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showmore interview
- SPECIAL -

showmore interview

2人編成になって以降、ボーカルのオリジナリティーは更に引き立ち、楽曲の時代性との接点面積は、より絶妙にミリ単位で調整され自分たちにふさわしいポジションを的確に押さえ始めたスムースミュージックの最先端。 showmoreの最新作品は、同じく2019年の感覚を持ちつつ背景にはがっつりSOUL, R&Bを背負ったシンガーZINがshowmoreをフィーチャリングとして迎えた共同制作シングルだ。 お互いの照準をジャンルを飛び越え歌の側面から合わせたというこの曲は、シンプルに歌声と歌詞が胸に突き刺さるラブソングの裏側で、絶妙な仕事をこなす楽曲のエッセンスもハイレベル。 ゆったり聴ける上にいろんなフレーズが耳に残っていく上質なバラードだ。

Interview & Text : 鞘師 至

– この『in the mirror』では、TOKYO CRITTERSでも活動するシンガーZINさんの曲へのフィーチャリングとして参加してますが、僕以前に何かのライブで既に聞いたことがあるような…

■井上惇志(Key) : それこそZINくんのリリースパーティーワンマンにゲストで出演した時にやったんですよ。

– あぁ、そうだ!あの場にいた人たちは真っ先に聴けてた訳ですね。

■井上: 去年の12/11@eggmanですね。その少し前にZINくんから「feat. showmoreで曲を作りたい」っていう連絡をもらってスタジオに入ったんですけど、大枠は割とサラッと出来ちゃったんですよね。 それでそのライブで初お披露目して。

ー なるほど。 しかしこうやって歌詞を見ながら改めて聞いてみると、まぁ切ない事…胸が苦しくなる心地よさみたいな、恋愛のMにグサッと突き刺さる曲ですね。 

■根津まなみ(Vo) : この曲はZINくんと半々っていうか、一緒に書きました。 1番を私が書いて、2番でZINくんがアンサー的に書いて。 メロディーに関しても、サビをZINくんが持ってきて、Aメロとかは一緒に作っていきましたね。 

ー そう言われてみれば、サビのメロディーはZINさんっぽい感じしますね。

■根津: そう、showmoreのクセとはまたちょっと違った独特の感じが出てて、全体通していい感じに私たちとZINくんの感覚が混ざったと思います。

ー 確かに。 平メロはshowmoreらしいし、ハイブリットですね。 歌詞は先に根津さんが1番を書いて、との事ですが、この切ないストーリーはまた根津さんの過去の経験からでしょうか…?

■根津: これはね、友人の話を聞いて書いた歌詞です。

ー そうでしたか…(笑)、いや、作品出す度に実体験だったとしたら、どれだけの数切ない恋愛をしたきたんだろう…と心配になりまして(笑)。

■根津: そう思いますよね(笑)、曲書くごとに過去を切り売りして… でも最近は人の過去を吸い上げてよく歌詞にしてるんですよ(笑)。 今回もその人の話がすごく良くて。 すっごい切なかったんですよ。

ー 楽曲の温度感と歌詞に漂う湿度的に過去作『unitbath』と近いポジションの曲だな、と。

■根津: あぁ、そうですね。 ただどちらかと言えば今回のほうが私的には綺麗、美しいというか明るい描写だと思いますね。 お互い別々の道に進むための別れ、というか。
■井上: 僕も『unitbath』と近いな、とは思ってたんですけど、『unitbath』は同じ場所で堂々巡りをしてる感じ、今回の『mirror』は終わったっていうのが分かってる感じ、って言えばいいのかな。 どちらにせよ超切なくて良いんですよね。

ー ”未来がもう別々のものでも なくならないの 二人の時間は”、これは本当そうだよなぁ〜と思ってしまいました。 別れてもちゃんと自分の中には思い出が堆積するものですよね。

■根津: そうなんですよね、私の経験の中にはそうやってちゃんと残っていく良い恋愛と、そうじゃない悲しい恋愛と、両方あったからこの友人の話を聞いてリンクする部分と、逆にそうあってほしいっていう願いの部分に気持ちを照準合わせて書きました。 しかもこの話、ロケーションも超美しいんですよ。 空港での別れ、っていう。 2人がしばらく会えなくなる事になって、お互いがんばっていこうね、っていう話をするのが別れの最後の最後、空港っていう。 もうドラマじゃん、って(笑)。 お互いすごい泣いて泣いて、お別れするんです。

ー 美しい…。

■井上: この歌詞、結構スタジオですぐ出てきたよね?
■根津: そう、スタジオでZINくんとセッションしながら歌ってたら、これ電話で2人が話してるみたいだな、って思ったんですよ。 それで1番の始めの部分は電話で2人が話してるイメージで書いて。 で、またZINくんと歌ってみたらもうスタジオ中にすごい切なくなっちゃって(笑)。 気持ち入っちゃったらすぐに書けました。

ー この男女ボーカルの掛け合いで進んでいくラブバラードって、R&Bの文化として昔から人気のひとつのスタイルですけど、showmoreみたいな新しい音楽へベクトルが向いてるアーティストがこういうクラシックスタイルをやるのがすごく新鮮でおもしろかったです。

■井上: そうですね、サウンドと歌、どちらも大事ですけど、より主軸に近いところにあるのはやっぱり歌で、その歌をどう時代に合わせて届けるかっていうのをサウンドを介して組み立てていく、っていうのがshowmoreだとしたら、R&Bってモロに歌じゃないですか。 だからZINくんの持ってるバックグラウンドとshowmoreが共鳴できたのはその歌の部分なのかな、って思うんですよ。 そこにshowmoreから僕のジャズっぽいR&Bじゃないエッセンスを混ぜて出来たのがこの曲です。 歌の部分で違う畑のシンガーが共鳴するとこんな風になるんだ、と思うとおもしろいですよね。
■根津: R&BとかSOULみたいな本物系の人たちって、私みたいなシンガーソングライターっていうちっこい枠の人間からすると恐れ多くてコンプレックスだったんですけど、今回そっち側にいるZINくんが一緒にやろうよ、って言ってくれたのはすごく嬉しかったですね。 ああいうかっこいいシンガーが誘ってくれたっていうのが。

ー この2人の歌、共存させるに当たってレコーディングで意識したことってありますか?

■根津: あんまり打ち合わせしたりはしなかったですね。 お互いのテイクを聞いてなんとなくインスピレーションで自分の歌を取っていく、っていう作業でした。
■井上: 根津さんの場合テクニックっていうよりは、どれだけ温度を込められるか、っていうところで歌い方がデリケートに変わってくるから、そこにすごく注力してましたね。

ー サウンド的にはどうでしょう?

■井上: ある程度の時代性を、このシンプルな、割とやれることが少ない楽曲でどうやって出していくかっていうところが一番こだわった部分です。 6/8でバラード、大体やれることって決まってるんですけど、トラックで今っぽさを出して、ピアノでshowmoreっぽさを出すことでちゃんとZINくんと一緒にやる意味を出そうと思って作りました。 スゲー難しかった…(笑)。 歌を邪魔しないギリギリのところでギミックを詰めていく、という。

ー 今作然り、毎回新しい側面がある楽曲リリースが続いてますが、この先はどういう音楽を生んでいきたいですか?

■井上: POPではありたいけど、やっぱりどこかオルタナティブなフックがあって新しさと気持ちよさが共存できてるようなものを作り続けたいとは思ってますね。 大衆性も偉大だし、僕らなりのオルタナ感をどこかで出せないと意味がないし。 『circus』では自然とそれが出来たと思うし、前作でSIRUPとfeat.した『now』では狙ってそれをやれたと思うんですよ。 毎回すごく難しいんですけどね、でもやっぱりそれをやってかなきゃいけないと思ってます。
■根津: 時代とか流行は変わっていくから、ジャンルレスでオリジナルなものを作っていきたいですね。