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井上苑子 interview
- SPECIAL -

井上苑子 interview

井上苑子から10代最後の夏という節目のタイミングにふさわしい、新境地とも言えるバラードソングが届いた。SUPER BEAVERの柳沢亮太と再タッグを組んだ期待値満点の今作についてのインタビューは必見。

-今回リリースされる「なみだ」ですが、苑子ちゃんの過去作でここまで明確な別れ描いた歌は今までほとんどなかったですよね?

井上苑子:そうですね。アルバムの収録曲で別れの歌があったことなどはありましたけど、ここまでの別れの歌でしかも夏にリリースというは過去にはなかったですね。

-夏にこういった別れの曲をリリースするのは少し珍しい印象でした。

井上苑子:バラードソングをそろそろリリースしたいという気持ちがあったんですよね。少し大人っぽい世界観の曲。今までリリースしてきたシングルはキラキラしているイメージで、陽の部分が大きいかなと思うんですけど、そうではない陰の部分というか別の側面の私もみなさんに知ってもらいたいなという想いをスタッフさんにも伝えて、今回の制作が始まりました。

-そういう大人な部分も見せたいというのはやはりそれは今年12月で二十歳になるという部分が大きいのでしょうか?

井上苑子:そうですね。それは大きいです。あとはありがたいことに今作で5枚目のシングルなんですよ。だからそろそろ違う角度の楽曲をリリースしてみたいなという想いも強かったので、10代最後にこういった楽曲をリリースすることができて嬉しいです。

-夏という季節感へのこだわりはあったのですか?

井上苑子:夏という季節にこだわって制作を始めていったわけではないですが、今回は失恋ソングを書きたいという気持ちがあったので、雰囲気などいろいろなパターンを考えて、今回共作させていただいたSUPER BEAVERの柳沢さんと相談してイメージを固めていって、夏の失恋バラードという形になりました。

-今話がでたように、苑子ちゃんのインディーズ時代にも何曲か共作をした柳沢さんとの久々の共作ですもんね。

井上苑子:久しぶりの共作の話が決まって嬉しかったです。柳沢さんが書く曲が本当に好きで、SUPER BEAVERもいつも聴いているので、どんな曲が完成するんだろうと常にワクワクしながらの共同制作でした。柳沢さんは歌詞はもちろんなのですが、普段の会話も含めて言葉遣いのセンスが本当にすごいんですよね。いつも驚かされます。私がこういう風にしたいというイメージを伝えると、何十倍も明確な言葉で返ってくるんですよ(笑)。

-苑子ちゃんもSUPER BEAVERも大きなアーティストに成長していて、今またこのタイミングでのタッグを組むというのはインディーズ時代から見てきている僕としてはすごく感慨深いものがありました。お互いアーティストを続けてきたからこそ今があるのかなと。

井上苑子:すごく嬉しいことですよね。柳沢さんが作る曲ってキャッチーで聴きやすいけど、説得力があって。あとは1番と2番の構成が違ったりなど曲の構成も柳沢さん節炸裂という感じです。特にラストのサビが終わった後の部分がすごくお気に入りで、ほかのどの部分が変わったとしてもこの部分だけは絶対残してください!って懇願しました(笑)。

-バラードで柳沢さんとの共作というところもすごく大きな意味を持っているかなと感じました。

井上苑子:ただの別れのバラードにはしたくなかったんですよね。温かさは表現してくて。SUPER BEAVERの「赤を塗って」という曲が大好きで、私のi Tunesの再生ランキング1位なんですけど、この曲のような切ないけど温かさのある曲にしたかったので、それも柳沢さんに伝えて、私のイメージ通りの別れの中に温かさがある曲に仕上がりました。

-柳沢さんと共作した「線香花火」などは何年か前の曲ですが、いまだにライブなどでも非常に人気のある曲ですし、今回の久々のタッグが発表になった瞬間から非常に楽しみでした。

井上苑子:柳沢さんとの共作という情報が解禁になった時点で、良い曲というのは確定ですね!みたいなリプライをTwitterでもすごくたくさんもらって。MVのショートバージョンが現在公開されているんですが、それもすごく好評ですね。井上苑子×柳沢亮太というタッグをみなさんが楽しみしてくれているのが伝わってきています。

-しかも曲中に“線香花火”というワードがでてきますよね。

井上苑子:そうなんです!!!!よく気付いてくれました!(笑)。これは気付く人にしか気付かないこの曲のポイントの一つです。

-これにはグッときました。

井上苑子:しかもグロッケンの音で「線香花火」のサビの一部を演奏しているんですよ。

-それは気付かなかったです!

井上苑子:柳沢さんがレコーディング中に提案してくれたんです。絶対面白いからって。

-それは鳥肌モノですね。すぐに聴き直します。

井上苑子:レコーディングしたものを聴いた瞬間にブワっと感情が溢れましたね。この「なみだ」という曲と「線香花火」という曲は世界観が繋がっているんじゃないかと感じる方もいるかと思いますし。

-いやー、なかなかの仕掛けを入れてきましたね。

井上苑子:してやったりです(笑)。他にもスチールパンとグロッケンを同じ個所なんですが違うメロディで絡ませるようなイメージで重ねていたり、いろいろな工夫が入っています。その辺りも含めてレコーディングのその場で決めて具現化したことが多かったので、1つの曲をみなさんで作り上げている感がありました。

-歌詞の中に“なみだ”という言葉はでてこないところもポイントなのかなと思いました。

井上苑子:あえて使いませんでした。“あなたの目には優しさがこぼれそうになっていると思う”という言葉で表現しました。伝えたい言葉を違う言葉で表現することって言葉選びのセンスが問われると思うんですよね。最近すごくそれを感じていて。なので、柳沢さんに協力してもらって学びながら歌詞は書いていきました。今後にも活かしていきたいと思っています。あと歌詞の中では“未来だなんていつまでも未来のままだと思っていた”という部分がポイントだと思います。私は今まで未来は未来としてしか捉えたことがなかったので、すごくハッとさせられたというか。この曲において未来だと思っていた彼との別れが現在になった瞬間って覚悟が決まるタイミングだと思うんです。ここで過去と未来の時間軸がしっかり表現されているので、この曲の重要部分ですね。

-歌詞の中にも“精いっぱいの背伸び”という言葉がでてきますが、苑子ちゃんの実年齢からすると今回の曲はやはり少し大人っぽいかなと感じました。

井上苑子:今までの私の曲の感じだと“なんで?”とか“行かないで”とか悲しい・寂しいという方向性になっていたと思いますが、今回はそれを封印しました。この曲の主人公のイメージは相手のために自分の感情を押し殺せる強さを持っていて、少し大人ぶっている子で、でも強がっている分、一人になった時に弱い感情が溢れでてしまう女の子らしい部分も持った子でもあるので、そこの絶妙な心境を表現できたらいいなと思いました。私ならこの強がりはできないですけどね(笑)。

-ハハハ(笑)。そうですよね。苑子ちゃんはこういうタイプではないですもんね(笑)。歌の表現も難しかったんじゃなですか?

井上苑子:歌うというより話すイメージでやりました。あとは冒頭部分は歌とギターのみなので、繊細にしっとり歌ったほうがいいのかなと思っていたのですが、主人公が強い女の子なので逆にしっかりと強く歌うようにして表現したりなど、全体的にいつもよりしっかりと強めな感じで歌うようにしましたね。

-MVの世界観もすごく良いですね。

井上苑子:500個の紙灯篭に囲まれて歌ったのはやはり気持ちがグッと入りましたね。幻想的な世界観でしたし、歌っていてすごく気持ちよかったです。感情が入り込んで涙を流すシーンもあるのでそこも見ていただきたいなと思います。

-2曲目の「雨のラブソング」は苑子ちゃん王道的なポップで爽やかな恋愛ソングですね。

井上苑子:雨上がりをイメージして曲を作ろうと思って、一度完成していたんですけど、途中から雨の中で楽しんでいる女の子って可愛いんじゃないかなと思って、レコーディングの日に全部書き換えました。

-レコーディング当日ですか!?

井上苑子:スタッフさんには迷惑をかけてしまいました(苦笑)。レコーディング前に少しここの部分書き直したほうがいいじゃない?みたいな会話がでて、そこを変えるならここも変えたいみたいな話に発展して、それであれば全部変えようということになりまして。そこから6時間で書き直しました。

-相当バタバタでしたね(笑)。

井上苑子:でも書き直していく中で自分の中でしっかりイメージが作れていたからか、歌録りは今までで一番早いくらい短い時間でいけたんですよね。

-無事に終わってよかったですね。そんな曲に続くのは「スタート!」。この曲はまさに苑子ちゃんそのものというか、初めて聴いたときから苑子ちゃん本人のイメージが強かった曲です。

井上苑子:ミズノ部活応援宣言のタイアップソングなのもあって、最初は部活を頑張っている人たちに届く言葉ってなにかなと考えて歌詞を書いたりしていたのですが、私自身も夢に向かって今音楽活動をしているので、そこがすごくリンクして重なってきて、昔路上ライブをやっていた時とかを思い出しながら歌詞を書いていきました。自分自身の応援ソングにもなっています。

-苑子ちゃんを昔から近くで見てきている分、この曲の歌詞にはグッときた部分がありました。

井上苑子:求められることが大きくなってそのプレッシャーに押しつぶされそうになることもあるし、音楽は好きで始めたけど、今はその好きという気持ちだけじゃなく、支えてくれる人たちへの感謝の気持ちや恩返しをしたいという気持ちがあるから続けていけている部分も大きいです。この曲の歌詞は私自身とリンクしますね。ライブでも盛り上がるポップで楽しい歌なのでこれからライブの定番曲の一つになっていくんじゃないかなと思います。

-今作をリリースした直後には主催イベント『いのうえ夏祭り2017』の開催がありますね。

井上苑子:今絶賛いろいろ準備しています!ライブ前の時間帯に外サブステージで縁日的な感じでチケットを持っていない方でも遊べる空間を作るんです。屋台もあるし催し物もあるし、現時点ではまだ発表できていないこともまだあって、私自身がめちゃくちゃ楽しみにしています。もちろんみなさんにとっても最高の夏の思い出になる1日にしたいなと思っているので楽しみにしていてほしいです。

-僕も当日行く予定なので楽しみにしています。

井上苑子:ありがとうございます!

-これからも応援させてください。

井上苑子:これからもよろしくお願いします。