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ЯeaL interview
- SPECIAL -

ЯeaL interview

2016年3月のメジャーデビュー以降、着実にその名を広めてきたЯeaLが2017年一気に大ブレイクする予感がする。今作が売れなきゃ困る。そう思わせる間違いなく最高傑作。全曲の作詞作曲を手掛けるRyokoのロングインタビューは必読。

インタビュアー:ブッキングマネージャー窪田

-今作でЯeaLというバンドを知る方もたくさんいるかと思います。改めてバンド結成の経緯から聞かせてもらおうかなと。まずRyokoさんがバンドをやりたいと思ったきっかけはなんだったのですか?

Ryoko(写真中央右 Vo,Gt 以下…R):元々音楽はやりたいとは思っていたものの、踊りながら歌うアーティストに憧れていたので、ライブハウスとかバンドって怖いというイメージもあったし、最初からバンドを組みたいと思っていたわけではないんですよね。でもダンスがとにかく苦手で(笑)、しかもRyokoちゃんの声はバンドに向いているんじゃない?ということを言われたこともあって、そんなタイミングでBLUE ENCOUNTさんのライブを福島2nd LINEに見に行ったんですよ。そのライブがもう衝撃的過ぎて。もうその瞬間からバンドやりたい!ってなっていましたね。

-Ryokoさんの人生観を変えてしまうくらいの衝撃度だったんですね。

R:とんでもなかったですね。物販に置いてあったCDを全部その場で買って、そのあとすぐに同じギターが欲しいと思って買いに行きました。後々調べたら同じギターを買ったつもりだったんですけど、全然違ったんですけどね(笑)。当時はもちろんギターの種類とか全然知らなかったから同じ見た目というだけでギター買ってルンルンしてました(笑)。

-なるほど(笑)。そこから今のメンバーを集めることになるわけですね。

R:そうですね。バンドをやるならとにかく売れるバンドをやりたいという明確な意思を持っていたので、「私に付いてきてくれたら売れます」って言っていたんですよ。そこでベースのFumihaと意気投合して、Fumihaと同じ学校でドラムをやっていて、尚且つ太鼓の達人が上手いからという理由で(笑)、Aikaを連れてきてくれて、ギターのYurikaとは高校のオープンキャンパスで知り合っていて、バンドやりたいと言っていたので誘って、それでЯeaL結成しました。

-思い立ったらすぐ行動なのですね。

R:正にです。即行動ですね(笑)。いつもそうです。ただ、バンドを始めてすぐに最初の壁にぶつかるんですよ。そのタイミングで楽器も始めたから、もちろん楽器も弾けないし、ましてや曲の書き方がわからなくて。とにかくいろんなバンドを聴いて解剖していったんです。どうやって曲が出来ているかとか、どういう演奏をしているのかとか、アレンジを知りたくて楽器ごとに曲を聴いてみたりとか。とにかく必死でしたね。

-逆に言えばそれがまだ4年半前とかくらいのことですよね?そう考えたら恐ろしい成長度ですよ。この状況になるまでに相当大変だったと思います。

R:自分の時間は一切なかったです。バンドの運営面も年間計画立てて、ライブのブッキングからグッズ制作とか全部やっていたので。しんどい時期もありましたけど、自分で言い出して自分で始めたことだし、高校在学中でメジャーデビューというのも計画の中に入れていたし、すべてをバンドに捧げた感じです。

-今高校在学中にメジャーデビューという計画という話がありましたが、それは当初から考えていたのですか?

R:売れるための計画はバンドを始める前から作っていました。1年ごとの計画とそれをまとめた30歳くらいまでの全体の計画。

-今こうやって話していると19歳でバンドをやっている子と話している感覚にならないですね。A&R、マネージャー、プロデューサーみたいな視点。

R:昔からこうなんですよ。だから同世代の周りの子たちと話が噛み合わなくて(笑)。めちゃくちゃ生意気だったと思います。

-その意志の強さがЯeaLの原動力なんでしょうね。そしてリリースされる『19.』(ナインティーンピリオド)。19歳の終わりということで、バンドを結成して5年目を迎えてるわけですがビジュアル面も相当大人になりましたよね。

R:結成当初の写真と比べたら誰!?ってなりますよね(笑)。特に私以外のメンバー3人の変化がすごいなって感じます。

-そんな結成からの一つの集大成ともいえる今作ですが、どんな仕上がりになっていますか?

R:ラーメン食べたあとにカレー食べるみたいなもう満腹なアルバムですね。

-すごくわかります。幸せにお腹いっぱいになれる作品ですよね。

R:いわゆるアルバム曲的な曲を入れたくなくて、最初から最後まで1曲も飛ばすことなく聴ける1枚にしたかったんですよ。全部シングル曲みたいな。あとはコンセプトとしては、すべてのタイミングに寄り添えるアルバムにしたかったんです。あらゆる場面を切り取ったときのリアルな心情とかをアーティストとリスナーではなく、人と人として向き合うような感覚。楽しいことやキラキラした部分だけではなく、悲しいことや暗い部分も表現したくて。このアルバムが聴いてくれる人の傍に常にあったらいいなと思います。

-今お話があったように幅広い楽曲たちが収録されていますよね。曲作りはどうやっているのですか?

R:その時その時の自分の感情を書き出しています。メロディも歌詞もアレンジも一気に頭の中でイメージできることがほとんどですね。ドラム、ベース、ギターなどがどう鳴っているというのも。

-そこまで一気にですか?

R:そうですね。頭の中で曲がブワっと出来上がるんです。昔は弾き語りで曲を書いて、それをアレンジャーさんとやり取りしながらデモ音源にしていたのですが、今は打ち込みができるようになったのでドラム、ベース、ギターまで、自分の頭の中のイメージをデモにしてます。

-ЯeaLの楽曲は演奏も相当難しいですよね。

R:理論とかではなく、頭の中のイメージをそのまま曲にするからですね(笑)。

-相当大変そうですね(笑)。

R:メンバーには無茶ブリしてますね。でも頭の中で鳴ってるからしょうがないと思ってもらってます(笑)。

-今作の楽曲について1曲ずつ聞いていきたいと思います。
まずアルバムのスタートなるのは「カゲロウ」。この曲でЯeaLを知ったという方も非常に多いかと思います。

R:ЯeaLにとってターニングポイントの一つとも言える曲です。デビュー前の不安な時に作った楽曲で、実は元々書いていたのは1番の部分だけで、アニメ「銀魂.」のタイアップの話をいただいてから2番以降を書いて完成させた楽曲です。メロディとかはほとんど変わっていないのですが、デビュー前に書いた部分とその後書いた部分で感情の変化があるんですよね。昔は何事にもマイナス思考でネガティブだったんですけど、デビューしてからいろんな経験をして、苦しい思いもあったけど、それでも傍にいてくれる人たちを大切にしたい、トラウマなども全部受け止めてしっかりと前を向いて進んで生きていこうと思えるようになったんです。だから2番からすごく前向きになっていて、きっとデビュー前にこの曲を完成させていたらこの歌詞にはならなかっただろうし、この曲の破壊力は違っただろうなと思いますね。結成してからのいろいろなことが凝縮されているというか、私自身やЯeaLの成長を感じられる曲でもあるかなと思いますね。あとはこの曲で自信がつきました。自分の言いたいことを詰め込んだけど、ちゃんとみんなに受け入れてもらえた感覚。デビュー当初はなるべくわかりやすい言葉を使って、わかってもらおうとしていたんですけど、実は自分自身の言葉を使った方が伝わるんだなということがこの曲で知ることができました。

-そんな楽曲に続くのは「ゆらりゆらりゆら」。タイトルからは想像つかない楽曲でした。

R:サウンドも含めてガンガン攻めてますからね。自分の気持ちって定まらないことも多いと思うんです。漠然としているというか。そんな表し様がないものをこのタイトルに置き換えました。歌詞の内容はすごくネガティブですね。明日になったってそれだけじゃなにも変わらないことなんてすごく多くて、それを受け止めて言い切ることがスッキリすることかなって。

-そのテーマに面白さを感じました。こういったネガティブな曲って答えを提示するものが多いイメージだったので。

R:この曲を聴いてどう思ったかどうかが一つの答えかなと思います。この曲としては明確な答えがないのが答え。その漠然とした揺れ動くものがタイトルの「ゆらりゆらりゆら」。

-そして3曲目は「ナンセンス」。今までのЯeaLとは少し雰囲気が違う印象でした。

R:この曲以外は高校時代に書いた曲で、ほかの10曲を並べたときに、ちょっとニュアンスの違う曲が欲しいと思って書いた曲なんです。“無意味”をテーマにしてみたんですけど、それに対していろいろ考えてしまってすごく悩みました。結局レコーディングの直前まで全然曲が固まらなくて。先ほど話したカゲロウで得た自信が元になって、今までみたいに全部を詰め込まなくてシンプルな物でも良い曲が作れると思えるようになったのが大きかったですね。

-ライブでも盛り上がりそうな曲ですよね。

R:ライブ感はすごく意識しました。ただ、ライブで聴いたら楽しいけど音源だとイマイチみたいな曲にはしたくなかったので、この曲はそこのバランスがうまくできたかなと思っています。

-4曲目の「仮面ミーハー女子」。この曲を聴いた時の衝撃が忘れられないです。一気にЯeaLワールドに惹き込まれて、去年のベストCDに選ばせていただきました。

R:それ見ました!すごく嬉しかったです。ありがとうございます。最初は夏の恋愛ソング的な感じだったのですが、これじゃただの恋愛ソングで面白くないなと思って、大部分を書き換えました。冒頭部分しか残ってないです。8曲目の「エゴサーチ症候群」という曲がこの曲より前に出来ていて、あの曲はガッツリSNSに特化して書いているので、それの進化版みたいな感覚で、SNSと人と人の繋がりや関係性みたいなものをリンクさせて書いた曲なんです。サウンド面はキャッチーながらも2ビートでゴリゴリな感じがやりたくて、ЯeaLっぽさもだしつつというのは意識しました。

-演奏相当大変そうですよね。テンポもかなり速いし展開も激しいですしね。

R:みんな最初ヒーヒー言ってました(笑)。

-5曲目の「H.O.L」。この曲ちょっと違った印象で個人的にツボにハマっています。

R:この曲だけいつもの全部をブワっと書く書き方じゃないんですよ。当時はまだ8ビートの曲しか書けなかった時期で、四つ打ちの曲が頭の中ではイメージはあったんですけど、コード感とかがわからなかったので、他の曲でもアレンジでお世話になっていた中村瑛彦さんにこの曲のイメージを伝えて曲を書いてもらったんです。だからちょっと違った印象なのかなと思います。アルバムの中での良いアクセントになってますよね。

-タイトルの頭文字は何の略ですか?

R:“Hate Or Love”です。いつも曲のタイトルには歌詞の中にでてくるインパクトのある言葉を使うんですけど、少し視点を変えて、頭文字だけを使った曲というのを作ってみたかったんですよね。先ほどお話しした中村さんが書いてくださった曲を聴いて歌詞を書いていって、曲が完成したときに、いつかやってみたかった頭文字だけをタイトルにする曲にしよう!って思いました。

-6曲目の「カタリナ」。これは造語ですよね?

R:そうですね。今メインで使っている白いギターの弾き心地がすごい良くて、気分良く家でギター弾きながら鼻歌を歌っていたらメロディと共にこの「カタリナ」というワードがふとでてきたんです。普段は思いついたワードだったりを整えて歌詞にしたりするのですが、この曲はそのまま出した感じですね。普段は鉢に入れてキレイに花を咲かせてみたいな感じなのですが、この曲に関しては雑草を抜いてそのまま置くみたいな感覚ですかね。私の中での特殊な感覚なんですが、現実と夢の境目があまりないというか、現実が夢で、夢が現実みたいな時があるんです、現実が夢であってくれたらいいのにって思ってしまう究極の現実逃避的な。スクランブル交差点を一人で歩いている時とかにそういうことを思ったりします。私のそんな内面の一部分を切り取ったような曲ですね。

-7曲目の「チョコレートコスモス」も最初造語かと思いました。

R:昔読んだ本にこの言葉がでてきて、このワードがすごく気になったんです。私も造語かと思っていたのですが、調べたら実在する花で。しかも「恋の終わり」「移り変わらぬ気持ち」という正反対・両極端の面白い花言葉だったので、そこからイメージを膨らませて書いた別れの曲ですね。

-両極端な花言葉ですよね。

R:私の性格に似てるなと思ったんです。好き嫌いがはっきりしていたり、絶対終わらないと思っている反面、絶対終わるって思っていたり、両極端なんですよ。だからこの花言葉にすごく惹かれたんです。

-そして8曲目の「エゴサーチ症候群」。

R:ЯeaLって本当にエゴサバンドで(笑)。SNSって便利ですけど、現代社会の闇の部分でもあると思うんです。集合体の中で知らないことがあるという恐怖というか閉塞感みたいな。歌詞の中にもでてきますけど、元カレの今の彼女とかもすぐ調べることができちゃうじゃないですか。そんな世の中だからこそ本当の気持ちとかわかりにくいし、みんなそこに縛られていたり、がんじがらめな部分があるなって。さきほども話しましたが「仮面ミーハー女子」はそれを少しかみ砕いた曲ですが、この曲はそこにもっとフォーカスを当てた曲ですね。

-現代ならではの楽曲ですよね。そしてメジャーデビュー曲である「秒速エモーション」に繋がっていきます。1年振り返ってみてどうですか?

R:デビューすることになって、100曲くらい書いた中で最後にできた曲だったので、すごく苦労したのは覚えていますね。すごく苦労して生み出した自分が最高傑作だと思ってリリースしたCDがなかなか世の中に浸透しなかったということが、すごく悔しかったですし、悩んだり、全部投げ出して辞めてやると思った時期もありました。もちろん簡単なことではないことは理解した上で、なんでだろうって思って。でも諦めずにもっと頑張ろうって思って動いていたときに少しずつ状況が良くなってきて。諦めなくてよかったなと思いますし、メンバー・スタッフさん・いつも応援してくれるファンの方々への感謝の気持ちがすごく溢れています。1年での成長かなと思いますね。この曲を聴くと当時の感情を思い出しますし、初心に帰ります。改めて今作でこの曲を聴いてもらえたら嬉しいですね。

-10曲目の「それを恋と呼ぶのなら」。ЯeaLの曲で明確に恋という言葉がタイトルになったところに珍しさを感じました。

R:すごく恥ずかしいです(笑)。好きな人に渡すラブレターを誰かに読まれてしまってみんなに言いふらされるみたいな感覚(笑)。この曲は珍しく全くひねくれてないんですよ。こんなに純粋に恋とか好きという気持ちを表現した曲は今までになかったんじゃないかな。でもこれも私で、先ほどもお話しした両極端な私の片側部分だけを切り取った曲ですね。ライブでやるのが恥ずかしいです(笑)。

-この変化球は良いアクセントになってますよね。

R:そうですね。この曲順でこの場所にザ・J-POP的なこの曲があることに意味があるかなと。

-そして最後を飾るのは「スタートライン」。アルバム最後にこの曲というところに次に進む意志を感じました。

R:デビュー前にメンバーとめちゃくちゃケンカして、その日のうちに書いた曲ですね。デビューシングルのカップリングに収録されているので、デビュー直後はこの曲をライブでも演奏していたのですが、この曲を自信を持って表現できるバンドにはまだなれていないなと思って、しばらくやっていなかったんです。この曲にまだ自分たちが追い付けていなかった。デビューから1年経った今はようやくこの曲に追いついたかなという感覚があって、だからこそアルバムの最後にこの曲を持ってきました。今のЯeaLならしっかり表現できるかなと。ナインティーンピリオドという19歳の終わりに改めてスタートラインに立てました。本当の意味でのスタートライン。

-シングルのカップリングはこの曲以外アルバムに収録されていないですもんね。

R:そうなんです。カップリングはアルバムにあまり入れたくなかったんです。アルバムにはアルバム用の曲を入れたくて。でもこの曲だけは今作に入れることに大きな意味がありますからね。

-新たなスタートを切るЯeaLの次作も楽しみですね。

R:もうこれ以上は作れない最高傑作を作ったという自信はありますし、作った当初はこのアルバムが売れなかったらバンド辞めますくらいの気持ちを冗談ではなく持っていましたが、完成したアルバムを改めて聴いてみて、これが現時点の最高傑作ですべてを出し切ったという気持ちはありますが、次作への意欲や可能性を感じている自分がいます。今までの自分の中での価値観や常識を壊せました。もうすでにアルバムが作れるくらいの曲もありますし、今作でЯeaLというバンドの土台、一つの答えが出せたかなと思うので、次作も楽しみにしていてほしいです。

-楽しみにしています。今作をひっさげてのワンマンツアーがまもなく始まりますね。これも非常に楽しみです。

R:初のワンマンツアーで、10代でできる最後のワンマンでもあるし、今までの集大成的なツアーにしたいです。あとは全公演色を変えたいなと思っています。

-攻めますね。

R:場所ごとの思い入れやイメージなどもあるので、セトリも変えたいなと思いますし、来れなくて悔しいと思わせるようなワンマンにしたいんですよ。全箇所観たいと思わせるようなバンドになりたくて。

-このインタビューを読んだら全箇所行きたくなってしまいますね(笑)。

R:待ってます!絶対損はさせないので!

-楽しみにしています。これからも応援させてください。

R:ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!