます!!
KUREI:30年ライブハウスを続けるって本当にすごいことですよね。OTODAMAをやり始めて続けていくことってすごく大変だなって実感してます。あと3年で10周年なんですが、30周年まで続けたら僕たちもう50歳超えちゃいますからね(笑)
井上:そこまで続けましょう!(笑)最後に、今後の音楽業界・エンターテイメント業界についての考えを聞かせてください。
KUREI:CDが売れなくなって、さらに着うたのダウンロードも減ってきて、一時期すごく増えたライブハウスが少しずつ減ってきているというこの不況の中で、今耐えて耐えて残った物が次の時代の新しい扉を開くんじゃないかなと思います。音楽がなくなることはあり得ないと思うし、音楽を必要としているユーザーはいなくならないと思うんです。手に入れる形がCDからダウンロードと変わってきただけで、次の時代のエンターテイメントという物は生まれてくると思います。ライブハウスに行かないとCDが買えないという時代が来るかもしれない。そしたらライブハウスの環境をもっと改善しないといけないですよね。僕個人の考えではパソコンなどではなくアナログでリアルな現場が大事になってくんじゃないかなと思います。
ISEKI:僕は今までと実は変わらないんじゃないかなと思ってます。結局最終的には本物しか残らないと思うんです。歌が最強にうまいとか歌詞が最強に良いとかライブが泣けるとか盛り上がるとかなにか突出した特徴がある本物だけが残るというのは間違いないですよ。音楽って簡単じゃなくて、怠けたり音楽に対して誠実に向き合えないと残っていけないですよ。「旬」っていうのもすごく怖くて、やはりそれはすぐに消えてしまいますから。「鉄板」にならないといけないと思います。常に切磋琢磨して色々なアイディアや新しい物を作ってそれを伸ばしていけないと今もその先も残ってはいけないんじゃないかなって思いますね。僕と井上さんのイベントである「INOUEISEKI」が開催決定し、姉妹イベント「TAKAHASHIKUBOTA」も決まったので今年も益々盛り上げていきましょう!
KUREI&ISEKI:これからも宜しくお願いします!!
井上:キマグレンもOTODAMAもエッグマンも切磋琢磨してこれからも頑張っていきましょう!今日はありがとうございました!
KUREI&ISEKI:ありがとうございましたー!