——まずは結成10周年でのフルアルバム「・・・」リリースおめでとうございます!
藤森元生(以下、藤森):ありがとうございます!ようやくです!
——聞きたいことが沢山あるんですが、、、、
藤森:あー、もう全部答えますよ!
——まず、結成10周年についてなんですが。ありきたりな質問になってしまいますが、振り返ってみていかがですか?
藤森:10年経ったかーって感じですね。率直に。
——10年前というと、、、
藤森:ちょうど20歳の時ですね。そこからひっどいライブを2、3年やってまして(笑)。そこからなんとかデビューして、そこからも切磋琢磨して今があります。短いと言えば短いし、でも思い出してみれば色んなことがあったなーと思うので、長かったんでしょうね。
——結成10周年の「・・・(読み:テンテンテン)」。前回の「cue」にも色んな意味合いがこもってましたが、今回はどんな意味を込めてこのタイトルにしたんですか?
藤森:前回が9周年で「cue(読み:キュー)」だったので、絶対に「テン」って使わなきゃなって思っていました(笑)。
それと、僕らメンバーが3人なので点が3つあることと、僕ら30歳になるので、点(10)が3つで合わせて30って意味も込めています。
あとは、「…」って話が続いていく時に使われるじゃないですか。まだまだこれからも続いていくよって言う意味合いも込めてこのタイトルにしました。
——なるほど!深いですね!
そんな今作はタルト移籍後初のフルアルバムとなっていますが、どんなアルバムになっていますか??
藤森:良い意味でいつも通りです。いつもベストアルバムのつもりで作っているんですが、今回も今まで通り「SAKANAMONのアルバム」が出来たなって思っています。
——じゃあその中身を一曲ずつ聞かせてください!まず、今回のリード曲になっている「ロックバンド」。この曲をかくことになったきっかけ等教えてください!
藤森:これは10周年の今回のアルバムを作って話になった時に、一曲目にこういう曲があったらいいなって思って書きました。
10周年迎えられるなんてやっぱりなかなか考えても来なかったことなので、ここでしっかり向き合ってみようって思って。そしたら「続けていくこと」っていうことの意味について深く考えていきましたね。
——聴いているこっちも1曲目からとっても感情的になりました。
藤森:本当に個人的なことなんですけどね。この先どう転ぶかなんて誰にも分からないけど、とにかく転がりながらでも良いからずっと前進し続けられたら良いなっていう僕らの願い。決意。意思表明の歌であり、そんなアルバムです。
——今までのSAKANAMONとはひと味違って、良い意味で期待を裏切られた感じがありました。
藤森:そう思ってもらえるのも嬉しいですし、その逆の感情もまた思ってもらえたらなって思っています。このアルバムで僕らのことを知ってくれる人にとっては、「こういうバンドなんだ」って思う象徴になるだろうし、今までの僕たちを知ってくれてる人にとっては意外な一曲だとも思ってもらえるだろうし。
「ロックバンド」ってタイトルもなかなかつけないですもんね。「テヲフル」もそうでしたが、最近真っ直ぐにかく曲も少しずつ増えてきている気がしますね。
——なるほど。そして「STOPPER STEPPER」。SAKANAMONだなって感じですが、その中でも新しいテイストがまた組み込まれていますよね!
藤森:そうですね。お洒落な曲を作ってみたかったんですよ。言ってることはスタンダードな感じなんですがダンスよりなテイストで書きました。
——言葉の語呂やリズムが凄く心地いいですよね。
藤森:一番意識してることですね。なるべくメロディーにあった言葉を選ぶようにしているので。それでも意味はしっかりと持たせたいのでいい塩梅を目指していますね。
実は「cue」の制作時期に作った曲なんです。ただ前回のアルバムのテイストにはしっくり来なくて、今回の収録にしたんですよ。
——ライブ映えもしそうだし、楽曲で聴くにしても心地いい楽曲ですよね。
そして続いて「乙女のKANJOU」。またこれ。これ!すっごい曲ですね、キラーチューン(笑)
藤森:これはもう完全にイメージ先行の曲ですね(笑)。チンチロリン(※1)のことをかきました。
——遊園地みたいな曲ですね(笑)。入りそうなものを全部入れてみたぜ、みたいな。
藤森:そうですかね(笑)。「テスラは泣かない。」の村上学くんから連絡がきて、「乙女のKANJOUが好きなんだけど、あれどうやって作ったの?」って言って貰えましたね(笑)
——なんでこの曲を作ろうと思ったんですか?(笑)
藤森:なんでですかね?(笑)基本的には思いつきなんですよ。毎回アルバムを作り終わった時に空っぽになるので、そこからなんか面白い事ないかなって探したら、これに辿り着いたって感じですね。巡り合わせです。
しいてきっかけというのであれば、「カイジ」という漫画で地下でチンチロリンをやっているシーンがあったのでそこからですかね。
——漫画好きなんですね!
藤森:そうですね。カイジやジョジョの奇妙な冒険とかHUNTER×HUNTERとか好きですね。ジョジョに関してはジョジョをテーマにした曲も過去に書いたりしました(笑)。好きなものを歌詞にしたいんですよね。
——そして「DAVID」。この曲も今までのSAKANAMONに新しい要素が入ったイメージですね!
藤森:元々はこの曲もお洒落なもの作りたいなって想いからですね。あと、今回コラボさせてもらったTENGAさんの楽曲の候補曲としてのイメージも持たせていました。洋楽っぽいテイストも持たせつつ。
結果として「DAPPI」が選ばれて、この曲のテーマを考えていたんですが、東京オリンピックに向けて海外の型とすれ違うことも多くなるだろうから多国籍感のある曲を書いてみようかなと思って。
——なんか、元生君が曲をかこうという衝動が凄いですね!本当に普段ナチュラルにインプットしているものが形になってるんですね。
藤森:あーでも基本的にそうかもしれないですね。自分でテーマを選んで作っていくってなると、やっぱりこういう面白そうなものになっちゃいますね。
——なるほど。そして次の曲もその「面白そう」を貫いた曲ですよね!
「SYULOVER」!!
こちらコラボ曲となっていますが、ずばりお相手はどなたですか!?
藤森:Czecho No Republicのタカハシマイさんと、東京カランコロンのせんせいです!
——おー!素晴らしい!羨ましい!
藤森:いやー、やっぱ自分を奪い合われたくて(笑)。夢じゃないですか!!!!
こういうの好きなんですよ!「これあたしのー!」とか言われたいんですよ(笑)。
——それを曲にできてしまうのが素敵ですね(笑)
藤森:いやー、もうレコーディングも楽しかったですね。またこういうのやりたいなーって。女性の声が自分の楽曲に入ってくるのってやっぱり新鮮だし、デュエット曲が純粋に好きだなっていうのもあって。
今回は初の3人で楽しかったので、次からもっとどんどん人増やしたいですね(笑)
——最終的にはSKN48とかやりたいですね!!
藤森:ですね!!オーディションから始めたいですね(笑)
——それ楽しみにしてます!(笑)
そして、「凡庸リアライズ」。こちら森野さんの作曲になってますが、久々の共作になるんでしょうか?
藤森:そうですね、森野さんが書いた曲はこれで3曲目になりますね。僕はとってもこういうの楽しいです。女性とコラボすることもそうですし、新しい遺伝子みたいなものが入ってくる感じが。
今回は割とタイトなスケジュール感で曲をかいたんですが、その中で森野さんがこの曲を持ってきてくれたので、「やろうよ!」って話になりましたね。
——人の曲に歌詞を書くのって難しくないんですか?
藤森:僕はテーマさえあれば大丈夫ですね。この曲に関しては「完成形目指していた」というフレーズがデモ段階からあったんですよ。多分彼の本音だったと思うんですが、彼はいつも曲を持ってきてくれる時にまだ自信を持ててない印象があるんです。彼が完成させたかった気持ちを代弁してそのまま歌詞にしようと思ったんですよね。
——元生君もこの曲の歌詞のような感情になることってあります?
藤森:理解はもちろん出来ますね。だから感情移入も出来ますが、なにより森野さんがこういうこと思ってるんだろうなっていうのがすごくわかります。だから代弁出来たというか。
——10年一緒にやってる訳ですもんね。だから、ある意味友情ソングみたいな所もありますよね!
藤森:そうかもしれないですね(笑)。「表現出来ない!」ってことを代弁してます。
——そして「テヲフル」。やっぱり何度聴いてもいい曲ですね。
藤森:やっぱり今までとは違いますよね。ストレートなバラードを今までやってなかったので凄く新鮮だと思います。直球がしっかり響いてる感じがします。
——この曲もちろんメロディーや歌詞もさることながら、構成もとっても素晴らしいなって思ってるんです。しつこくないし、それでもしっかり程よく焦らしもあって次のセクションが楽しみになるというか。
藤森:実は凄くこだわった部分なんです。僕しつこいのは嫌いで、楽しいのは最後にとっておきたいタイプなので、そういう部分が出たのかもしれないですね。そして飽き症なので長ったるいのも嫌なんです(笑)
——また新たなアルバムに収録されると、前後の関係値も違うから、また別の感情と言いますか、作品の中での役割も変わってきますもんね。
藤森:そうですね。今回「テヲフル」の置き場所はすごく悩みましたね。
こうやってアルバムに並べてみると「ロックバンド」もそうですが、異彩を放ってるなーって思いました(笑)
——僕にとって「ロックバンド」が意外性があったので、2曲目の「STOPPER STEPPER」が流れてきた時に、SAKANAMONらしさを感じて安心感があったんですが、そこから聴き続けて「テヲフル」が流れてきた時はまた違った新しい安心感を感じました。
藤森:新しい安心感。あるかもしれないですね。
——そして、「反照」。こちらはどういう曲でしょうか?
藤森:この曲は僕の中では結構な挑戦でしたね。要は「物語」なんです。男女がいて、そこの淡い青春がテーマになっているんですよ。僕はそういう経験をあまりしてこなかったので、チャレンジでしたね。
話のシチュエーションは夏で、少年少女達が夏休みの最後に遊んでいて、通り雨が降ってきたっていうシーンです。
雨で葉についた雫や道に光が反射してきらめいて見えたんですが、実はきらめいて見えたのはそうではなくて主人公の目に涙がたまっていたからなんじゃないかって皆に思って欲しい!(笑)
——夏の曲をこの時期のリリースに絡めてきた意図はあるんですか?
藤森:ないですね(笑)。曲としてよかったから関係ないやって思って選びました!
——なるほど(笑)。そしてそこに続くクリスマスの曲ですね(笑)。斬新(笑)!
藤森:急激な寒暖差ですね(笑)
クリスマスソング好きじゃないんですよ。というのが、過去にスーパーで働いていた時にお店のBGMでこの時期はずっとクリスマスソングが流れてたんです。「みんな浮かれやがって!キラキラしやがって!」って思ってたんですよ(笑)
そんな中で自分が好きって思えるクリスマスソングを書いてやろうって!クリスマスに対する皮肉も込めつつ、ケーキを売っている女の子のあざとさも簡易ながらもちょっと好きだよそういうの、みたいな曲ですね(笑)
——これは男子は共感出来ますね(笑)これはこのアルバムの為に書いたんですか?
藤森:これは2016年の冬ですね。ソロ名義で弾き語りライブをする機会があって、その時にただSAKANAMONの曲を一人でカバーするだけなのもなーって思って書いた曲なんです。それを今回バンドでアレンジし直しました。
——そうなんですね!1年越しの音源化ですね!
そして、今回TENGAさんとのコラボ曲になっている「DAPPI」について聞かせてください。
藤森:本当にひょんなことから今回の話になったんです。SAKANAMONとTENGAさんのイメージや趣向のようなものが合うんじゃないかという話になって、10周年の「10(テン)」とTENGAの「テン」をかけました。なので、敢えて「コラボ」というワードを使わせてもらっています。
MV撮影もTENGAさんとコラボで作らせてもらったので、これも本当に楽しみにしてて欲しいですね。
——「DAPPI」というタイトルも絶妙ですね。
藤森:一皮むけようぜって。
——どういう曲ですかって聞く必要がないですね。
「DAPPI」もそうですし、「ロックバンド」もPV公開もすごく楽しみですね!
藤森:そうですね!撮影してても楽しかったですし、完成が本当に楽しみです!
併せて、今、ファンの方達の協力もあって映画の作成も行っているんです。
これは本当に新しいというか初めてのことなので、なんというかどうなるのかまだはっきり見えていないんですが、でも撮影過程で楽しみだなと思える要素が既に沢山ありますね。
——そして、リリースツアー「延々々」が始まりますね!
藤森:そうですね。今回初めてワンマンでいく土地もありますし、ワンマンツアーでこのスケジュール感も初めてなので凄く楽しみにしています。
——ツアーファイナルはZepp Tokyo!
藤森:いやー、どうなるんでしょうね。怖さもあるし。
——映画の撮影もありますし、ただのリリースツアーではないですね。
藤森:そうですね。今回TENGAさんとのコラボもありましたし、Zeppでの面白い演出面も考えているんですよ。まだ詳しいことは言えないですが、何がどこまで出来るかは動員次第ですね(笑)!よろしくお願いします!(笑)
——それでは、CDを手に取ってくれる方、ツアーに足を運んでくれる方にメッセージをお願いします。
藤森:長いこと楽しめる作品になっていると思います。絶え間なく今までもそうですが、これからも誠心誠意こめて作品を作っていきます。
来年は10周年なので我々もそうですが、皆さんもテンション上げて下さい(笑)
そしてぜひライブをみにきてください!
——ありがとうございます。
じゃあ、最後になりますが、、、、、
元生君にとってTENNGAとは!?
藤森:昔、エジプトにとある神様がいたんですよ。。。
——(!?!?!?!?)
藤森:その神様は周りに誰もいなくて一人ぼっちで過ごしていたんです。一人なのにどうやって子孫を残したかというと、、、、
——えと、危なそうなので、質問変えますね(笑)
最後になりますが、今回の作品を漢字一文字で表すとしたらなんでしょうか?
藤森:「十」ですね。
10周年だからというのはもちろんですが、これからまだまだ自分達に色んなものをプラスしていくという「+」の意味も込めています。
——これからの活動も楽しみにしています!
※1)日本の大衆的な博戯(賭博・ゲーム)の一種。