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パスピエ
- SPECIAL -

パスピエ

印象派クラシックからのインスピレーションだというなんとも前衛的なバンドアンサンブルにさらりと香る歌謡的メロディーセンスとフュージョン感、サブカルポップカルチャータッチなビジュアルアートワークをまとった未確認多面体、名を「パスピエ」という。 新旧和洋、多くのクロスオーバーを感じる新鮮なサウンドで話題となったシングル「フィーバー」、配信シングル2タイトルを経て、今回ファーストフルアルバム「演出家出演」をリリース。 デビューから今作まで、普段バンドの発信源として矢面に立つことの多いフロントマンを支える楽器隊。 本誌では今回、やおたくや(Dr)、三澤勝洸(Gt)の側面から切り取った、バンドのアナザーストーリーを紹介。

interviewer:鞘師至

–今作「演出家出演」の各曲を聞いても、ライブでのプレイを見ても、パスピエサウンドの”前線で攻めてる感じ”が成り立つのはやおさん(やおたくや)や三澤さん(三澤勝洸)のロックな側面が下地となっている印象なんですが、お二人の音楽的なバックグラウンドはどんなものですか?

■やおたくや(Dr / 以下”やお”): 僕はもっぱらJ-POP/J-ROCKですね。中学校時代にBUMP OF CHIKENやASIAN KUNG-FU GENERATIONにかなりの衝撃を受けてコピーバンドを組み始めたのが音楽への入り口です。高校から吹奏楽を経てバンド生活に移行していきました。パスピエのメンバーは学校や出身はバラバラなので音楽のバックグラウンドは皆それぞれです。

–自分もそうですが地方だと中学時代くらいまでの音楽的リソースって、テレビが全てみたいになりますよね。

■やお: そうですね。俺はCOWNT DOWN TVでしたね。 正にCDTVでバンプの天体観測を初めて聴いて、そこからのバンド人生です。 音楽的な勉強という意味でジャズとかフュージョンとかも聴きましたけど、音大や専門学校に行ってる訳でもなかったので。活動的にはひとりでライブハウスやスタジオにメンバー募集の紙貼りにいってメンバー集めて、バンドを組むところから始めていった、っていう感じですね(笑)。

■三澤勝洸(Gt 以下”三澤”): 僕は元々hideを聴いてギターを始めて、そこからMETALLICA、イングウェイ(イングウェイ・マルムスティーン)とかを聴きながらYOUNG GUITAR (HR/HM中心のギター専門誌)を愛読してたような、いわゆるギターヒーローのファンでしたね。その後はやおと逆で専門学校に通っていた際にジャズ、フュージョンを習ったきっかけで、もっぱらそっちにハマっていきました。その後、改めて邦楽を聴くようになったタイミングで成田ハネダ(key.)に出会って、パスピエを始めました。

–パスピエ以前にもそれぞれバンド活動を?

■やお: やってましたね、当時は5〜6バンド掛け持ちしたりして(笑)。

–フレーズの玄人感はそのキャリアが故なんですね。 落ち着き、といいますか。

■やお: 音のまとまり、差し引きなどは成田の業ですね。 僕等みたいなそれぞれ全然違う要素のメンバーが集まって多方面から出し合ったアイディアを最終的にまとめ上げるのはけっこうな作業だと思うんですけど、それを成田が毎回ひとつの軸がブレないように配置していく結果、浮ついた感じにならずに聞こえる曲が出来上がってるんだと思います。

–一曲一曲、複雑な楽器アンサンブルですが、作曲はメンバー全員で?

■三澤: けっこう綿密に作り込むので、いきなりスタジオセッション一発で始めるんではなくて曲を成田が書いてきて、それに対してのアレンジを皆で取り組んでます。 それでも今回のアルバム「演出家出演」に収録されてる曲に関しては、ライブでの再現性に重きを置いて作っていったんで、スタジオで合わせて皆で作る作業を積極的にやっていきました。

■やお: 曲への理解とかを含めて、メンバーの結束は強くなってるんで、信頼してますし、昔より今の方が曲作りがしやすいですね。

–元々はどこにでもいる地元のバンドマンのひとりだったのが今やプロミュージシャン。 デビューしてから今までで自分を取り巻く周囲の環境は変わりました?

■三澤: 僕の場合は周囲というよりは、自分のミュージシャンとしての自覚が強くなりました。 ライブ一回一回、「絶対いい演奏してやるぜ!」的な。

■やお:デビューしてからいろんなスタッフさんと一緒に仕事をしていくに当たって、多くの苦労の下に成り立ってるっていうのを実感して気が引き締まりましたね。色んな協力者がいてこそだから、自分達ももっとがんばらなきゃな、って。 自分達に出来ない事を担ってくれる人がいるから、その分音楽に集中できるし、こういうインタビューとかキャンペーンとかも出来る限りやりたいと思ってます。

–取材とかキャンペーン、辛くはないですか?

■やお: 全然楽しいですよ!いつもは成田と大胡田(Vo.)だけいいな〜って(笑)  2人には負担をかけてしまってるから大変だなあと思いますけどね。 だから俺達にできることはやりたいし、メンバーそれぞれの個性がもっと出せるようになれたらいいなと思います。

–メンバーの個性、一番色濃く出るのがライブだと思いますが、リリース後レコ発イベントも決定してますね。しかもナイスキャスティング。

■やお: そうなんですよ。 東京と大阪で僕等企画の2公演。 共演のthe band apartには当時出会ってすぐにベースの原さんがバーベキューに誘ってくれたり、かわいがっていただいてまして、当時成田がなんとなく「いつか一緒にライブできるようになりたいです」的な事を言っていたんですが、まさかこんなに早く実現させてもらえるとは。

■三澤: 出会いに感謝ですよね、ほんと。 自分達のステージに関しても今回のアルバムがライブを意識して作ったものなんで、早くライブでやりたいですね。

–結成当時、こんな飛躍想像してました?

■やお: 具体的にはイメージできてなかったですけど、それでもしっかり夢見てましたからね。メジャーでやることも、でかい会場で尊敬するバンドと一緒にライブすることも。 「もしかしたら!」っていう可能性にわくわくしながらここまでやってこれました。 今は「演出家出演」をリリースしてからのレコ発ライブへ向けての期待と良いプレッシャーが半端ないです。 地元の友達とかも「ラジオでパスピエの曲聴いたよ!」みたいな連絡をくれて、ありがたいことにすごく応援してくれてたり、三澤の家族はよくライブに来てくれてたり、いろんな人達が見ていてくれるからリリース後ももっとがんばらなきゃなと思ってるんで、これからもパスピエをよろしくお願いします。