このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

ЯeaL interview
- SPECIAL -

ЯeaL interview

ЯeaLが強力な武器を手にさらなる一歩を踏み出す。シングル作品としての完成度としては間違いなく過去最高。こんな1枚を作れるということはバンドとしての成熟度が高まっているからであろう。こんな良作を生み出す彼女たちには今年も期待せざるを得ない。

インタビュアー:ブッキングマネージャー窪田

―今作の『強がりLOSER』は現在放送中のTVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマに起用されていますね。Ryokoさんは元々NARUTOのファンだったと伺いました。

Ryoko(Vo/Gt 写真中央 以下…R):単行本全巻持っています。デビュー前、それこそバンドを始めた時からずっと目標の一つにしていたことだったので、決まった瞬間めちゃくちゃ嬉しかったです。
Fumiha(Ba/cho 写真右 以下…F):過去に銀魂とポケモンのテーマ曲もやらせてもらったんですけど、ドラムのAikaが銀魂の大ファンで、私はポケモンの大ファンでこれで3人全員の夢が叶いましたね。

―それは感慨深いですね。今作の制作テーマはどういったものだったのですか?

R:同世代とか、一度挫折を味わった人に向けてのメッセージを込めました。今私たちは21歳なんですが、中学・高校の頃に描いていた夢や目標に対して一度挫折することが多いようなタイミングだと思うんです。ある程度現実も知る部分があって、諦めたりとかすることもあるけど、その現実を見たくないというか、大人になりきれるわけでもないからまだ夢を追いたい部分もあって。そういう気持ちを書きたかったです。

―物理的に20歳を超えて大人ではあるけど、まだ子供な部分があってという絶妙な年頃ですよね。

R:大人と子供の狭間っていうんですかね。それがBORUTOという作品のテーマの一つなのかなって思っていて。

―反骨精神ですかね。ЯeaLってメジャーデビューもしていて、タイアップもいろいろやっていて一般的に見たら順風満帆に思われているかもしれないけど、過去にはガールズバンドだからっていう理由だけで偏見を持たれていたりとか、実は悔しい思いをたくさんしていて、反骨精神がすごく強いバンドというイメージがあります。

R:めちゃめちゃありますね笑。負けたくない、見返したいっていう気持ちはずっと持っています。バンドを始めた時って謎の自信があってもっとうまくいくって思っていたけど、思うように進まなくて、この時期までにこうなっていたいって思っていた地点に到達できていないこともたくさんあって。あとは人から見たら幸せだと思われることでも自分からしたらそれが幸せとは思っていないこととかもあるじゃないですか。そういう感情ってリアリティがあるのかなって思っています。

―仮にこの曲が今回のタイアップに決まっていなかったとしてもЯeaLというバンドの精神性には非常に近い曲なのかなという印象です。

R:そうですね。あともう一つ自分の中で裏テーマ的なものがあって、今までの楽曲は自分がこうだ!っていうものを押し出すものが多かったんですけど、今作に関してはバンドを始める前、孤独を感じていて、昔家で引きこもっていた時にUVERworldとONE OK ROCKの曲を聴いて、光に導かれたような感覚になって、私を救ってくれたような音楽を作りたかったんです。幼い時の私がもしこの曲を聴いたとしたら同じように救えるかなって。

―そういった側面は前作『未来コネクション』に収録されていて、今ライブでも定番の曲になっている「光になれない」という曲ができたことが大きなターニングポイントになっているんじゃないですか?

R:それは確かにあるかもしれないですね。弱さを認めることができる強さっていうんですかね。あとは私はこうだ!って押し通すのではなく、私はこうですがあなたはどうですか?という自分本位ではない距離感になった気はします。ただそんな中でも反骨精神、ЯeaLらしさ、強さっていうのは健在で、サウンド面も含めて楽曲のパワー感は増していると思います。

―攻め攻めですもんね。さすがって感じです。

R:バッチバチに攻めました笑。The Ryokoって感じのアレンジです。ドラムとかまさにだよね?
Aika(Dr/cho 写真左 以下…A):また相当な無茶ぶりでしたよ。実はRyokoが考えたドラムのフレーズを自分なりにアレンジしてレコーディングに挑んだんですけど全部直されました笑。
R:そこ違うから直してって笑。
A:全部気付くんですよ。
F:Ryokoはドラムにめっちゃ厳しいからな。
A:全体的にめちゃくちゃ詰め込んでThe ЯeaLって感じのドラムですね。1番Aメロとか特にですかね。ハイハットとかめっちゃ細かいんです。普通だと気付かないようなくらいの細かさ。ほかの部分に派手なところはたくさんあるんですけど、こういう地味かもしれないけどこだわった部分にも注目してもらえると嬉しいですね。
R:そもそもドラムが好きなんですよね。だから余計厳しくなっちゃう。今までの楽曲のアレンジは私の頭の中のものをアレンジャーの渡辺さんに形にしてもらうような形で進めていたんですが、今作に関しては完全に私主導で渡辺さんにアドバイスをもらうみたいな形だったので、私がレコーディングに関してもディレクター的なポジションもやり始めた感じでした。だから今の私たちが到達できる最高地点で、自信を持って今のЯeaLの最高作です。って言えるものが出来上がりました。

―楽曲構成についてもお伺いしたいです。ラストサビ部分だけそれまでの“強がりLOSER”というワードではなく“強がれLOSER”になっているところにこの曲の意思の強さを感じました。

R:“強がり”は自分のことだけど、“強がれ”ってみんなに言ってあげたくて。この曲のメッセージの最後の一押し。
F:この部分ドキッとするよな。

―僕も初めて聴いたときついつい歌詞見ちゃいました。

R:気付いてもらえて嬉しいです。それまではすべて“強がり”という言葉でラストで“強がれ”にするというのはこの曲においてめちゃくちゃ重要な部分なので。

―あとは2Bがなく、そして2サビ終わりで落ちBという作りになっているところもポイントですかね?

R:そうですね。今までと同じことをしたくなかったんですよ。こういう曲って疾走感というか流れも大事だと思っていて、1A,1Bサビ、2A,2B,サビ、Cメロ、ラストサビみたいな一般的な構成にするのも違うなぁと思って。その中で2Bを抜いて、落ちBを作ったらすごくハマりがよかったんです。こういった部分で変化や進化を表すことができたかなと思っています。

―アー写もそんな今にすごく合っている印象です。

R:ありがとうございます。お気に入りの写真ができました。今までの少女感、女の子のロックって感じから大人っぽくなったかなと思います。
A:成長したよな。

―2年半前くらいの『仮面ミーハー女子』の時のアー写を見るとやっぱ若いですもんね。

R:2年でかなり変わりましたね。楽曲同様に今のЯeaLというバンドをビジュアルでも表現できましたね。

―ほかの収録曲についても伺っていきたいと思います。2曲目の「go!!」。 ポップで跳ねるようなこのテンポ感でライブ映えしそうだなという印象です。

R:元々曲の原型ができあがった時からライブ映えしそうな曲だなとはずっと思っていて、2番まではポップなんですけど2サビ終わりでぶち壊しました笑。

―初めて聴いたとき驚きましたよ笑。

R:今までの2番までがなかったかのような壊し具合ですからね。でもこの部分があるからその後の部分が際立つんですよ。ガシャンと壊してからの落ちサビが染みこんでくる。
F:ジュラシックパークみたいやな。
R:急に?笑。
F:1番2番までは草食恐竜ばかりで平和で、肉食恐竜に襲われてラストはハッピーエンドみたいな。
R:それめっちゃええな。これから使っていくわ。
F:やった。採用されました笑。

―今後の取材で使われること間違いなしですね。ここでこれだけ壊せるのってすごいですよ。

R:途中でムズムズしちゃうんですよね。こういう曲をこのままスッと終わらせるって考えにくいんです。スリルを求めて平穏にいけないんですよ。曲としての抑揚というか見せ場みたいなものは作りたくて。この部分を聴いたら今回の収録曲の中で1番好きになるかもしれない。
A:なるかもな。
F:確かに。そのくらいのパンチ力あるよな。
R:してやったりです。発売日にファンの方々のツイッターが荒れるかもです笑。あとはこの曲はベース、ドラムに関しては二人にアレンジを任せた部分があって。メンバーそれぞれの感性で結構自由にやったのでそれも楽しかったですし、うまくハマりましたね。リズム感、ベースとドラムの絡みが面白いんですよ。
F:難しいことをするわけじゃなくバンドとしてのグルーヴ感的な感じですね。やっていて楽しい。早くライブでもやりたいです。

―楽しみにしています。そして3曲目の「エンドロール」でさらなる驚きでした。

F:問題作ですね。

―確かにある意味問題作ですよ。ЯeaLがこんなことするの!?って。

R:大前提のЯeaLの楽曲の方向性としてなんでもやりたいっていうのがあって。その中で今作の「強がりLOSER」というロックな曲と「go!!」という明るい曲を並べたときに、バラードとかミディアム系の曲にするのはちょっと違うんじゃないかなと思ったんですよね。そういうタイミングの時にこういったテイストの曲を結構聴いていたんですよ。これもしかしたら合うかもって思ったのが制作のきっかけです。トラックから作り始めたんですよね。アレンジャーの渡辺さんとそれこそ遊びながらみたいな感じで音をどんどん入れていって。

―普段の制作とかなり違うアプローチですね。

R:そうですね。そしてその次にメロディーを考えました。今までの楽曲はメロディーや耳に残るワードが強くてフックが非常に多かったので、この曲に関してはしつこくなく、なおかつ中毒性あってループするようなものを作るのがすごく苦労しました。
F:オケができてからなかなか出来上がらなかったもんな。
R:メロと歌詞でこんなに悩んだのは人生で初めてですね。

―今までと違うチャレンジだったからですかね?

R:今までのЯeaLの感じにしたくなくて。せっかくオケでは今までと違う感じでぶち壊しにいっているのにここで普段通りのRyokoは出したくなくて。

―それはなかなか難しいですね。

R:これまであまり使っていないコード感だったりしますからね。あとは歌詞も難しかったです。こういう曲って自分を削り取って形にする作業に近い感覚なんですよ。その中でどこまでRyokoを出すかとか、物事の捉え方とか、言葉の言い回しとか、絶妙なバランスを保つのが本当に大変でした。“君”と“私”という言葉を極力つかわないようにしたんです。人と人の物語なのに人間味をなくして無機質にしたり。でも相手のことがちゃんと見えるような。言葉は繋がっていて意味はわかるけど、しっかり読み解かないといけないようにして、でもラストサビ部分にようやく“君”というワードを使って一気に物語としての意味を持つように。

―聴けば聴くほどハマる感覚がありました。今までの曲に比べてフックは少ないのになんかグルグル頭を巡る。

R:それを狙ってたんですよ(ドヤ顔)
F:今の顔憎たらしいなー笑。でも本当にハマる曲ですね。

―完全にしてやられました。Fumihaさん、Aikaさんは初め曲が送られてきた時驚いたんじゃないですか?

F:そりゃあ驚きますよね。こんな曲できたんだ!って。
R:曲を送ったときに二人から大絶賛されたんですよ。MV撮影前日の夜中に送ったらFumihaからはLINEがきて。
F:この曲聴いてもう寝られなくなってベース弾いてました笑。
A:私はハマりすぎて何回もリピートしてLINEするのすら忘れてて笑。
R:翌日MV撮影でスタッフさんも集まっていたのでその場でみんなにも聴いてもらって。そのくらい本当に自信作になったんです。新しいことにも挑戦して、でもЯeaLらしさ、Ryokoっぽさもあるのにやっぱ新しいという曲。

―この曲ができたのはバンドとしてすごく大きいんじゃないですか?

F:大きいですね。
R:ライブでやるのも楽しみ。
A:めっちゃ楽しみやな。
F:酔いしれるかもしれんな。
~一同爆笑~
R:メンバー同士のセッションとして絶対楽しいもんな。
F:この曲だけお客さん置いていってしまうかもしれんな笑。
R:でもきっとこの曲はそのくらいの方がかっこいいと思う。打ち込み系の曲だからか普段AikaとFumihaで作るグルーヴ感、ノリが今回はFumihaが作り上げるものになっていて、音のLOW感がすごくて。
F:ライブでやったらどうなるんかな。
R:音色含めて今までとは違う見せ方ができそうよな。
F:あとこの曲はベースの入りがめっちゃ難しいんでそこは注目ポイントですかね。

―「強がりLOSER」、「go!!」の2曲でしっかり攻めて引き込んでおいて最後にこの曲ってすごいシングルですよね。

R:この3曲それぞれの色によるコントラストが今シングルの一番の魅力ですかね。

―こういうシングルが作れるというのがЯeaLの強みですよね。毎回シングルリリースのたびに良い意味で予想を裏切られる。

R:想像通りになんてしません笑。そういうバンドなんで。とにかくCDを買って聴いてほしい。絶対楽しませる自信があるので。そしてそれをエゴサしてニヤニヤします笑。
F:大分気持ち悪いな笑。
R:でもとにかくこの3曲が加わることでワンマンライブの構成が一気に変わるかもっていうくらいの3曲です。楽しみでしょうがない。

―今ライブの話がありましたが、リリースツアーで東名阪福のワンマンツアーがありますね。

F:今までは不安とかも強かったけどとにかく楽しみですね。
R:こんなにツアー前に楽しみなことって初めてかもしれないです。自分たち自身でめちゃくちゃ自信持ってます。ようやくエンターテインメントとしてのワンマンライブができそうな予感があって。
A:上手くいく気しかしないよな。
F:やる前から絶対良いライブになるという自信が持ってるもんな。楽しみ!
R:4本じゃ足りないわ笑。今みんなを楽しませるためにいろいろ考えているので期待してほしいです。

―本誌掲載は2月号ですが取材は1月ということで2019年の目標を最後に聞かせてもらおうかなと思います。

F:ベースを弾く機会を増やしたいですね。ЯeaL以外でも弾ける機会を作れたらいいなと思っています。あとは友達作りですね。
R:毎年の目標笑。
A:私はいろいろな意味でもっと余裕を持てるようになりたいですね。年齢的にももうすぐ21歳になるので。
F:今の言い方に既にめっちゃ余裕あったけどな笑。
A:ライブとかでもっと余裕持ちたいのよ。
R:なるほどな。私はたくさんありますよ。
F:一個でいいです笑。
R:一個は無理やな笑。2019年は150曲書きます。2017,18年があまり曲が書けなかった時期で。その反動なのか今めっちゃ曲書きたい欲が半端ないんです。あとはたくさん旅行に行きたい。曲を書くためにもたくさんインプットしたいです。バンドとしては2019年勝負の年でもあると思っていて、自分たちで発信しなきゃなと。この3人でЯeaLというバンドをどう進めていくかもっともっとメンバー主導でしっかりやっていかなければいけないなって思っています。そしてそれをきっかけに2020年さらに良い年にしたい。

―燃えてますね。

R:めっちゃ燃えてます。今年は絶対良い年!やる!

―楽しみにしていています。今年もよろしくお願いします。