—ミニアルバム「GUZMANIA」リリースおめでとうございます!
藤森元生(以下:F):ありがとうございます!
—久しぶりのCDリリースですよね?
F:そうなんです!今年の頭の配信リリースはあったんですけど、CDとして出すのは久しぶりですね。
—CDのポイントともなるジャケットには日本を代表するアニメーション・絵本作家の「山村浩二」氏による書き下ろしのイラストが使われているんですよね!
F:昔から山村さんの絵が好きで、なんとかアポをとってお願いしたんです。もともとSAKANAMONを始めた時からこの人の絵みたいな曲が描きたいなって思っていて、その当時からいつか山村さんにジャケット描いてもらえたらなって思っていたので、今回それが叶って本当に嬉しいです。このシュールでポップなイメージが本当にバンドのイメージそのものなんですよね。
—今回その待望のジャケットもそうなんですが、中身もかなり豪華な内容になっていますよね。Live Takeの音源が入っているとはいえ10曲入りですもんね。
F:今回のリリースにたどり着くまでにかなり待たせしまったという思いがあって、少しでもボリュームのあるものにしたいなって。本当はもっと入れたいくらいだったんですけど、厳選してこの曲数になりました。
—中身についても聞かせてください!M1.「並行世界のすゝめ」こちらについて聞かせてください!
F:今年に入ってからかいた曲が今回新録の6曲のうちの半分入ってまして、M1.2.6がそうなんです。この3曲ってやっぱり去年とモードが違うんですよね。去年10周年のイベントが終わってから、今後のことを悩んでいたんです。これからどうしていこうかって。
色々みんなで考えたりお客さんからのリクエストを取る形のライブをさせてもらったりいろんな声を聞かせてもらったのが結果的に本当によくて、自分たちがこれからどうしていこうっていうのが明確に見えたんですよね。みんなの世界観を肯定するような曲たちがやっと書けたなって。
この「並行世界のすゝめ」っていう曲はそういう思いを強く詰め込めたと思います。
—そしてこちらも今年に入って描いた楽曲ですね。M2.「SECRET ROCK’N’ROLLER」。
F:これは一番最近にかいた曲ですね。この曲は歌詞のテーマに少し悩みましたね。そしたらメンバーから「ライブのことを書いたらいいんじゃないか」って意見をもらって歌詞を書き上げました。
—メンバーからヒントをもらって歌詞を書くって珍しいんじゃないですか?元生くんってその瞬間のインスピレーションとひらめきで書いていく印象が強いから、誰かからテーマをもらって書くって印象がないですね!
F:いや、そうなんですよね。最初は“お酒飲んで女の子を口説く”みたいな合コンの曲にしようかなって思ってたんです。そうじゃなくてもシリアスな曲が多かったので少しふざけた曲にしようかなって。そしたら、そこまでふざけなくてもいいんじゃない?て言われて。それで最初のイメージより少し正当というかメッセージを込めましたね。
—これもライブが楽しみな曲ですね。
F:そうですね、アクティブな方には騒いでいただけるんじゃないかと思います!
—歌詞の中であえてアルファベットを使わずにカタカナにする意識ってあるんですか?
F:なんとなくなんですが、そういう方程式が自分の中であるんですよね。そもそも僕の歌い方がカタカナ英語だっていうのもあるし、英語なんか喋れないのにアルファベットにするとスカしてるなーって自分に思っちゃうんですよね(笑)横文字で書いてんじゃーねよって(笑)
—なるほど(笑)でもその分親近感が湧くなって思いますよ!
F:あ、ほんとですか!それはよかった(笑)
—M3.「箱人間」についても聞かせてください!
F:これは昨年出したドキュメンタリー映画の主題歌です。これは納得のいく形にできたなって思っています。映画を撮り始めた時にはまだなんの原型もなかったんですが、撮影が進んでいきつつもライブもやって10周年をみんなにお祝いしてもらっている中でいちばんに感じた「感謝」の気持ちを書きました。SAKANAMONで少しずつ繋がってる皆さんとかき集めたこの気持ちを大事にしていきたいなと。
—本当にいい曲ですよね。「日々を疲れよう」っていうところ特に好きです。バンドをやってるときっとこういう気持ちになるし、逆にバンドがこう言ってくれるなら応援してくれているお客さんは救われたりもするんだろうなって、この曲を聴きながら思ってました。
F:だといいですね。リリースもなかなかできなかったりで、気持ちをすごく拗らせてしまってるんじゃないかなって思うんですよね。そう思ってくれる人がいたらいいな。
—そして、M4.「YAMINABE」
F:これも去年作った曲ですね。これからどうしていこうって自問自答を繰り返しながら作りました。少し前からラップっていうアイディアではあったんですが、なかなかやる勇気がなかったというか、小っ恥ずかしいなって。でもやっぱり一回チャレンジしてみようぜって!
—やってみてどうでした??
F:いやーーーー、、、、、、やっぱこっ恥ずかしいですね(笑)
—SAKANAMONって何をするのはアリで、何かをするのは無しでっていうのがなくて、この曲をどうしていくのがいちばんいいのかを考えるってスタイルあるじゃないですか。必要なら取り入れていきたいって。その話をしてくれたのが多分2年前くらいのインタビューの時だと思うんですけど、その時にも少しだけラップの話も出てましたよね、確か!
F:そう、よく覚えてますね!まさにあの時くらいからアイデアの1つとしてはあったんです。実際にやるってなったのが急だったのでレコーディングをするまでに悩みましたねー、どのテンションでいけばいいんだろうって。スタイルがなかったので(笑)
—歌詞に関してはどうでした?
F:歌詞に関しては韻を踏むことに関してはわりと自信があったので、ラップの歌詞に関しては結構スムーズに持っていけましたね。
—11年目のチャレンジですね、これからまた新しいチャレンジをしていくにもハードル上がっていきますね!
F:そうですね、今回は込めたいメッセージも割と明確だったし曲はスムーズにかけたんですけど、“新しいことを取り入れる”ということに関してはかなり苦労したので次は恐ろしいですね(笑)
—そしてこちらも去年作曲組ですね、M5.「BAN BAN ALIEN」についても聞かせてください。
F:これはどう言えばいいかな(笑)周りにいる空気の読めない人を「ALIEN」にたとえて歌った曲ですね。誰にでもいるんじゃないかなって、こういう人。
この曲は今回のアルバムに向けて書いた曲の中ではいちばん早い段階で作ってましたね。今年の頭の配信リリースの曲たちと一緒の時期に。
—前回のインタビューがその配信リリースの時だったんですが、その際にもすごくさまよっているという話をしていましたよね。当時と今とでは気持ちの面もだいぶ変わったと思うんですが、その時のこの曲を今聞いてみてどうですか?
F:そうですねー、なんか、、、うん、、変だなーって(笑)いや面白いとは思いますけど、癖があってね(笑)「YAMINABE」もそうですけど去年組は癖があっていいなって思いますね。ひねくれ感が強いなって。
常に波があるんですよね。「テヲフル」「ロックバンド」「箱人間」っていい曲をかくことができたからこそうまれた「YAMINABE」「BAN BAN ALIEN」なんですかね。もっというとまたこの2曲をかけたから「並行世界のすゝめ」をかけたんだと思いますし。
—そして今回のリード曲のM6.「矢文」!
F:僕ら意外とこういう曲やってこなかったなって。アイリッシュ感のあるフォークソングは挑戦したかったんです。
歌詞に関してはヒーローとヒロインの間に生まれる恋心じゃなくても、この2人のこと好きな人がいるんだぞっていう目線を歌にしたいなって思ったんです。そしてそういう人は勇気がなくて直接言えなくて、手紙にして遠くから渡すしかないってなったら「矢文」という答えに行き着いたんですよね。
—この曲はきっかけになりような景色とかストーリーが何かあったんですか?
F:特にこれといってなかったんですが「モブ」が主人公になるような曲は書いてみたかったんですよね。それが僕の中でこの曲にハマったんですよね。そこに昔のアナログ感を混ぜていい感じにまとまったかなって思います。
—これにプラスして4曲のLive Takeを収録した10曲入りで「GUZMANIA」になるわけですが、このタイトルの所以を教えてください。
F:2、3年前に観葉植物園にいったんですが、その時にグズマニアという花をたまたま見つけたんです。ジャケットのデザインもそのグズマニアをリファレンスして擬人化してもらってるんです。擬人化?擬魚化?(笑)
そもそもそのグズマニアという名前に惹かれたんです、SAKANAMONにぴったりじゃないかなって。そしたら花言葉もまたぴったりで、「いつまでも健康で幸せに」なんですが、10周年を終えた僕らがまた長く続けていけますようにって願いもそこに込められるなって。あとこの花自体が明るい日陰で育つんですよね。ネガティブなことをポジティブに消化していく僕らの歌詞の世界観にもハマるなって。そんな風にリンクするところがたくさんあったのでこの名前にしました。
—なるほど!そしてこのミニアルバム「GUZMANIA」のリリースツアー SAKANAMON ver.11-12が開催されますね!今回は12箇所で渋谷eggmanからのスタートでファイナルが渋谷CLUB QUATTRO!
F:東京スタートで東京終わりにしたの初めてなんですよね。楽しみですね。
—スパンとしても長めですよね。詰まってないないというか。
F:そうですね、一本ずつの期間がしっかりあるツアーなので完成度の高いものになりそうですね。いかんせん今の他の新曲たちはまだライブに向けての詰めはしていなかったり、ここ最近の新曲たちはどんどん難しくなってきているのでこのスパンは本当にこの作品のためのスケジューリングとしては最適かなと思います。ただ、ガンガンいきたい気持ちもありますよね、勢いでぐんって行きたいなって。勢いもしっかり忘れずに準備もしっかりして挑みたいなと思います!
—今回の新録の6曲が中心になったセットリストが組まれるんだと思いますが、他にはどういう楽曲を入れて行きたいとかイメージはありますか?
F:リクエストワンマンをしたので皆様の趣味趣向がある程度わかってきたので、それを参考にしたいなと思います。僕らも皆さんも納得いくものをが作れるんじゃないかなって。
—リクエストワンマンやってみての意義性とかありました?
F:いちばん感じたのは、僕たちに求められてるのはやっぱりギターロックなんだなっていうところですね。もちろん打ち込みの曲も人気ではあったんですけど、トップに出てくるのはスタンダードな疾走系ギターロックでしたね。
あとはアルバム曲の中で全然ライブではやらないのにこの曲の良さに気づいてくれてたのかって思えたこともありましたし、嬉しかったですね。ちゃんと聞いてくれる方たちなんだなってこともしっかりわかったので、これからは細かいことは気にしないで曲作りしていけるなって思えましたね。
—今回のリリースツアーに向けて、きてくれる方々へメッセージをお願いします!
F:最近ライブがいい感じになってきたと思うんです。リクエストワンマンをできたからというのもあると思うんですが、そこから確実にいいライブができるようになってきている自負もあります。今回のライブもきっといいものになると思うしみんなの期待を裏切らない僕らになれているので是非みにきてください!
—最後になりますが、今回の作品を漢字1文字で表現するとしたら何ですか?
F:「対」ですかね。表と裏とか、隠と陽とかそういう両極端なものを言いたいので。悩んでいる時から前に進むまでの僕たちが詰め込まれた作品なので。
—ありがとうございます!