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SOFFet interview
- SPECIAL -

SOFFet interview

4年振りの新譜リリース。 メンバーの怪我、病気での活動休止などを経ての快心の復活劇を体現する、全編生楽器でレコーディングされた全16曲入り、フルボリューム、フルクオリティーのニューアルバムが完成。 サウンドと作り手の心の内は一心同体、変化は比例する。 よりエッジの尖った音楽性とキャッチーにノれるビート、感謝の気持ちも風刺もこさえた歌詞、どれも今のSOFFetを細やかに描くピースのひとつ。 喜びも憂いも変幻自在にスウィングさせるオリジナリティーではっきりと新境地を見せた本作、込められた二人の想いも一入の様だ。

Interview / Review : 鞘師 至

GooF:今回のアルバムは、アクシデントがあったり環境の変化があったりしてお待たせしていた4年間のお休み期間中、じっくり時間をかけて作った曲たちが詰まっているアルバムなんですよ。”ジャズ+ラップ”の要素を”スウィング`・ラップ”と称してやってきた中で、昔はなかなかA面的ポジションにそういった曲調のモノを持って来れなかったんですけど、今ようやく自分達を見直しながらの作品作りに没頭できるタイミングになったんで、原点回帰してやっぱり自分達の色である”スウィング・ラップ”という面を前面に押し出したい、ということで今回はジャズ色の強い作品になりました。

YoYo:”ジャズ+ラップ”って方向性も、最初は探り探りだったけどね(笑)。SOFFetを始めた頃にも、”ジャズヒップホップ”なスタイルのアーティストはいて、いわゆる”ジャズ”の音の上でラップするっていうスタイルでやっていたけど、SOFFetの音はそういった”ジャズ”とはまた違って、”スウィング”の要素にフォーカスしていった感じですね。そこから自分達で”スウィング・ラップ”っていうしっくりはまる言葉を見つけ、オリジナリティーとして少しずつ固まっていき、今作でようやく全編を通して”スウィング・ラップ”と言えるような、SOFFetの名刺代わりのアルバムができたと思います。

 

「オシャレであるかどうか」

ーSOFFetサウンドの醍醐味、ジャズテイストの持つラグジュアリー感はやはり毎回の重用視ポイント。レコーディングでは、ひとりで作曲する産みの苦しみを経て、メンバーやミュージシャンとそのハイエンドなセンスを吹き込む作業が一番の楽しみなのだという。

GooF:やっぱりHIP HOPビートに乗っかっていないから、スウィングしてるからSOFFetの音になるんだと思うんですよ。

YoYo:その辺のビート感や全体のグルーヴ感っていうのも作曲しながら試行錯誤して突き詰めていきましたね。 スウィング・ラップっていう定義も当初はまだ完全には定まっていない状態だったんですけど、他の人達とは違う自分達のオリジナリティーを出したいって事をずっと強く思って曲を作り続けて来て、本当にようやく今になってそれが見えてきたなと思います。たとえばラップも4ビートのグルーヴ感に合わせてスウィングさせる、とか。これだけずっと曲を作ってきても、未だにレコーディングでは客観的な感覚で物申して「なんかグルーヴがハマらないんだよねー」とか、ああだこうだ言いながら答えを探して行くこともあるんです。で、ラップの仕方も色々試した結果、ビート感に合わせてハネさせたら、全体のグルーヴ感が増して曲として完成されていく、っていう事を発見したり、と。ビート感、グルーヴはね、本当に奥が深いですよね。スウィングさせるっていうだけでオシャレ感にも繋がって、そういった細かい事の積み重ねで曲の個性を出して行くっていうのが重要で、そうする事で自分達の色を存分に出せたような、今作のアルバムになりました。

 

「全て生の音であってこそスウィング・ラップだな、と。」

YoYo:生楽器とデジタル信号、ピアノで言えば生ピアノなのかシンセサイザーなのか、これはミュージシャンにとっては”音楽であるかないか”という境目だと思うんですよ。音楽の本質を突き詰めていくと、やっぱり生身の人が演奏する音っていうところに行き着くんですよね。だから今回ストリングスオーケストラやビッグバンド編成の曲では大所帯でレコーディングする為に毎回スタジオを取ってプレイヤーの方々に来てもらって、わざわざ手間と時間と労力を掛けて録ったりしたんですが、その分自分達のこだわりがきちんとパッケージできたと思います。時間もお金も相当かかるんですけどね、こんなこだわりを形にできた今の環境には本当に感謝してます。

 

「今の時代のPOPS完全に無視してるよね、って言われた(笑)。」

 


ーSOFFetサウンドの個性と、時代の音楽性の関係。今から10年程前、ロハスブームでカフェミュージックのムーブメントがあり、SOFFetデビューも時を同じくして多くのリスナーにアピールされた様に、店先やFM、街のあらゆる場所で産業音楽の対抗馬的カウンターパンチでグッドミュージックが世間に多く紹介されたのをよく覚えている。オリコン1位ではなかったとしても、メジャーの舞台に今まで無名だったアーティストや、マイノリティーが故のリアルミュージックが突き刺さって来たことに明るい音楽未来を感じたし、たくさんの勇気をもらった。昨今の音楽事情はどうだろうか。時代は流れたし流行は変わるもの。それでも何かが違うと思うのは自分だけだろうか。

GooF:”音楽”ではないんじゃないかと思います。音楽って言うか、ただメディアの延長線上にあるものになってしまっているんじゃないかと思います、音楽が。メディアが音楽を広げてくれる大切な場所ってことを前提としての想いですけど、メディアだけに頼ってしまうのはバランスがよくないと言うか。自分達の音楽も今回のアルバムは特に、新しいジャンルのものとして打ち出せると思うから、精一杯いい音楽を出し続けて、それが今の時代の音楽事情に風穴を空けるような力として少しでも作用してくれたら嬉しいです。今回のアルバムに入っている曲の歌詞に、そんな思いも詰め込んだんで、じっくりと歌詞の方も聴いてほしいですね。

YoYo:まさにその辺の思いあっての「音楽」(本作9曲目 収録)ですね。音楽が大量生産されビジネス化される世の中、時代は便利さを追い求めて今や形のない”データ”で売られる事になった音楽、果たしてこの先どうなってしまうのか?という問題提起でもある曲です。ビジネスとしてものを売る時にはもちろん「良い」といって売るのが当たり前だと思うけど、あまりにもビジネス化し過ぎてしまうと本当の良さがわからなくなってしまう恐ろしさもありますよね。
今は物と情報に溢れすぎている時代なので、そんな中でSOFFetの音を選んで聴いて意思を持って「良い」と言ってくれる人がいる事はすごく幸せな事です。
音楽の聴き方も人それぞれだと思うのでいろんな「良い」があると思いますが、そんなリスナーの期待に応えたい思いもあって、今後もさらなる「良い音楽」を届けられる存在でありたいと思うんです。

 

「経験が全て」

ー本作のタイトルは『THE SWING BEAT STORY』。曲それぞれのストーリーがひとつずつ詰め込まれているのも然り、また彼らの軌跡を辿るかの様な、その時々の断片的な想いが詰まった歌の羅列が織りなす彼ら自身の人生物語であるも然り。音楽家という特殊な人生を歩む彼らのこれまでの10年間は、サラリーマンの一般生活からは想像し難い不思議な時間軸。作曲に没頭し、発表して世間の人々へ幸せをもたらす、この繰り返しを生業とし日々を暮らす。最高傑作と称される今作で、納得いく今の自分の表現を全て詰め込めた、と話す二人はこの先の10年をどう進んでいくのだろう。

YoYo:いろんな事を経験したいな、と思いますね。そんな中で生まれるその時々の気持ちを歌にしていきたい。

GooF:デビュー当時の、2ヶ月毎くらいで頻繁にリリースがあって、プロモーションでもめまぐるしく稼働しまくって、寝る暇もなくて、みたいなあの時の生活リズムの中では、今回の様な曲はできなかったですね。いろいろ経験しないと、物事を複数の視点から見れないから、表現も単面的になってしまうんですよね。だからこの4年間の危機的状況は本当に良い経験だったと思ってるんですよ。そんな経験をしたからこそ書き上げる事のできた曲も事実たくさんある。本当に大変だったけど、全然暗くはならず前向きにSOFFetを続ける事で、次のアルバムでどういう音楽をやっていくかをYoYoとじっくり話して、真に生音に特化した、自分達のスウィング・ラップというのを具現化しよう、という狙いも定められた。その結果相当シビアに突き詰める事ができたんで、SOFFetのオリジナリティーは今回余す所なく、注ぎ込めましたね。だからこれからもいろいろ経験をして、その経験をガンガン歌にしていきたいと思います。

「自分の本当の思いを言葉にして言える、リアルな生き様でありたい」

YoYo:実際に経験した事を自分の言葉で歌にする、偽りない思いをステージ上から表現する、そういうアーティストでありたいなと思うんです。
この10年間で一時期、自分で「俺、何か違うな」と思ってしまった時があったんですね、自分の本当の想いをステージ上で言えない時期。沢山の人が関わっている現場なので、なかなか自分の気持ちだけで何かを動かすことは難しかったんですけど、違和感があって辛く苦しかった事で、全て打ち明けて、事態をちゃんと受け止めてもらう事にしたんです。「パフォーマーである前に一人間でありたい」という思いでした。だからこそいろんな経験を通して、リアルな思いを言葉にできるアーティストでいることが目標ですね。そんな自分から生まれる思いに共感する人がいてくれたら本当に嬉しいです。