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WOMCADOLE interview
- SPECIAL -

WOMCADOLE interview

<h3 class=”is-center title”>ライブがしたいんですよ、俺ら戦闘民族なんで。</h3>

幼馴染と組んだバンドは途中それぞれ必然的に出会うメンバーも引き連れ今年、ROCK IN JAPAN FESTIVALへの初出場を果たし、その翌週も翌々週も連日大阪、東京とライブに明け暮れる活躍っぷり。 幼少の頃STAR WARSごっこで遊び連れた仲間と、今では日本を代表するロックフェスでのステージに出向き、生活範囲は地元オンリーから全国へ。 発信源滋賀から日本各地を遠征する彼らは、確かに容姿は今時の若者風でも根は反骨心剥き出し、音楽で敵にぶつかり続ける好戦的な連中だ。 それでも歌われるトピックにはヘイトだけでなく、後悔や迷いのような自分の弱い部分も多く描かれ、嘘なくまっすぐな歌詞には、今多くの同世代の賛同者が集まり始めている。 最新シングルのリード曲「アオキハルヘ」は、更に彼らの重ねた経験からくるアレンジ力も加わり、爽快に突き進む過去最高の疾走感で、バンドの新たな展望を連想させる楽曲に仕上がっている。

Interview & Text : 鞘師 至

至近距離疾風最高速度。

ー 今作『アオキハルへ』の表題曲「アオキハルへ」、これはまた突き抜けた曲ができましたね。 爽やかだからなのか、BPM云々とはまた違う意味でこれまでで最速の疾走速度に感じます。

■樋口侑希(Vo/Gt 以下 “H”): 確かに曲調はこれまでで一番爽やかですね。

ー この曲はどんな状況で生まれた曲?

■H: 普段から家にこもって曲作る事が多いんですけど、この曲が出来た時はちょうど曲作りに行き詰って自分の部屋にいた時で、ふと窓から外を見たら集団でふざけながら家に帰ってる中学生が見えたんですよ。 “俺にもこんな時期あったな…” って思ってたら自分の中学時代の事を色々思い出してきて、その時にめっちゃ好きな人がいたんで、その子の事を書こうと思ったら、もう一瞬で出来ました(笑)。 で、昔だったらこの曲、ただの思い出話の曲で終わってたと思うんですよ。 でももう今は曲書いたらそれは自分個人のものじゃなくて、聴いてくれる人のものにもなる訳で。 だから俺の豪速球を受け止めてくれ!ってくらいの感じで、思いっきり聴いてくれる人に投げつけられるような曲にしました。 

ー 確かに、中学生の当時に曲にしてたらこうはならなかったのかもしれないですね。

■H: そうですね、当時にそのままの気持ちで書いてたら絶対バラードになってましたね。 こんなにスピード感のある曲にならなかったと思います。 やっぱりいろいろライブを重ねてきた事で身についたスピード感っていうのがこの曲の肝になってるんじゃないかな、って。 学生の頃じゃなくて今の感覚で作ったからこのかたちになった、というか。 

ー 歌詞では後悔とか切なさとかを描いても、楽曲の疾走力で力強い曲になってますよね。 憂いを打ち消すくらいの爽快感っていうのは、ジャケ写にも反映されてますしね。

 

■H: このジャケ、これまでも「ワタシノハナシ」(1s. mini album)からずっとうちらのジャケをやってくれている方に頼んだんですよ。 いい感じにふてくされてる感じの少年感出てますよね(笑)。 まさにこういうのが撮りたかった。

■古澤徳之(Gt/Cho 以下 “F”): レコーディングに関してもずっと一緒の人にこれまでお願いしていて、奈良に住んでる最高に狂った最高のエンジニア、今回もその人にお願いしました(MORG/WAVE RIDER門垣良則氏)。 今回そういう意味では、信頼できてる人たちにビジュアルもサウンドもお願いできてよかったですね。

ー 最高に狂った… (笑)

■F: このエンジニアさん、本当に狂ってるんですよ(笑)、機材量も、サウンドも。 スケールがデカ過ぎる。 おかげで今回も納得いくものに仕上げてくれました。

ー ジャケもサウンドも、歌詞と楽曲の空気感にしっかりハマってますよね。 そういう意味では、メンバーだけじゃなくそういうスタッフも含めてチームの結束力は強くなっていってるんですね。

■H: そうですね、今は塊感がすごいです。 もう戦車ですよ(笑)。 

ー サウンド面では「人間なんです」(M2)に一番曲調と音質のシンクロを感じました。 ザラついた感じと艶やかな感じが混ざったギラギラ感、みたいな。 エンジニアの方とメンバーが分かり合ってる感じが音から出てる、というか。

■H: 本当に分かり過ぎてくれてますよ(笑)。 それこそエンジニアさん、「このギター絶対樋口くんに合うよ〜」って言ってその1回のレコーディングの為にめっちゃ高いギターを買ってくるんですよ(笑)。 

■安田吉希(Dr 以下 “Y”): レコーディングの度に100万円位の代物をね…(笑)。

■H: で、実際弾いてみると本当にばっちりハマるっていう。 

■F: 常に惜しみない気持ちで向き合ってくれるんですよね。

ー ちなみに他にもレコーディングで楽器隊的にこだわった部分ってありますか?

■F: 安田がけっこうドラムの部分でこだわってますね。

■Y: 今回収録の曲って4曲どれも雰囲気が全然違うもので、リズムの入らない曲以外の3曲もそれぞれベクトルがあるので、1曲目「アオイハルヘ」は爽やかだけど、それだけに寄りすぎないように芯のロックっぽい雰囲気を残すように、2曲目「人間なんです」はパンチ重視でゴリゴリザラザラに、とか曲ごとに音色とかフレーズはこだわって使い分けていきました。 これまでの作品の中で一番考えて作り込んだんで、発見も多くて、また次にレコーディングする時の為のお題も自分の中で見つけたし、そういう意味ではすごく自分の為になるレコーディングでした。

ー レコーディングでスタジオに入り始めてから曲をブラッシュアップする部分が多いですか?

■F: まず原型を樋口が持ってきたらプリプロ(本番録音前の仮レコーディング)の段階で安田が一回構成を練り直すんですよ、その後黒野(Ba)がフレーズを決めて行って。 僕は直感で決めたフレーズで一発で決め込んでいきたい方なんで、最初は一旦俯瞰で聞きながら、安田と黒野の基盤が出来上がった段階で樋口の持って行きたい方向を見つつ一気に作っていく、っていう流れですね。

ー 4人のバランスっていうのがちゃんとあるんですね。 

■黒野滉大(Ba 以下 “K”): 役割分担はお互いに見えてて、いいバランスは取れてると思います。

ー その中でもギタリストって1〜10まで作り込む傾向がある人が多いと思うんですけど、古澤さんはちょっと違うんですね。

■F: バンドに憧れた当初に聴いていたような初期衝動駆り立てられる音楽って、やっぱり今でも自分たちの中で色褪せないんですよね。 要はファーストインプレッション。 俺もそれを超えるものを作るためには、迷って作ってたらダメだな、って思っていて。 だから構成作りが得意なメンバーが基盤を作って、そこを信じて直感でフレーズ決めるやつは一発で決めて、って感じで曲をリードしてくポイントをメンバーそれぞれで分けてます。 自分のギターの部分で言えば “ここでこうしたい、ああしたい” っていうアイディアはいくらでも出てきちゃいますからね。 弾いてれば弾いてるほど生まれてくるものなんで、だったら一番信じられる直感のものを採用!っていうのが一番本当の自分に近いものなんだと思うんですよ。 

戦なんでね、ライブは。

ー ライブではあんなに荒くれ者なのに(笑)、チームワークは高いってなんかかっこいいですね。

■F: 樋口とは幼馴染なんですよ。 小さい頃にSTAR WARSごっこでビームサーベル振り回して一緒に遊んでたり。 その時はまだお互いにこんなに一緒にいる存在になるとは思ってなかったですけど、でも付き合い長いんで、あんまりお互いの意識を気にしなくても疎通が取れてますね。

ー 今ではその幼馴染とROCK IN JAPAN FESTIVALまで駆け上がって。 ここまで来たらもう突き進むしかないですね。

■H: もっと上に行きたい!っていう欲望がもう…尽きないっすね(笑)

■F: 欲しかないですね。

■Y: ROCK IN JAPAN FESTIVALは本当にめちゃくちゃ楽しかったんですけど、一周して悔しさも残るんですよね。 トリのバンドの盛り上がりとか見ててやっぱり負けたくねえ…!って。 ただでさえ普段からライブではオラーッ!って感じでやってるんで、今回は終わってみたら本当に悔しいし、絶対次に上がってやるって思いました。

■F: 安田はいつもライブの最中超恐いんですよ(笑)、ドラムの方向くと必ず「コロスゾ!」って言ってくるし(笑)。

■Y: 最近はないですよ! 昔はね(笑)。 やっぱりまずはメンバーとやり合う事から始まるっていう。 それだけ気合入ってるって事ですよ(笑)。

■F: 殺傷能力高すぎますよね(笑)。

■Y: みんな負けず嫌いな人間が揃ってるんですよね。 ステージの音量に関しても、ギターアンプ最近2台になったし、俺のドラムも普通のサイズより1サイズ大きいセットに変えたし、どんどん上がっていってるし(笑)。

■F: でもこっからは中音(ステージ内の音)下げてかなきゃね、外音(客席へのスピーカーの音)綺麗に鳴らせないからね(笑)。

■H: いや、音響が進化すればええねん。

■K: 音響が俺らに合わせろと(笑)。

ー 中が爆音でも外音良くできる音響を開発しろって事ですね(笑)。 

“歌ってる”っていう実感。

ー 今作の4曲を並べて聴いていて、やっぱりこれまで通りのこのバンドの軸はありながらも表現力は螺旋でどんどん上がっていってる感じがしたんですよね。 作曲方法だったり、曲での表現方法っていうのにこれまでと比べて変化は感じます?

■H: 作曲に関しては実際どう自分が変化していってるか、自分では言い表しにくいんですけど、ライブでは歌詞を言い換えるようになりました。 決められた歌詞の中だけに限らず、まだ俺には言いたい事があるんやな、と思って。 昔はライブでもそのままCDになった曲の歌詞をなぞるだけだったのが、最近ではライブで元の歌詞からことばを変えて、その時に言いたい事、思った事を歌ったりしてます。 曲ってリリースしたらそれで完成系ではなくて、ライブで色も表情も変わってくから、それに抗わずに変えていくっていう作業。 そういうところに関しては昔より進化してると自分で感じますね。 より”歌ってる”感覚が自分にある、っていうか。 

ー それは確かにバンド結成当初の経験値ではできない事かもしれないですね。

■H: 例えれば昔の俺は好きな子に告白する時でも、一所懸命事前に書いた台本を脳みそに叩き込んで言ってるだけの奴だったんですけど、今はマジで何も考えんと告白する、みたいな(笑)。

■F: それキュンキュンするわ〜(笑)。

ー 分かりやすいです(笑)。 ちなみにそんなバンド始めた頃は、目標ってどんな事だったんですか?

■H: アホやったんで、ただただ漠然とプロミュージシャンになる!って事だったかな。 どうなる事がプロなのか、とか全然分かってなかったですけどね。

■F: ライブハウスにでたらすぐメジャーデビューできる、くらいに思ってましたらからね(笑)。

■H: ただ今は人前で歌ってる時点でプロだし、志は”自分が神”くらいの意識でやらんといけないと思ってます。 それでも当時憧れたプロミュージシャンっていう存在になれてる実感はまだないんですよね。 昔の自分から見たら今の状態もプロっぽく写ってるのかもしれないですけど、やっぱりまだまだやれる事があって、満足には程遠いんですよ。 常に飢えてる。 だからずっとライブやってたいんですよね。 

ー 今描いてる目標っていうのはまた別なもの?

■H: ジャパニーズ一のロックバンドになる事。 頂をかっさらいますよ。