ー 最新作も相変わらず歌も楽器フレーズもメロディーセンス先行で引っ張る感じが素敵でした。 テクニックとかジャンル感に溺れない浮遊力、というか。 今作はアルバム通したコンセプトってあったんですか?
■佐々木 萌(Vo. 以下”S” ): コンセプト先行で作ったわけではなく、今自分たちが音楽的にやりたいことを詰め込んで作っていきました。ポップって意味では以前から開いて見えたと思うんですけど、外に向けて発信したい音楽を正直に入れた形です。 外っていうのは、まだエドガー・サリヴァンに出会ってない人に向けて、まるで転校生が自己紹介するように、こういう“ヤツ(=CHAP)”だと思ってもらえたらいいな、という一枚にはしたかったです。 具体的には、目の前で顔が見える一人一人に届けるイメージで、ライブで演奏してるような姿が見える曲を集めました。
ー 全編通して大人なトーンの楽曲が多めですね。 そういう気分の時期? それともアレンジで結果的にこういう方向性に?
■S: もう立派な大人ですからね!あえて大人っぽくしようという意識はなかったです。楽器と歌が一番映えるようにシンプルに作っていきました。
ー 「Begininnʼ」(M1)はペアジュエリーブランド「THE KISS」、日本テレビ系「スッキリ」のテーマという事ですが、これは書き下ろし? それとも元々あった楽曲?
■S: これは元々あった曲ですね。 実は夏の曲なんですけど、偶然出会った二人が運命を感じるところがクリスマスのシーズン、ペアジュエリーを身につける恋人たちにマッチしたのだと思います。「スッキリ」は放送を見てから、朝にぴったりだな、と自分たちでも後から気づきました。
ー 以前エッグマンでのライブで聴いた気が… ライブでは既に披露してました? 「DOKI DOKI」、これは確実にライブでやってましたよね?!
■S: はい(笑)。これを見ていた鞘師さんの表情も覚えてますよ。鞘師さんめちゃくちゃ泣いてましたよね?!
ー そうでしたっけ…(笑)。 ちなみに、エドサリのライブに集まるお客さんの層って最近どんな人が多いですか?
■S: 最近ライブが少なくて、最後は1月のeggman企画ライブくらいでちょっとそれは悲しいです。今までの層としては同世代くらいの人が多いと思うんですけど、お母さんと一緒に来てくれたり年上の方も結構多くて、層の広がりが嬉しいですね。
ー 楽曲に関しては、初期と比べてどんどん自然体なテンションで、メロウなパートも元気パートも自由に使いこなしていっている印象。 曲作りの面、特に今作での変化って何かお二人自身は感じますか?
■S: おっしゃる通り自然体のテンションで作れています。 聴いて取り込んだ音楽も自然にアウトプットしていくようなタイム感で作りました。 セッションをして作った「KEMONO」と「夜のピアス」だったり、自分たちのアレンジで完結する曲も多かったです。
ー 「KEMONO」(M4)、feat.のなみちえさん。 ガチでモノホンのラッパーですが、出会いはどんなきかっけ?
■S: ネットナンパです(笑)。 YouTubeで見て面白かったので、DMしました。
ー もえさんと対局する感じのカラーリングがお互いのボーカル活かしててかっこいい。 リリックを入れてもらう時に何かエドサリ側から注文した事ってあります?
■S: 音楽業界の構造批判をしてくれ、とリクエストしました(笑)。 そうすると、なみちえからも前々から温めていたというパンチラインがばーっと出てきて、最高な歌詞を送り返してくれました。
ー アルバムタイトルと同じ曲名の「chap」(M5)、表題曲のイメージで聴いてみるとアレンジは一番シンプルな弾き語りスタイル、という斜め上をいくもので面を食らいました(笑)。 あえてこういうアプローチなのがセンスですよね。 元々この曲からアルバム全体の構成を広げていった訳ではなく?
■S: 逆に全体を通して見て、「CHAP」というアルバムをまとめるような楽曲として、全てのレコーディングが終わってから作った曲です。遥の家でコードを、その帰り道に歌詞を書き終わるくらいのスピーディーさで作って、二人でブースに入り、せーので一発録りしました。
ー 生の楽器以外のサウンドも自然に混ざり合うのがエドサリのサウンドの特徴のひとつですが、はるかさんは今作、ギターを曲に注入する際に一番重んじた事って何ですか?
■坂本 遥 (Gt.): 日に日に「ギターがかっこよく聞こえる」アレンジを追い求めるようになってきています。昔はトラック先行で作って最後にギターを入れることが多かったのですが、ギターをメインに据えたアレンジに肉付けしていく形で作るようになりました。今まで聴いたことない形でギターがトラックの中で響くものをもっと探していきたいです。
ー 今の時代のこのいい意味でぐっちゃぐちゃな音楽シーンの中で、この先どういうアーティストでいたいですか?
■S: 平均点が必要ない時代なので、ぐちゃぐちゃな中でもひとつエドガー・サリヴァンで言いたいことを言わないといけないと思います。この情勢で、今とっても重要な局面にいると思うんですけど、本当の意味で自分たちのための音楽を見つめ直したいです。それが結局、人に届くのではないかな、と。