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showmore interview
- SPECIAL -

showmore interview

極上にシルキーな歌声と、キャッチーながらにいつもどこかオルタナティブで、好奇心を掻き立てられる旋律のセンス。 第一印象で表立って目立つ魅力だけでも目一杯に美しいshowmoreの音楽世界だが、最新作『too close to know』に収録された楽曲にはまた一仕事、”ひとの抱くこころの揺らぎの魅力” を溶かし込んでいるように思える。 勿論これは前々からある彼らの表現要素ではあるが、今作はとっておき。 ボーカリスト根津の歌詞に綴られる、豊かで細やかな感情の揺らぎに、またその小さなニュアンスも見落とさずに楽曲とリンクさせる作曲者井上のやさしく丁寧な楽器アレンジに、自分たちの表現への愛情を深く感じるのだ。 気持ちをことばの技術と音楽で具現化する、こんなにも高次元で正解のない雲をつかむような作業をずっと続ける音楽家にとって、自分たちのスタイルを確率する事は、きっとどこかの唯一神が悟りを開くのと同じくらい長い道のりの先にあることだと思うが、音の芸術性にそのひとの持つハートの魅力を溶かし込んだら、もうそれは計り知れない程の独創性で大衆を惹きつける。 自分が長らく彼らと向き合ってきた中で感じている彼らの愛おしい人間性がここで音楽に活きたんだと思う。 芸術面がタイトな上に、音楽家であるよりもっと前にある、ひとの魅力でどこまででも深く、情景描写の世界に連れて行ってくれる本作は、ひとえにあたたかくて尊い。

Interview & Text : 鞘師 至

— 前回のアルバムは、まずセンスに惹かれて楽しめる作品だったのに対して、今回はなんというか、ハートの部分とか人間性に触れてこころを揺れ動かされる心地よさが先に立つ作品だな、と思いました。 引き続きの音楽的センスがリードする曲やフレーズはこれまで通りありつつ、お二人の気持ちの部分がリードする曲とフレーズ。 そういう部分が今作のshowmoreの魅力な気がします。 歌詞にこもった愛情と、それを音楽に結びつけて何倍も豊かにする楽曲、どちらにも細やかなこころの作業を感じる、というか。 作詞作曲の作業、お二人の心境的には何か変化した部分はありますか?

■根津まなみ (Vo. 以下”根津”):最終的に、シンプルにいい曲書こう、という所に行き着きました。 今回書き下ろしたのは一曲目のbabyだけなのですが、超難産で。まず最初は色々考えすぎてうまく書けなくて。 リードっぽい曲とか今っぽい曲を書こうっていう、そういうしがらみを捨てた時に、やっと書けました。 なので私は今作で”心のままに書こう”っていう決意が固まった感じですね。

— その「baby」。 歌詞は切ないんですが、“愛” というワードがたくさん出てくるからなのか、とってもあたたかくてなんでか聴いて泣いてしまいました。 

■根津:普遍的なものを書きたくて。不変的でもあるもの、無償の愛とかそういう。言い方を変えれば家族への想いかもしれないです。歌詞にも出てくるんですけど、”帰るべき場所はどこかにあるよ”ということを言いたかったんだと思います。

—そして「call my name」。 こういう孤独の美みたいな空気感はこれまでもshowmoreらしい部分としてずっとあり続けてますけど、続けてきてリスナーと曲を通じて気持ち共有した事でこの孤独感癒たりはするんですか? 共感と昇華というか。 それともずっと心にあり続けてるものですか?

■根津:ずっと心にあります、ずっと寂しい(笑)。 子どもの頃から、死ぬことがものすごく怖くて。 その恐怖から、音楽やってる節があります。 存在証明というか。私は死ぬまでこの孤独感を持ち続けると思います。

— 楽曲の歌への寄り添い方も、2人になった時からまた更に深くなった感じが。 愛だなぁ、と。 以前インタビューさせてもらった時、「はじめは楽器のフレーズがリードする楽曲を作っていたけど、最近は歌を引き出す為の楽曲を心がけるようになった」と話していましたが、制作プロセスとしては、歌詞ありきで作曲、ですか? 

■根津:歌詞は一番最後です。ワードでのストックはしてるんですけど。単語や一節からインスピレーションを受けて、メロが出てきて、そこに井上くんがコードを付ける、というのが多いです。井上くんがコードから持ってくることもあります。その場合もメロが先で歌詞は後ですね。たまに一緒に書けたりもしますが。

— 各曲に入っているピアノの音、あれは生ピアノ?

■井上惇志 (Key. 以下“井上”): 「baby」は生ピアノ、Korg Kronos2のサンプル、ソフトシンセのピアノ音源全て使用しています。その他は「call my name」がカワイのグランドピアノ。後はKronos2の音源が殆どです。

— アナログ音とデジタル音へ、それぞれにこだわりって何かありますか?

■井上: 生ピアノや生ローズよりもキーボードやシンセサイザーを使った録音がメインですが、その場合でも基本的にMIDIは使わずに全て手弾きのオーディオデータで録音しています。

— 今作は特に、デジタル音にもあたたかさがバリバリあって、歌の人間味とちゃんと絡んでる感じ。 「どういう音像のものを作りたい」というディレクションって今作にはありましたか?

■井上: コンセプトはありつつも、サウンド面では手探りで試行錯誤していく場合が多いですね。 打ち込みと生のちょうど良いバランスには落とし込みたくて、曲ごとに色々試しています。

—「now (feat. SIRUP)」、自分はこの曲、WWWワンマンの時に初めて聴いたんですが、結構完成までがバタバタだったんでしたっけ? なんかライブ当日にリリック出来た的な感じだった気が。その辺のエピソード教えてください。

■根津: バタバタでしたね、初披露したWWWワンマン当日まで歌詞書いてました(笑)。 元々SNSのことを曲にしたいなぁと思って、歌い出しのメロと歌詞だけなんとなく出来ていて。 せっかくのワンマンでゲスト出演してくれるSIRUPと曲を作ろうとなった時に、このテーマがいいんじゃないかと。 というかSIRUPとなら書けるかなと。 井上くんとSIRUPがスタジオでまとめてくれたアイデアを、深夜のライブハウスで三人でセッションして仕上げて… スピード感がありましたね。

—「27」、歌詞には ”正しいことばかり言わないで〜” 。showmoreのキャッチフレーズにある一節が入った曲ですね。 最近では実体験でない誰かの話から膨らませた歌詞などが増えたと以前話していましたが、この曲はがっつり根津さんエピソード?

■根津: 私のエピソードでもありつつ、誰かのエピソードでもありつつ。 タイトルの通り27才の時に書いた曲なんですけど、私も私のまわりも、まだバタバタしていて(笑)。 色んなところで色んな話があったので、スルスルと書けた曲でしたね。 ヒリヒリしてました(笑)。

— オリジナルの音楽性に関しては、ルーツの音楽と武器となるテクニックや声などの素材をどうアウトプットするか、ここまででかなり確立したと思いますが、この先で生み出したい音楽ってどんなもの?

■根津: さらに新しいもの、変化を恐れない音楽を作りたいですね。 それでいて誰かの心にずっと残るような、シンプルに美しいもの、いい歌。 いつまでも聴ける音楽でありたいです。