このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

ラックライフ interview
- SPECIAL -

ラックライフ interview

メジャーデビュー後、待望の1stフルアルバムをリリースするラックライフ。常にライブで向き合う瞬間を大切にし続けている彼等の『宛先のある音楽』がこのフルアルバムになって、9周年当日の3月15日に全国へ送られる。

ラックライフとしての9年間だけではなく、メンバーそれぞれの4つの人生を、何万人の人生に重ね合わせる為の1枚。「誰かへの」ではなく「あなたへの」手紙です。

Talking Partner : TATSUKI

–まずはメジャー1stフルアルバムリリースおめでとうございます。

PON:ありがとうございます。

–結成日の3月15日にリリースということで思い入れも深いんじゃないですか?

PON:そうなんですよ。一生に一度しか出せへんメジャー1stフルアルバムを結成日に出せるなんて運命的じゃないですか。出会ってきた人達に逆誕生日プレゼントをできればいいなと思ってます。

–今回のアルバム、いろんな節目にもなると思うんですが、制作が始まった頃からコンセプトは決まってたんですか?

PON:最初はコンセプトとか全くなく、思ったことをとにかく歌にしていきました。「9年の節目の日にリリースするんだな」って思いながら出来上がったものを聴いてみると、9年間のいろんな事を思い出せる曲が沢山入ったなーって。
良くも悪くも、幸せな事も悲しい事も山ほどあって、思ってたよりも9年間しっかり生きてきたんやなーって改めて思えました。ちゃんと生きてきたし、今ちゃんと幸せだし、これからもっと幸せになっていくだろうしと思えて、出来上がった時から嬉しかったですね。

–なるほど。その曲たちへの想いをアルバム曲を中心に伺っていきたいです。まずはリード曲の「サニーデイ」について聴かせてください。

PON:リード曲の候補が3曲あったんですが、このアルバムにはこいつじゃないかなって、作っていく段階で感じられた曲ですね。
綺麗事を「それ綺麗事やん」って、最近みんなよく言うじゃないですか。「偽善やん」みたいな。そういうの嫌だなって思って。本当に思ってる事を言ったのにそんな事言われたら嫌だし、本当に思っていればそれは綺麗事じゃなく理想に変わっていくんじゃないかなって。LOVE&PEACEが一番いいじゃないですか。それを目指して何が悪い?むしろ目指そうや!みたいな気持ちで、言いたい事ばっかり書いた曲ですね。

–そういう想いが後半部分は特に強く出ていますよね。

PON:そうですね。あとは、「みんながみんな幸せになれるように」ってフレーズがとても勇気のいるフレーズでした。これ言ったら嘘くさいとか言われるかなとかも思いましたし。
勇気出して歌ってみて、録ってみて、聴いてみて、改めてこれが言いたい事だって思えました。
そう思えたのが嬉しかったっていうのが本音ですかね。

–「あなたの心にどれだけの人が住んでいますか」というフレーズを聴いて、ライブで実際に面と向かう瞬間をとても大事にしているラックライフだからこそ出せる言葉だなって思えて、この曲を一曲目から聴いちゃったら「このアルバム絶対いいアルバムじゃん!」って思えました!

PON:ありがとうございます!

–そして「view」について聞かせてください。これまた力強い曲ですね。

PON:速いですよねー(笑)

–歌詞にも疾走感がありますよね。これはどういう時にできたんですか?

PON:自分が、「これは大事だ!大事なんだ!」って思ってることをずっと思い続けてると、何で大事にしてたんだっけ?って思うことがあるんです。「大事にする」っていう意識だけが先行してしまってわからなくなるみたいな。そんなとき凄く自分にガッカリするんですけど、脳みそより心で理解出来てる方がいいなって思うんです。心で理解していれば、「大事大事」って言わなくても自然と大事に出来るんじゃないかなって。

–個人的な話なんですが、こういった2ビートの速い曲って、聞いていても歌詞を置いてけぼりにしてしまうことが多かったんです。でもこの曲ってスピード感に言葉がぐいぐい付いてくるというか、歌詞がむしろ先行して走ってる意識さえ感じました。

PON:昔よく通っていた道をふと思い出して、あそこ今どうなってるんだろうなーとか考えるんです。散歩がてら通ってみると、この道こんな狭かったっけ?とか、ここどうなってたっけ?とか、いつも触れてて変わらないと思ってたものも、たまにしか触れないようになるとその変化に気づける感覚があって。そんなことを思ってこの曲はスタートしましたね。

–なるほど。もともとストーリーとして存在してるものだから言葉が曲に負けないんですね。そして「shutto」についても聞かせて下さい。

PON:これはもう、自分しっかりしろよ!ってことだけを歌ってますね。長い間バンドやってると麻痺してくることがあって。「俺頑張ってるしなー」とか、頑張れてないのにそういう気になってしまうこともあって。周りがドンドン人気が出て売れてきて、「あいつら頑張ってたもんなー」って思った時に、嬉しい反面、なんで悔しいって気持ちが先にこないのかなって思えて、自分情けないなって。
仲間がカッコいいのは誇りだけど、それを眺めてる側でいいわけないし、必死に頑張っていかないと一生一緒にやれなくなってしまうし。
人を認めると同時に自分と比べることをやめてしまってはダメだなって。

–なるほど。歌詞の話なんですが、PON君が使う「〜なのです。」とかのですますの使い方が大好きなんですよ(笑)

PON:意識しているところではありますね。自分を出していいところではなるべくいつもの自分に近づけたいって思うし、言葉遣いも普段使わないような言葉は使わないし。この曲はそういうのを特に意識してますね。

–「アイトユウ」は既にリリースされてるので、触れないつもりなんですが一言だけ言わせて下さい!これは僕が想う「理想の恋愛」です!

PON&某マネージャー:(笑)

–いやー本当にそうなんですよ。出会って何年だっけ?って(照)

PON&某マネージャー:(笑)

–いやーシングル曲は既に色んなインタビューで話されてますもんねー。

PON:そうですねー。でもアイトユウいい曲ですよね。

–話しますか!(笑)

PON:そうっすね!(笑)これは友達が結婚する時に作った曲なんですよ。高校の時の同級生カップルが8年付き合ってやっと結婚するってなって、嬉しくて嬉しくて、結婚するなら曲作るでー!ってノリで言って。シングルにするとかそういうの全くなく、二人の為に書いて結婚式で歌えたらもうそれでいいかなって思っていたんですが、人のことはあまりかけないタイプなので書いてるうちにどんどん自分のことのようになっていったんですよね。
この曲で言いたいのは「男の方が幸せにする」っていうのはもうやめましょうってことですね。二人で幸せを作っていきましょうって話ですね。

某女性マネージャー:え、女性から「幸せにしてあげる」って言われてもいいってこと?

PON:うん、全然いい。

某女性マネージャー:私は「私が幸せにしたい」っていう男前キャラでした!

–でしたってことは今はどうなんですか?

某女性マネージャー:今はもう、、、この歳になるともう、、、わからないです(笑)

一同:爆笑

——さて、そんな「アイトユウ」からの、「君の匂い」

PON:失ってから気づくことって多いじゃないですか。それの典型的な曲ですね。実家で飼っていた猫が死んじゃった時に書いた曲です。去年の秋頃に、母親から猫がもうそろそろ危ないから会いにきてあげてって連絡がきて、会いにいった次の日に死んじゃったんです。その後実家に帰る度に猫の気配がどんどん消えていくんですよね。カーペットについた猫の毛や、家中にあった猫っぽい匂いとか。今まであったものが徐々に消えていってすごく寂しいなって。家にいてくれたことを証拠として曲にしたかったんです。
住む家がここでよかったの?ってやっぱり聞けないじゃないですか。生きててももちろん聞けないんですが。そんな事も含めた歌ですね。

–「素晴らしい世界」。とても言葉が多い曲ですね。

PON:そうですね、これも言いたいことをとにかく詰め込んだ曲ですね。ライブハウスの歌です。聴いてくれてる人達がどう思ってるのかってTwitterとかで知れるようになったじゃないですか。僕そういうSNSとかよく見るんですが、「私ここにいていいんだろうか」って書いている人がいるんです。ラックライフのライブでよく「笑って帰れよー」って言っていて、俺等もめっちゃ笑うし、見てくれてる皆もめっちゃ笑うし、「みんなが沢山笑っている中で一人泣いてしまっているのっていいのかな、迷惑じゃないのかな」って書いてあって。そんなんどっちでもいい、そこにいてくれてるだけで俺等は救われてるし、存在そのものが正解やから、そこにいたいと思ってくれてるならいてくれよ!ってことが言いたい歌です。以上!(笑)

–「ラブリープリティーミュージック」!これはラックライフのテクニカルでトリッキーな部分がガッツリ出ていますね!

PON:やっぱりアルバムなので、こういうアトラクション的というかスパイスになるような曲があって違う一面を見せられたらいいなと思ってます。踊らせるバンドが多いじゃないですか。ラックライフって「踊れー!」って煽れるようなそういうタイプじゃないけど、でもみんなが楽しくなってくれるんだったら頑張ってみてもいいかな、みたいな(笑)

–踊らせるけど、ちゃんと温度が優しいですもんね。

PON:そうですね。やってみても、「あ、ちゃんとラックライフだな」って思えましたね。

–歌詞も楽しいですね(笑)

PON:ちょっとふざけましたね。メンバーに「『ラブリープリティーミュージック』って歌ってくれへん?ここ皆で歌いたいねんけど」って言うの恥ずかしかったですもん(笑)

–そして「モーメント」。これもアルバムのスパイスになりますね。これはいつ頃の曲ですか?

PON:これは「風が吹く街」を書いてる時期に、タイアップ候補曲として一緒に書いた曲ですね。そのアニメの中に「したことに後悔は無い、しなかったことにのみ後悔を感じる」という意味合いの言葉があって、「したことに後悔は無い」って言い切るのって凄いなって思ったんです。僕は思い返したらいっぱいあったので、なんて強い人なんだろうって思うと同時に、どうやったらそういう風に生きられるんだろうとも考えたんですけど、結局あまり答えは出なくて。ただ、今をどう生きるか、っていうことなんじゃないかなって僕の中で思ったんですよね。そんな風に思いながら書いた歌です。

–3拍子の音楽ってなんだか言葉に深みがより一層増しますよね。

PON:なんなんでしょうね、このマジック。だからこそ、メロディーや言葉を書くのがより一層難しいんですよね。その分の深みはもちろん出せますけどね。

–そして「赤い糸」。

PON:これはメジャーデビューしてからのことを歌ったんですけど、目に見えないところでラックライフの音楽を愛してくれている人がいることを知って、それを改めて実感して作った歌ですね。
デビューしてから北海道で3ヶ月間毎週1時間のラジオ番組をやらせてもらってたんです。北海道は5年前に一回ライブ行ったっきりだったので、誰が聞いてくれるんだろうって不安だったんですよ。でもやらせてもらってるうちに聞いてくれる人がいてメッセージくれる人がいて、弾き語りでインストアライブやればきてくれる人がいて、そこで、「こんなにも自分達の音楽を目に見えないところで愛してくれてる人たちがいるんだ」って改めて感じました。ブースの中で一人で喋ってるだけだと思ってたんですけど、全然一人じゃなかったんだなって思えたんですよね。ラジオの向こうでうなずいたり微笑んだりしながら聞いてくれてたんだなって思ったらとても愛しい気持ちになって。
作曲ってとても孤独な作業で、自分が救われたいが為に曲を書いたりしてたんですけど、この事で自分の為に歌うなんて滅相も無いというかそれどころじゃないってなって、ラックライフの音楽を愛してくれる人たちに歌わなきゃって思えたんです。

–なるほど。ラックライフの曲って、不思議で、PON君からエピソードを聞くと、他のどのバンドよりも一つ一つの言葉の意味が愛おしくなるなって思うんですよね。

PON:誰宛でどういう気持ちで作ってるかっていうのは、大事ですよね。ちゃんと宛先のある音楽だから。

–今回選曲はどういう風にしていったんですか??

PON:メジャーデビューしてからだけがラックライフじゃないから、シングル曲に関してはインディーズの時のシングルも入れたいって話をしていました。デビューしてからラックライフを好きになってくれた人でも、デビュー前のラックライフも絶対好きになってもらえる自信もあったので。

–なるほど。今回特に曲順が凄く気になったんです。いい意味でしっかりセクション分けされてるなっていう印象がありましたね。

PON:ライブのセットリストっぽさはありますよね。そういうところ意識してるっていうのはありますね。「アイトユウ」から「君の匂い」、そして「風が吹く街」っていう並びの部分が凄く好きなんですけど、ラブソングの後に別れの曲がきて、そのあとに思い出して前に進むっていうストーリーがこの3曲にはあって、素敵だなって思ってるんですよね。

–本当に随所に美談が隠れている作品ですね。今回のリリースツアーに向けての意気込みを聞かせて下さい。

PON:ライブハウスにいるときくらいは、生きてるだけで丸儲けって思ってもらえるような時間にしたいですね。その上で、辛い時も乗り切れるような幸せを渡していきたいです。ワンマンシリーズも過去最大規模になってるので新境地ですけど楽しみです。

–そして10周年に向かっていくんですよね。

PON:そうなんですよねー。よく言われるんですが、今目の前にあることに夢中になってて、まだ何も具体的には決められていないんです。でも何か喜んでもらえるようなものはしていきたいですね。

–今回のCDを手にとって下さる方々にメッセージをお願いします。

PON:ラックライフって、音源もいいんですけど、ライブもいいんです。
ライブハウスで面と向かって歌えたら俺も幸せやし、あなたも幸せになれるはずなんで、ぜひライブハウスに来て頂けたらいいなと思います。

–最後に、今回の作品を漢字一文字で表すならなんですか?

PON:「歩」ですね。歩いてきたなって。

–ありがとうございました!