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桃色ドロシー interview
- SPECIAL -

桃色ドロシー interview

全国各地に足繁く通う近年稀に見る活動スタンスで、着実にライブバンドとして積み重ねてきたロックバンド、桃色ドロシー。満を持してリリースされる1st Full Albumは、様々な困難や現実を受け入れながらも前に進もうとする、彼女たちの信念があってこそ伝えられるメッセージに溢れている。ライブハウスになくてはならないバンド、桃色ドロシーのこれまでとこれからを語ってもらった。

Interview&Text:渡邊直人

― どんな経緯でスタートしたバンドなんですか?

ハキイ。(Gt.Vo):高校の部活で組んだバンドなんです。1年生の時にクラスで「軽音部入る人いる?」って聞いた時にキシベが「私入ろうかな!」って話しかけてくれたのが始まりで。それから部活内でいろいろやってく中で、2年になった頃に「桃色ドロシー」という名前で、当時の他のメンバーと一緒にバンドがスタートしました。高校生のバンド大会とかで優勝しまくってたんですけど、3年生で部活引退のタイミングでそのまま解散になってしまって。それからは各々の道に進んで、私は音楽の専門学校に通っていてバンドをやりたい気持ちはあったんですけど、上手い人はいても本気で一緒にやっていきたいと思える人にはなかなか出会えなくて。ただその頃、下北沢SHELTERで裏方で働いてたキシベも、やっぱりバンドやりたいってなっていたみたいで。ファミレスに呼び出されてハキイの歌でバンドやりたい!と口説かれて…
お互いのタイミングが合致して再結成することになって、ここまでやってきました。

―「桃色ドロシー」というバンド名の由来は?

ハキイ。:当時4人編成で全員女の子のバンドだったので、女の子が想像できるような色を入れたくて、椎名林檎さんの「桃色スパナ」から影響を受けて、まず「桃色」を入れるのが決まりました。そこから、当時瀬谷西高校って学校に通ってたんですけど、自分達がいわゆるカワイイ感じのバンドではなくてひねくれて尖ってるような雰囲気だったので「西の魔女」みたいな名前いいなと思って、「オズの魔法使い」の西の魔女の名前が「ドロシー」だと思っていたので、「桃色ドロシー」という名前になりました。その後、出演したバンド大会でバンド名の由来を聞かれて話したら「ドロシーって主人公の名前じゃない?」って言われて、、、そこで初めて間違いに気づきました(笑)でも「響きいいし、そのままで行こう!」ってなって。そのまま今に至ります。

― 今回のリリースに至るにはどんなキッカケがあったんですか?

ハキイ。:ライブを中心に活動を続けていたんですけど、メンバーが脱退して2人きりになって、もうサポートベースのあてもいなくて、どうにもならなくなってしまったタイミングがあったんです。その頃に今のマネージャーが見に来てくれて、一緒にやりたいと言ってくれて、めちゃくちゃ嬉しかったですね。バンドとしては完全な状態じゃなかったんですけど、協力してもらいながら制作を進めて、そこからやっとCDリリースの話が出てきたタイミングでコロナに入ってしまったんです。

― 悔しいタイミングですね。コロナ禍ではどんな活動をされてたんですか?

ハキイ。:うわーまじか、、、みたいな感じになったんですけど、いや、逆にこれみんな家にいるからこそ届けられるものがあるよなとも思ったんです。お互いの長所を活かして、キシベが作ったアニメーションに、私がカバーアレンジして歌うっていうプロジェクトを週1ペースってやっていました。それの延長で、キシベのアニメーションでMVも3作程作ったりしました。

― コロナ禍が収束してまたライブができるようになってからは、常にライブをやっているイメージです。

ハキイ。:地方のライブで1ヶ月出っ放しのこととかもあって、帰ってくると「老けた?」って言われます(笑)

キシベ(Dr.Cho):気付いたら、一昨年は100本、去年は80本ライブやってました(笑)

― そして1stフルアルバムがいよいよリリースになります。手応えは行かがですか?

ハキイ。:「ようやく」という思いはもちろんあるんですけど、私はこのタイミングで良かったなとも思っていて。コロナ禍は、自分達の新たな可能性に気付けたりそれぞれのスキルアップができたりと、プラスになることもたくさんあったなと。2023年に出した「アイオライト」というミニアルバムは、急にライブができなくなったり、友達がどんどんバンドを辞めていってしまう悔しい気持ちだったり、状況に対しての後ろめたさや、大変だったよねみたいな、どちらかと言えばネガティブな気持ちが多い作品になったんですけど、それだけで終わってはいけない、コロナ禍を経て開けた世界に向けたアルバムを作りたいと思ったんです。チーム内でのタイミングも一致して今回リリースできることになって、私としても今こそ届けたい思いがたくさんあったので、いいタイミングで出せたなと思っています。

キシベ:いろんなジャンルの曲が入ってるんですよね。全曲同じような曲はなく、いろんな感情が入っているアルバムなので、私たちの代表作になっていくんじゃないかなと思っています。

― 「ユナカイト」というアルバムタイトルの意味を教えてください。

ハキイ。:「未来への希望」という意味を持つ石の名前で、コロナ禍が明けた今に向けてこのタイトルにしました。コロナ禍に出したミニアルバム「アイオライト」も石の名前で、そっちは「道しるべ」的な意味だったので、ジャケットやメッセージ性も含めて、この2作は対になってるんです。

― アルバムのスタートを飾るM-1「ネバーランド」はどんな曲でしょうか?

ハキイ。:今のチームと一緒にやっていこうってなった時に、じゃあますどんな曲作る?ってなって、音楽を始めたきっかけの曲を作りたいと思って作った曲なんです。私はX-JAPANのhideさんがきっかけで音楽を始めたんですけど、物心ついた頃にはもう亡くなっていたので、調べれば調べるほどに「かっこいい」「すごい」って思い知らされて。その時に、尊敬するアーティストとか大切な人って居続けるものじゃないだなっていうことを気付かされて、毎日をとりあえず生きてしまっているけど、今日があるのって、明日があるのって当たり前じゃないんだなって心底思えて、この曲が出来ました。私がhideさんのおかげでこうやってミュージシャンをやれているように、「とりあえず」で毎日を過ごしているような人たちが「これをやってみたい」とか「こうなってみたい」って思うきっかけのアーティストに、今度は私たちがなりたいですね。

― M-4「泡沫」のシンセサウンド感は新鮮に感じました。

ハキイ。:これはライブで、私がギターを持たずにハンドマイクで歌ってみたいなって思った時に、サポートベースもやってくれている加納誠人くんが作曲してくれた曲なんです。音やテンポのイメージだけ伝えたんですけど、イメージ通りの曲になりました。

キシベ:アルバムでもライブでも、いいスパイスになってる曲だと思います。

― M-5「捲土重来」はバンドのスタンスがそのまま歌詞になっているように感じました。大事にしている軸があるからこそ出てくる言葉ですよね。

キシベ:歌詞に合わせて楽器隊もゴリゴリ鳴らす感じで、個人的に好きな曲です。ドラムもちょっと苦手なフレーズとか入れてみたり挑戦していて、まだライブでやってないんですけど今からやるのが楽しみです。とにかく歌詞が強いですね。

ハキイ。:もうちょっと行けたなと思いましたけど(笑)ちょっと違うところに刺さっちゃって喧嘩売ってんなって思われるのも困るので、、、

キシベ:その先はサウンドで表現しています(笑)

M-6「月明かりを進め」は「生きて」と繰り返されるサビのフレーズが印象的でした。この曲に限らずですが、曲だけ聴いていても歌詞がしっかり入ってくるところから、ライブという現場で伝えることを大事にしているように感じました。

ハキイ。:そうですね。ライブでどこまで伝えられるかの勝負だと思っているので、どういうメロディーラインで伝えたら言葉がちゃんと残るのか考えながら曲を作るようにしています。この曲は、ライブで初見の人とかも、2コーラス目で歌ってくれたりするので、耳にスパッと入ってくれるんだなと思いました。

― M-10「ライブハウス」はタイトルからもグッときてしまいますが、どんな曲でしょうか?

ハキイ。:私コロナ前、コロナ禍、コロナ後の、3時代のライブハウスを見て体感してきて、その中でもやっぱり、コロナ禍のライブが1番しんどかったなと改めて思って。お客さんは声を出せず、私たちもシンガロングする曲が全然なくなったりして、フロアにはパーテーションだったり距離を取るためのバミリがあって。私たちもお客さんも、一緒に楽しめているのかもわからない状態だったと思うんです。そして今やっとコロナが収束して、声も出せるし好きなように楽しめるライブハウスが戻ってきたこのタイミングだからこそ、私たちとライブハウスに来てくれていたアナタたちで、一緒にライブハウスを守って愛してきたからこそ、今があるんだよっていうのを伝えたくて。みんなで歌えるように、がっつりシンガロングする曲を作りました。

キシベ:レコーディングでは、バンド仲間も含めて10人以上が参加して歌ってくれました。みんなで歌えて手もあげられて、ライブ映えする曲だなと思います。

― 先日公開されたMVもハキイ。さんが監修していると伺いました。

ハキイ。:コロナ禍のオフショットだったり、ライブの顔合わせの様子やバミリがあるフロアだったり、当時はこの曲を作るなんて全く思ってなかったので、本当になんとなく撮っていたんです。いざこういう曲が出来て、MVを作りたくなった時に今までの軌跡を集めたMVが一番伝わるんじゃないかと思って、掘れば掘るほど当時の映像が出てきたので、いい作品にすることができました。コロナ禍以降にライブハウスに初めて来たっていう人も多分多いと思うので、以前はこういう世界だったんだって知るきっかけにもなってくれたらいいし、コロナ禍でライブハウスに来なくなっちゃった人とかもいると思うんで、こういう曲を聞いてやっぱライブハウスに行きたいなって思ってもらえたら嬉しいです。

― M-11「ずんちゃか」アルバムを締めくくるにふさわしい、前向きな楽曲ですね。爽やかすぎてびっくりです(笑)

ハキイ。:私もびっくりです(笑)アルバムのエンディングみたいなイメージではあるんですけど、みんなでクラップしてハッピーな感じで終わりたくて、今まで桃色ドロシーにそういう曲もなかったので、挑戦という意味でもこの曲を作りました。

― 他に、今作の中でメンバーそれぞれのこだわりポイントがあれば教えてください。

キシベ:ドラムを叩く時にかなり曲に入り込んでしまうタイプなので、ロックな曲をレコーディングしてから明るい曲をやる、みたいなことができなくて、近い雰囲気の曲調で揃えてレコーディングしたりしました。今日はロック、今日はポジティブ、とかで気持ちを切り替えながらドラムを叩いたので、そういうところも聴いてもらいたいですね。あと、ハキイ。にこれ言うのちょっと恥ずかしいんですけど、ハキイ。が書いてる歌詞のめちゃめちゃハッピーな歌詞じゃない、現実味があるところが好きなんです。言葉は少し暗めだけど、メロディーに乗せると明るく感じるようなところは気にして聴いてほしいです。

ハキイ。:やっぱり歌詞を見ながら曲を聴いてほしいっていうところは強く思っています。もちろんドストレートに言葉を伝えている曲もあるんですけど、Aメロでサラッと歌ってるところが、最後まで聴いたからこそ、「だからこういうこと言ってたんだ」って伝わる曲があったりして、ちゃんと伝えていきたい大事にしている部分なので、歌詞に注目してもらえたら嬉しいです。

― 全国30箇所のツアーが始まります!意気込みはいかがでしょうか?

ハキイ。:この2年、全国ツアーをやって急激にいろんなライブハウスの人と仲良くなってめちゃめちゃグルーヴが高まっちゃって、ここも行きたい、ここも行きたいと挙げていったら、、、

キシベ:結果、過去最多の30か所のツアーになりました‘(笑)今すでに知ってくれているお客さんに新しい一面を見せたいのもあるし、対バンで初めて見てくれた人をどれだけ自分のものにできるかみたいな挑戦のツアーかなとかも思ってます!

ハキイ。:過去最多のツアーで、これだけ多ければ出会う人も確実に多いので、お客さんはもちろん、対バンやライブハウスのスタッフさんも含めて、仲間を作りに行きたいなと思ってます。たくさんライブをやってきたけど、「一緒に頑張っていこう」っていう仲間がまだまだ少ない気がしていて。このアルバムをひっさげて、対バンだけじゃなくて、各地で応援してくれてる人も含めて、1歩踏み込んだ仲間になれるような、そんなツアーにしていきたいなと思います!

ー 最後にリリース、そしてツアーに向けて一言お願いします!

キシベ:私たちのライブバンドとしての良さを発揮できるように、今めちゃめちゃ準備して気持ちも高めています。ライブを見てくれたらきっと印象も変わると思うので、ぜひライブハウスに遊びに来てください!

ハキイ。:高校の時から数えたら多分苦節15年ぐらいですかね。満を持しての1stフルアルバム、この活動は無駄じゃなかったなって思えるようなアルバムが出来たし、音楽はイヤホンから聴ければいいって思う人がたくさんいる時代だとしても、聴いてもらった上で「ライブハウス行ってみたい」って思ってもらえるような曲をたくさん詰め込んだので。ライブハウスに来てでっかいスピーカーで感じてもらえたら、桃色ドロシーの良さが絶対に伝わると思うので。ぜひそれを体感しに、全国30か所どこでもいいので遊びに来てほしいなと思います!


◼️リリース情報

2024年5月29日(水)リリース

1st Full Album「ユナカイト」

M-1 ネバーランド
M-2 声に乗せて    
M-3 好き嫌い       
M-4 泡沫       
M-5 捲土重来        
M-6 月明かりを進め ※サブリード
M-7 またね           
M-8 明日の道標  
M-9 Re:プロローグ 
M-10 ライブハウス
M-11 ずんちゃか

価格:3,000円(税込)/ 2,727円(税抜)
品番:MMDR-006

◼️ライブ情報

全国30ヶ所に及ぶ桃色ドロシー“ユナカイト”Tour 2024開催決定!!
【ファイナルワンマンライブ】
10月18日(金):渋谷Spotify O-Crest