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Emerald 東京回遊記
- SPECIAL -

Emerald 東京回遊記

Emerald 東京回遊記
第4回「DAW回遊」
こちら東京を拠点に活動する都市型ミュージック集団EmeraldのVo.中野です。
行動範囲を激しく狭めました。
移動はもっぱら自転車と徒歩。

僕らはスタジオで顔を合わせて曲を作るオールドスクールなスタイルだった。
件のウィルスの影響で、それぞれの自宅に録音環境を構築した。

マイクプリを買う者、コンデンサーマイクを買う者、DAWソフトをアップグレードする者、音源を買いまくる者。その総額たるや中古車が一台買えるくらいだ。自分でやってみて、サウンドエンジニアの凄さを改めて認識した。

そして、数曲をリモートで構築していった。データの管理はGtの磯野。
出し合ったテイクをマージして、ああでもないこうでもないとチャットする。

最近になってようやくスタジオに集まる機会も作れるようになってきた。
eggman再始動の一発目のアコースティックライブや、WALL&WALLでの11人編成の配信ライブの為に、久しぶりにみんなで集まることができたのもとても良かった。それぞれの音が全身をくまなく刺激して、パーソナル空間での日常に世ズレした感覚を引き戻してもらえた。

制作スタイルが変わると、インプットとアウトプットの関係が、変わる。
パソコンから飛び出すことを考えて作らないと、簡単になんとなくいい感じができてしまう。インプットが映画や本になっていくと、描く情景が既視感に支配される。生の感覚やリアリティを僕らは外で「匂い」などとともに体に染み込ませていたんだということを実感した。だけども、僕らには想像力があり、時に病的と思われるほど、何かのディティールに対し鮮明なヴィジョンをイメージすることがあったりする。そういう部分を歌にはできないだろうかと、思ったりしてる。

プリプロを自室で行い、やはりRECはスタジオでしっかり録りたい。
そしてその楽曲をお客さんと共有する日まで、僕たちはしばらく、波形がBPMと共に立ち並ぶ、彩り豊かなDAWの街を回遊する。

 

Emerald Vo.中野陽介