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マカロニえんぴつ interview
- SPECIAL -

マカロニえんぴつ interview

『「CHOSYOKU」をリリースした今だからこそかける曲があった』

新しいだけを追うわけではなく、今の感情をそのままに表現した新作「レモンパイ」がリリースされる。

彼らが思う今のリアルな感情をぐっと閉じ込めたこの1枚が出来上がるまでのストーリーを熱く語ってもらいました。

Talking Partner : TATSUKI

—まずはセカンドシングル「レモンパイ」リリースおめでとうございます!

はっとり(以下:は):ありがとうございます!

—しかも今回は「王様のブランチ」の10月度のエンディグテーマに決定ですね!

は: タイアップをいただけるところまで来たのかと思うと嬉しい限りです。

—はたしてこれをシングルと呼んでいいのかっていうくらいのボリューミーな1枚ですよね!

は:そうですね、今回はshibuya club QUATTROでのワンマンライブの際のライブ音源も収録されていますからね!

—早速聴かせていただきましたが、表題曲の「レモンパイ」とっても意外でした!今回はこんなにメロウな感じで攻めてくるんだなと!曲を作っていく上でのコンセプトは何かあったんですか?

は:“「CHOSYOKU」をリリース後の1枚”という意味はとてもこもっていると思います。
その前の作品の「s.i.n」をリリースした際に、いろんな方からとてもいい評価をいただけたんですね。当時、それが純粋に嬉しかったんです。今までと違うことを試みて、言い方が少し悪いですが、「若者ウケはしないのかもしれないな」と思っていた作品だったから。自分の趣味を取り込んでそれを前面に出した1枚だったんですよね。そんな1枚が評価をいただいたので、自分たちがもっと目に見える形で変わっていくものだと思っていたんです。でも思ったようにはいかなくて、想像したよりも小さな変化しか生めなかったので少し凹んではいたんですよ。そこにメンバーの脱退の話があったりもしましたし。いいとは決して言い難いモチベーションだったんですが、「CHOSYOKU」を作るにあたって、開き直って1から新しいバンドを始めるくらいのつもりで作り始めたんです。いろんなことをあんまり気にせず、好きなことを詰め込んで、探り探りではなく、思い切って振り切ってやったんですよ。だから、評価を気にすることなくいいものができたって言い切れる作品が作れたんだと思います。結果的に関係者からリスナーの方まで「いい!」と言ってくださるものができたと思うし、先輩アーティストや仲間のバンドがSNSでマカロニえんぴつのCDがいいって話をしてくれたりしました。
最初は「評価されなくてもいいや!」に近い開き直りでいたんですが、すごく愛してもらえるアルバムになったんだなってそこで実感できましたし、許されたとさえ思えたんですよね。「s.i.n」って許してもらえなかったって印象だったので。「CHOSYOKU」は好きなことを詰め込んで許してもらえたから、もう一個の次のフェーズに入れたんです。マイナスな考えの曲作りではなくて、何を出しても許してもらえそう、っていうイメージができて来たんですよね。
今回のシングルはその延長線上で作ってるんです。「CHOSYOKU」の延長。だからあのアルバムを好きな人にはきっとこの「レモンパイ」も好きになってもらえる自信もあるんですよ。

—なるほど!そう言われると確かに納得できますね。

は:ただ、「ミスター・ブルースカイ」からのこれかって言われると、確かに違和感を覚える方もいるのかもなって気はしないでもないですね。でも「CHOSYOKU」から「レモンパイ」までを自然なテンション感で作ってこれたので、そこを踏まえて聴いてもらえたら、すっと飲み込んでもらえると思います。

—「CHOSYOKU」と同じ思いを特に感じるのはどのあたりですか?

は:エモさっていうんですかね。結構叫んでたなって思うんですよね、あの時は。メンバーの脱退もあったし、「別れ」がテーマだったものもありましたしね。ただ今は、それを感傷的に歌う温度感でもなかったので、次の曲は別れのテーマではなく、始まりをテーマにしたものって決めてたんですよ。「レモンパイ」は恋の始まる前、始まりそうだけど始めないこともできる。そんな恋の始まりを歌った歌です。

—TALTOに移籍してからずっとインタビューさせてもらってますが、当初の頃からの作品からの繋がりを確かに感じました!
これって、朝食後のデザートの「レモンパイ」っていう掛け方もしてるんですか?

は:お、なるほど!それは考えてなかったけど、そういうことにしましょう(笑)

—お、なるほど!そうしましょうか(笑)

は:この曲って今までにない作り方をしたんです。まずイントロがあって、それをみんなでスタジオで合わせていたんですが、今までなかったリズムにフレーズか乗っかっていってなんかいい感じこの感じ!ってなったんですよね。そこから進めて行ったんですが、あのイントロが出来上がったくらいでちょうどスタジオの終わりの時間になってしまったんですが、ある程度形にできそうな段階まできたら曲に仮タイトルをつけるんですよ。それが「レモンパイ」だったんですよね。本当になんとなくだったんですが、甘酸っぱい感じがレモンパイだなって。普段は歌詞を書いてから。仮タイトルとは全然違うタイトルを結果的につけることが多いんですが、今回は仮タイトルの「レモンパイ」から歌詞が引っ張られたんですよね!
これはマカロニえんぴつの歴史の中でも初めてのパターンですね!

—新しいですね!!

は:本当に新しいパターンでワクワクしましたね!

—何がすごいって、「レモンパイ」というタイトルから歌詞を広げていけるのがすごいです(笑)

は:僕レモンパイ食べたことないんですけどね(笑)
レモンでもないし、アップルパイでもないしなー、っていう甘酸っぱさがちょうどよかったんですよね。
経験っていうわけではないんですが、自分ってこういう人間だよなっていう面を表してるなと思ってるんですよね。今回は恋をテーマにしていますが、何につけても何かに執着しない方が心が楽だなって思うことはあって。
恋が始まる前が楽しいのは、「始まってない」からであって、だからこのままの方がきっといいのにもう一つ先を求めてしまってここまでの何かを失うという。
音楽好きなら仕事にしない方がいいよ、ってものにもすごく近いですよね。みんなが感じることなんじゃないかなー。踏み込みたい、いややめたほうがいいんじゃないかなっていう葛藤は、今ならかけるなって思ったんですよね。もう少し年齢を重ねると、また全然違う表現や解釈になるだろうけど、今はまだギリギリ甘酸っぱいお年頃かなと(笑)

—アレンジやサウンド面についても聞かせてください。

は:楽曲に関しては、自分の好きなオマージュとかも取り入れて、より洋楽ライクな面を取り入れていきたいなと思っているんですよね。アメリカのオールディーズを感じさせる音作りだったり、フレーズ一つとってもそうですし。とにかく楽しく作れましたね!どんな楽曲作ればいいんだろうって迷いはそもそもなかったからこそ。

—自然体で作った楽曲に、自然に仮タイトルがついて、そこから自然に歌詞まで生まれたってことなんですね。

は:そうですね。さっきも話したように、「CHOSYOKU」の延長線上にいる感じで、ボーナストラックを作っているような感覚さえあったんですよね。これっていつまでもできることじゃないし、むしろ今しかできないことだとも思っていたので、だからこそ自然にこのベクトルに向かっていけたんだと思います。
とは言え、もちろんいろんな危機感や不安も持ってるんですよ。いつ離れていってもおかしくないんだって思っていますし、人が注目してくれて集まってくるということは、裏を返せば期待に応えられなかったら静かに人がいなくなっていくということだと思うし。そういうことを今まで何度も経験してきたことなので、もちろん今までは規模がもう少し小さいものでしたけどね。
そういった不安は常にありますが、その方がいいと思うんです、いい曲もきっとかけるだろうし、向上心も持ち続けられるし!
やりたいことはまだまだたくさんあるんですが、今回までは許して!って気持ちですね(笑) 半ばリスナーに甘えてる部分もあるのかなー。

—でもここまで積み上げてきた信頼関係があるからこそですよね?

は:無意識ですけど、それは確実にあるんだと思います。だからこそかけた曲だと思う。ラップも入れてみたし、空耳的なフレーズも入れてみたし、結構色々遊びも入れられたんですよね。

—なるほど!そしてもう一曲の「OKKAKE」についても聞かせてください。

は:これはレモンパイとはまた真逆の雰囲気の曲ですよね。普通はものギャップをシングルに閉じ込めるのはどうかと思うんですけどね。リスナーにやっぱり甘えてるのかなー(笑)

—そんなことない!!(笑)

は:これはバンドのことを歌った曲ですね。
「大事なお知らせ」っていうのをSNSでよく見かけますよね。バンドの解散や活動休止や脱退のお知らせをするときにある言葉。僕はバンドをやってる側だから、続けることがどれだけ難しいかなんて痛いほどわかってるし、めんどくさくなってやめてるわけでもないだろうし、単に売れる売れないが電池で動いてる部分もあるから、そりゃ電池が切れちゃったらしょうがないない部分もあると思うんですよ。そう思ってるからこそ、今まで曲にしてこなかったんですけど、今度はファンの立場になってみてこれだけ解散の発表が多い中でどう思ってるんだろうってなったんですよね。
解散発表の文に対するリプライで、「まだ受け止めきれていません」みたいなコメントをする方じゃなくて、あそこにリプライさえできずに、ショックで愕然としてしまってその後何もみたくなくなってしまうような、ある種とてもコアなファンの側に立って描きたかったんです。生きがいだったものが足を止めてしまったときのぐっちゃぐちゃな心境ですよね。
もっと自分目線でかくこともできたんですけど、ファン目線で書くことに意味があると思ったんですよね。

—この曲にこの感情を乗せるところが、とってもマカロニえんぴつだなって思ったんですよね。怒りなのか叫びなのか悲しみなのか、なんなんだろうなって。

は:ブレンドですね。全部がぐちゃぐちゃにつめこまれている感情です。
ただ、僕が感情が込めて歌えるのは、私情が入ってるから。演者としての思いも含めていろんな気持ちをこめた本当に混沌とした状態ですね。
単純に僕個人としては、仲間が辞めていくのに対しては「悔しい」の思いが一番大きいんです。ただ、歌をずっと歌い続けることができたり、歌ってあげることができたら、そいつらも俺らもまだ忘れられずにいられるんじゃないかなって思うんですよ。いつまでも歌い続けられる保証はないけど。
そう思ったのにもきっかけがあって、最近「マカロニえんぴつってこんなにいいバンドなんだ!」ってツイートを見かけたんです。その時思ったのが、名前を知られていることが売れるとか有名になるってことではないんだなって。歯がゆかったんですよね、まだ気づいてもらえてなかったのかって。ちゃんと自分たちのメッセージや伝えたいことを聴いてもらってそこに何かを感じてもらったときに初めて知ってもらうってことなんだなって思ったんです。
売れなくて辞めなきゃいけないってすごく悔しいし。だからもっともっと歌っていこうと今は思ってます。

—そして今回、ライブ音源も入っていますよね!選曲はどういった感じで行ったんですか?

は:以前ライブの来場者にライブ音源を配布したんですが、その時は結構ライブライクな選曲をしたんですよ。なので、今回はそうじゃなくてどっちかっていうと、音源を聴いて何感じてもらえるような曲というか、真骨頂みたいな内面的な曲をライブでやるとこうなるよっていうのを感じて欲しかったんですよね!ノリノリなライブもできるけど、ちゃんと聴かせるところは聴かせられるバンドなんだぜって知って欲しいです。

—そして、このシングルをもってリリースツアーがありますね!

は:本数としては過去最大規模ですね!前回の倍近くですね!こんな本数やったことないからどうなるんだろうって感じですけどね!行ったことない場所にも行けるのは嬉しいですよね!初めていくライブハウスも多いですしね!

—ツーマンツアーになってますね!

は:とにかく自分たちが大好きなバンドを呼んでますね!今までの絡みがというよりは好きという理由だけで(笑)

—そして今回ファイナルがeggmanですね!あえてeggmanを選んだ理由はあったんですか?

は:正直eggmanは最初苦手だったんですよ。でもやっとeggmanをホームと呼べるようになってきたんじゃないかなって思えてきたので。今だからこそこの場所でしっかりとツアーファイナルという一つの恩返しができればいいなって思ってるんです。
今回の規模のツアーファイナルでeggmanをやることで、心からのホームって呼べるようになる気がします!
あとは、もうちょっと頑張って今までよりもう一つ上の規模をやることも考えたんですが、お客さんと近い距離でライブをしたかったんです。全員の顔をちゃんとみながらライブをやりたいと思ったんです。

—ツアーファイナルの件もそうですし、今回のシングルもそうですし、今マカロニえんぴつが波に乗ってるんだろうなって印象があります。

は:ライブは特に本当に自信がありますね。この1年でステージに立つ時の心が目というか向かい方が本当に変わりましたね。お客さんと会話をできるライブを目指してます。マカロニえんぴつが好きできてくれている人たちとここでしかできない会話を今までしてこなかったのが相当勿体無いなと思うんですよね。だから、最近はコミュニケーションをしっかり撮れていると思うし、ライブで気持ちを確かめ合うのがすごく気持ちいいですね!

—ツアーの意気込みを聞かせてください

は:ツーマンツアーなので、憧れのコラボっていうのをやってみたいですね!全箇所でやるのは大変なのかもしれないんですけど、そんなこともやってみたいですね!全然なんの案も出てないし、こんな話メンバーにもまだしてないですけどね(笑)ただただやってみたいという願望です(笑)
あと、これも願望なんですが、今後リリースまでいきつけるのかどうかわからない新曲たちを、リリースの前にライブで披露してみて、お客さんがそこで何を思うのかっていうのも見てみたいなって思ってます。これはもう本当にまだなにも案がない状態なので、今回のツアーでというよりも、今後そういうことをしてみたいなっていう未来像です。
とにかくいろんなことをしてこれからも楽しませたいです!

—おもしろそうですね!!!では今回の作品を手に取ってくれる方にメッセージをお願いします。

は:誰にでもあったあの甘酸っぱい青春の思い出。現在進行形で青春してる人もいるかもしれません。
あなたの忘れもん(忘レモン)は忘れたことにしてるだけじゃないの?って問いたいので、あなたの青春をこのCDとライブで取り返しに来てください!

—最後になりますが、今回の作品を漢字一文字で表すとしたらなんですか?

は:でたー!これ超苦手なんだよなー!(笑)
んー、「辛」ですかね。「からい」、「つらい」。
水も甘いも経験したあなただからこそ、「からい」も「つらい」もわかるんじゃないですかね。

—ファイナルアンサー!?

は:ファイナルアンサー!

—ありがとうございました!!!