“UNIDOTS” = ドット(個)の集合体

ー　shibuya eggmanにはライブ出演の常連アーティストですが、本誌は初登場ということで、まずは自己紹介をお願いします。

■コンノツグヒト(Ba 以下“コンノ”)：　ボーカルの瑞葵とベースのコンノでやっているユニットです。　とはいってもライブ演奏はバンド形態でやってます。

ー　お二人はそれぞれUNIDOTS以外でも音楽活動をやってるんですよね？

■瑞葵(Vocal)：　私は澤野弘之さん(※1)という作曲家の方のボーカルプロジェクト「SawanoHiroyuki[nZk]」のボーカルとして、レコーディングとかライブに参加させて頂いてます。
■コンノ：　このバンドの活動以外でも二人で、ゲーム「FINAL FANTASY」の派生作品の主題歌を歌詞と歌、ベースで参加させてもらったりもしてますね。　あとはVRの「プロジェクトHikari」っていう漫画の読書をVRでやっていく、っていう新しいプロジェクトがあって、そのエンディングテーマを書き下ろしで担当させてもらったり。　

ー　ゲーム関連のお仕事が多いんですね。

■コンノ：　スクウェア・エニックスさん繋がりのものが多いです。　

ー　コンノさん単体での活動は？

■コンノ：　初音ミクの日本国内のライブツアー「マジカルミライ」のベーシストをやらせてもらってから、その繋がりで今度は海外ツアーの「MIKU EXPO」の方でも弾かせてもらえるようになって、国内外の両方のプロジェクトで同時期に活動してたもんだから、マジカルミライのライブの翌日に、MIKU EXPOのほうで全然違うバンドメンバーと、セットリストも違えば同じ曲でもアレンジが全然違う曲をヒィヒィ言いながら弾いてました(笑)。

ー　アメリカツアー、ヨーロッパツアーと、海外廻りまくってるチームですよね。　UNIDOTSやりながらよくやり遂げてましたね…

■コンノ：　ほんと過酷でした…(笑)、楽しかったですけど。　

ひとつひとつのライブを大切に、気持ちを込めて作っていく。

ー　それぞれそうやって個々でもワールドワイドな人気を誇るコンテンツの音楽家として活動しながらも今、UNIDOTSとして活動してる訳ですが、元々瑞葵さんは「イツエ」、コンノさんは「Prague」でバンド活動していたんですよね。　その後二人がUNIDOTSを始めることになったきっかけって何だったんですか？

■コンノ：　それこそeggmanでライブを最初にした事がきっかけだったと思いますね。　その後活動を続けざるを得なくなった、、、というのが正しいかも(笑)。
■瑞葵：　やり始めはなんかとってもふわふわしてて、まさかこんなにちゃんとやり続けることになるとは思ってもなかったんですよ。
■コンノ：　前のバンド活動後に、ようやくそれぞれの仕事が始まったばかりだったのもあって、お互いそういうやる気とか時間の掛け方とか、いろいろ相手を探り探りでさらっとやってた感じだったんですよね。　

ー　瑞葵さんからは当時、次の活動を始めようとしてバンドにするかソロにするか、どういう音楽を誰と作っていくか、とかいろいろと話を聞いてました。　でも確かに迷ってましたね、すごく(笑)。

■瑞葵：　自分で曲を作って、それを歌っていきたい。　これだけでしたね、明確だったのは。　それをどういうかたちでやるかはそれはもう悩みに悩んでました。　いろんな人に演奏をお願いしてスタジオに入ってみたり、まだ名前が決まる前からライブをしてみたりしたんですけど、その中で自分の考えとか音楽に対する感覚が唯一ぴったりきたのがコンノさんだったんですよ。　でもお互いのどこまで踏み込んでやっていっていいのかもわからずに「このバンドでがっつりやって売れてやろうぜ！」みたいな明確な事をお互い言えないでいたと思うんですよね。　だからライブも「なんかちょっとやってみようかな？」みたいなさらっとした感じでやってみた、っていう。　それが初めてのライブで、eggmanでした。

ー　あれ(※2)がそれですか…なつかしい…。

■コンノ：　あの時は本当ギリギリまでライブのメンバーを調整して、曲のアレンジを詰めて…本番はもう精一杯やったっていう記憶しかないですね(笑)。　でもその日にライブ終わったら、次のライブの提案をしてくれたんですよね。

ー　その時のライブ覚えてます。　大いなる緊張と共にステージをHP2くらいの力を振り絞ってやってる感じ、儚くて美しかったです(笑)。　危なっかしいんだけど、見ていて先を期待しちゃう想像力の塊みたいな存在でした。　この種火は絶やしちゃいけない、と思いました(笑)。

■瑞葵：　…(笑)。　あの時は人生で味わったことがない位緊張してました(笑)。
■コンノ：　その時「良きタイミングでまたライブ誘う」って言ってもらって、後日連絡が実際来た時に、「あ、これはここで終わらない活動なんだな」って腹を括った感じがありました。　ライブが決まる=続けなきゃいけなくなる、っていう。　そこで「2回目はもうちょっと完成度の高いライブにしたいね」って二人で話して、そこから編成もいろいろなかたちを辿って今に至る訳で、あの2回目のライブのお誘いが自分の中ではUNIDOTSをやると決めたきっかけですね。僕の場合は、前のバンドがあんまり下積みがない状態でメジャーデビューしていきなりタイアップがついて、っていう活動だったんで、地に足がついてなかったんですよね。　バンド活動ってどうやってやるの？っていう順路をあまり経験できずに来てしまって、メジャーでやってる時の記憶が全然ないんですよ、だからバンドが終わった時には浦島太郎状態。　メジャーにいた数年間、巷ではどんな音楽が流行ってて、どんな同世代の仲間といえるであろうバンドが周りにいて、とかそういう情報が一切なくて。　だからUNIDOTSをやるって決めてからが、本当に自分でやってる活動だって思える感じがします。　
■瑞葵：　うん、私も「チケットをSOLD OUTさせたい…！」とか、そういう気持ちになれたのは初めてなんですよね、前はあんまりそこに気が向いてなかったというか。　今はもっと大事に大事に、UNIDOTSを育てていきたい、っていう気持ちがあって。

ー　UNIDOTSの良さはそこですよね、ライブひとつひとつをすごく大事にしている気持ちが伝わってくるところ。　これはライブを見ていて幸せな気持ちになりますよね、心がこもった空間にいる嬉しさ、っていうか。

■瑞葵：　伝わってくれてたら嬉しいな…。

主催ライブ全5回連続SOLD OUTの裏側。

■コンノ：　個々の活動もあったりするから、ロックバンドみたいにライブをガツガツ本数やれない状況にあったんで、それを逆手にとって、目玉になるような大事なライブを年に数本やっていく、っていう漠然としたビジョンがあったんですけど、それが去年事務所に所属することになった時に、事務所の意見と一致して、今年は年4回、季節ごとでの2manライブをやったんですよね。　

ー　去年のファーストワンマンから今年の企画4回の合計5本、主催ライブ全てがSOLD OUTっていうのはeggmanの年表上でもかなりの異例ですよ…しかもまだ音源未発表。　この5本のライブ、やってきてどうでした？

■瑞葵：　しんどかった…(笑)。
■コンノ：　まあずっと辛かったですね(笑)。　今年は3ヶ月に一回、毎回自分たちの進化を見せなきゃいけないっていうプレッシャーがすごかったです。　確かに二人とも何度もめげそうになってましたね。　今話しててようやく「あぁ、終わったんだ」って実感が湧いてきました(笑)。
■瑞葵：　一度「田舎帰る！」って言って事務所で泣き出しました、私(笑)。　その時散々大泣きして愚痴ってたら、事務所の社長が「うるさいからうまいもんでも食ってこい！」って一万円くれて(笑)、マネージャーと３人でわーい！って焼肉食べに行って英気を養った、っていう(笑)。　

ー　なんだかそういうエピソードを聞いてると、事務所との波長もばっちりですね。　それもUNIDOTSチームのあったかい雰囲気の所以かな、って。　メンバーとスタッフそれぞれの人柄がチームからにじみ出てるっていうか。

■瑞葵：　本当に、今のチームがなかったらここまで出来てないですね。　今のバンドメンバーもすごく心の支えになってるし。　私、いつもライブの時って緊張しすぎて、特に今年のSHIKISAIは自分たちにとって看板行事だし、本番ステージに上がる前に吐きそうになるんですけど、ドラムのUさんが背中さすってくれたり、ギターの哲くんが大丈夫、って声かけてくれたり。　本当にこの一年は特にみんなに支えられてばっかりだったなぁ、と思います。　連続企画はやる前からやってる最中の期間も、毎回泣いたり、怒ったり、時には深夜まで長時間ミーティングもしながら、ああだこうだ言い合って作ってきたんで、今はやりがいとみんなへの感謝の気持ちでいっぱいなんですよね。　

ー　その愛のあるチームの遊び心がライブ以外にも飛び火したのが、今回初披露となったMV「舗道に咲いた花」ですね。

■瑞葵：　あれ本当にびっくりしました…(笑)。　前半部分の粗い画像のシーン、チームの皆さんが半年間練りに練って企画した私の隠し撮り映像なんです(笑)。
■コンノ：　撮影の時は本当、バレないかドキドキしましたね(笑)。　
■瑞葵：　MVの監督さんチームと初めて会うミーティングの風景なんですけど、すごかったですよ。　居酒屋みたいなところでミーティングしてる席にすごい数のカメラが隠されてて。　全く知らない私は気の抜けた顔してたり、チラチラ携帯見てるのが撮られてたり、本当恥ずかしい…(笑)。

ー　でもその素な表情とかがおもしろいですよ (笑)。　このMVでリスナー的には初めて、ライブ以外で手元で聴ける曲のフォーマットを手に入れることができた訳ですが、今後もまた何かの形で他の曲も聴けるようになる予定はありますか？

■ 瑞葵：　…まだ具体的には言えないんですけど、何かの形でまたすぐにみなさんに聴いてもらえる曲を発表したいと思って今色々進めてます。

— まもなく！って事ですね。　あとはやはり次に控えたセカンドワンマン。　これが直近の目玉イベントですね。　どんなライブにしたいですか？

■ 瑞葵：　さっきUNIDOTSが始まった時のライブで感じた、って言っていたような、ハラハラするけどなんか期待しちゃうような、未来につながる線が見えるようなライブにしたいな、って思ってます。　わくわくする感覚を途切れさせたくないな、って。　今自分が持ってるものしか出せないけど、それを最大限に膨らませて精一杯ライブしたいと思います。　来てくれる人たちに会場で会えるのが今からすごく楽しみです。

※1「澤野弘之」… 機動戦士ガンダムUC、進撃の巨人などの楽曲制作で知られる音楽作家。
※2「あれ」… UNIDOTSのeggman初出演時のライブ。 2015/12/16、Qaijff(元クアイフ)企画東京編にeggmanからの推薦で出演してもらい、正式なバンド形態でのUNIDOTS初ライブがこの日となった。共演はQaijff、aquarifa。
※3「SHIKISAI冬編」… 2018年に開催した合計4回のUNIDOTS主催2manライブの最終公演。