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東京カランコロン interview
- SPECIAL -

東京カランコロン interview

東京再起動を経てたどり着いた新境地。

「打開」の意識を超えた先にあったそれは、とても穏やかで懐かしく温かい感情。

新しい東京カランコロンの代名詞「わすれものグルービィ」について聞きました!

Talking Partner : TATSUKI

—10月3日「わすれものグルービィ」がリリースされますね!おめでとうございます!!!

いちろー(以下:い)&せんせい(以下:せ):ありがとうございます!

—早速聴かせていただきました!まず印象的だったのはリード曲でもある「ユートピア」。とても王道の構成の中で楽曲のインパクトがとても強いというか今までで一番早くに強いインパクトを受けるイメージでした。この曲のコンセプトを聞かせてもらえますか?

い:サビのメロディーが頭の中にあったので、以前メンバーとセッションをしたんですが、そのときはあまりいいアレンジが浮かんでこなかったんです。そのあとにAメロとBメロのイメージができたので再度スタジオで合わせたら、みんなからもいいアイデアが出てきて完成に向かって行きましたね。
本当はもう少し全体的にいろんな要素を入れようかなと思ったんですが、引き算をしっかりしつつも最終的にはカランコロンらしさも引き出せました。
今までの僕らだったら、サビに行くまでにもっといろんな展開や味付けをしていたと思うんです。でも今回はスピーディーに展開していけたんです。それはカランコロンらしくもありつつ、王道のやり方で組み立てていけているから聴く人にまっすぐに伝わって行くんじゃないかなって思えていますね。

—今回はいちろーさんがかっちりはめ込んだんじゃなく、メンバー全員で落とし込んでいった感じなんですか?

せ:メロディーはいちろーさんが固めたものを持ってくるので、構成の流れはある程度ある中でのアレンジでしたね。ただ、それぞれの楽器のアレンジに関しては、各々が思うものを出し合って固めていった感じでしたね!

ー今回のミニアルバムのコンセプトはどのようにあったんですか?

い:今回収録している曲以外にも候補曲がいくつもあったんですが、まずが収録曲を決定して行く中で、「いい歌である」ことが全員での共通認識としてありましたね。これはいまのレーベルに移籍してから貫いてきた信念でもあるので。
全体像としては、懐かしさや子供の頃に見た風景、学校の校庭とかそういうものがイメージとして浮かんでいました。でもそれは“昔を懐かしむ”というテーマだけではなくて、いまメンバー5人が同じ方向に向かっていけている自分たちにワクワクできている現実をそこに織り交ぜて同居している、というテーマに重きを持てたなと思っているんです。
子供の頃って、ちょっとしたことでワクワクできたじゃないですか。そしていろんな経験を経てワクワクできているいまの僕らってそこから繋がってるって思うんですよね。その同居したテーマが一番最初に出てきて、結果的に「わすれものグルービィ」っていうタイトルにつながって行きました。
忘れ物っていうのは「ユートピア」の歌詞の中に出てくるんですが、いまのワクワク感は“いつの間にか忘れていた気がするもの”なんです。東京再起動というプロジェクトを動かしていたときはきっとその時の現状が苦しくて、打開しなきゃってずっと思っていたと思うんです。爆発的なエネルギーが必要だったから。それを乗り越えて壁の向こう側に行った時にいまの気持ちがあるんですよね。「隅できらめいた忘れ物」っていう歌詞はまさにそれだと思います。
そこに、いまの自分たちが動き出している様子をプラスしたくて言葉を探しているうちに「グルーヴ」っていいなって。いまの自分たちの鼓動がある感じ。でも「グルーヴ」「グルーヴィー」だとなんかかっこよすぎるなって思って。「星のカービィ」みたいに「グルービィ」にしました(笑)

—いままさに同じことを思っていました(笑)

せ:その世代ですよね(笑)

—今回「ユートピア」がこのアルバムにかなり大きな影響を与えてるのかなって印象なんですがいかがですか?

い:そうですね。楽曲よりも特に歌詞だと思います。この曲の歌詞を書き上げて今回のアルバムの全体のイメージがしっくりきた感じはありますね。
前作まではとにかく「打開」っていうテーマが大きくあったような気がするんです。歌詞の中にも「ビル」だったりとか、都会の無機質なものに囲まれた自分を描いていたなと思いますし。でも今回は、そういうのを一気に捨てられたんですよね。

—せんせいは「ユートピア」が完成した時どうでした?

せ:んー、力抜けたなーって感じでしたね。2サビ後のギターソロ的なセクションがあるんですが、ギターソロなんだけどギターソロじゃないみたいな感じになっていて、これは今までのカランコロンじゃできなかったんじゃないかなって思うんです。いろんなものをそぎ落として、そこからさらに肩の力を抜いた状態やから作れた曲なのかなって思いますね。そのアレンジが浮かんだ時に、「これ大丈夫?ギターソロもガッツリ入ってないしさらっとしてるし、薄味じゃない?」みたいな意見ももちろんあったんですけどね。でもこれもちゃんとカランコロンじゃんってちゃんと思えたのはこのアルバムが完成したからだし、その中でもこの「ユートピア」っていう曲が大きな影響を持っているんだなと思います。

—ありがとうございます。そしてこのアルバムを持ってリリースツアーが始まりますね!意気込みを聞かせてください!

い:いまのレーベルに移籍してからライブへの意識が変わったのは、この1年くらいどのインタビューでも口にしてることなんですが、答えをずっと探し続けてきたんですよね。その中で今年の春のツアーでようやく自分とお客さんが何をどう共有したいのかが見えた瞬間があって、それ以来ライブが楽しみで仕方ないんです。いまの自分がお客さんと会うのが。楽しませ方は色々あるんですが、根本の部分に初めて芯が通ったので早く向き合いたいですね。
せ:新しいけど懐かしい気持ちになってくれるライブにしたいなと思います。カランコロン側の受け入れ態勢がすごいんですよ(笑)。今までのライブとの印象は変わるけど、それが新しくもあり懐かしい感じになりますね。それしか言ってないけど(笑)
感じ方はいろんな捉え方をしてもらっていいと思えてるし、どんな感情を抱いてもらってもいいんですが、最後は笑顔になって帰って欲しいなって思います。
そして久しぶりの人にも聴いてもらいたいですね!
い:今回のアルバムのアレンジだったり言葉って、お客さんと面と向かってやり取りして感じたことが入っているんですよね。だから面と向かって共有したいですね!

—じゃあ最後になりますが、今回の作品を漢字一文字で表現するとしたら何でしょうか?

い:夕暮れの「夕」。ブルーと混ざったような夕暮れのオレンジのイメージがあるんですよね。夜に近づいてるというよりは日が落ち始めたばっかりの夕暮れですね。懐かしさと晩御飯の匂いがしてくるようなイメージ。

—ありがとうございました!