——8月5日のROCK IN JAPAN FESTIVALで初披露し、さらに今日はMV撮影をして、それぞれの中にどんどん楽曲が深く入ってくるような感覚があるのではないかと思うのですが、あらためてどういう曲が完成したという実感がありますか?
武井優心(以下:武井):めっちゃキャッチーな曲ができたなって思います。わかりにくいフックとか、「伝わらないけど俺はここが好きなんだよね」みたいな部分がない、わかりやすい曲ができましたね。
——それは狙い通りでもある?
武井:そういう曲であるべきだとは思っていたんですけど、いざ曲を書こうとしたときに簡単ではなかったので苦戦はしたんですけど。
——SKY-HIはどうですか?
SKY-HI(以下:S):一番よかったのは曲に無理やり感がないところで。コライトの必然性をちゃんと出せた。それはラップのアプローチの面でも、歌とラップの割合の面でもそうだし、歌詞も歌だと言いすぎになるところをラップで回収できたりとか。俺はちょっと「ラップが入りすぎかな?」と気にしながらレコーディングしてたんだけど、最終的に聴いたときにちゃんと喉越し爽やかな印象を保てたまま、曲としてのクオリティを上げる手助けをできたと思えたので。日本のポップスシーンにおいてもエポックメイキングな曲になったと思いますね。チェコのみんなが快く俺のことを受け入れてくれたがゆえにいい方向に転がっていけたなって。ありがとうございます。
武井:ありがとうございます。
S:いいえ、こちらこそ。
砂川一黄(以下:砂川):ありがとうございます。
S:いいえ、こ……。
砂川:今、途中で言うのやめたでしょ(笑)。
S:(笑)。
——そんな砂川さんはどうですか?(笑)。
砂川:ちゃんとチェコらしさがある曲だし、日高くん(SKY-HI)のよさも存分に出ている曲になっていると思うので。いい具合の着地点をお互い見つけられたのかなと思いますね。(SKY-HIに向かって)めっちゃ見てるやん。なんだよ(笑)。
S:砂川くんってモミアゲがないんだなぁと思って。
砂川:そこは意識しているところなので。
S:やったー!(笑)。
タカハシマイ(以下:タカハシ):カツラみたい。
砂川:なんのインタビューでしたっけ?(笑)。
一同:(笑)。
八木類(以下:八木):今日、MVの撮影をしながら何回も聴いてどんどん馴染んでいくというか。きっとチェコのお客さんも日高くん(SKY-HI)のお客さんもスッと聴ける曲になったんじゃないかと思います。いいコライトになりました。
タカハシ:ずっとこういう曲をやりたかったなって。曲を聴いてると今までになかった感情的な部分が歌詞に乗っていたり、日高さん(SKY-HI)がいることで(パフォーマンスの)動き的にも統一感が出るんですよね。
——SKY-HIが引き出してくれたことが多分にあると。
タカハシ:うん、そうですね。
——SKY-HI、褒められてますよ。
S:えへへっ。照れ笑いです(笑)。
——続けましょう(笑)。
山崎正太郎(以下:山崎):今までにないテイストのすごくいい曲ができたと思いますね。
——チェコがこのコライトシングルを制作しようと思った背景には、今こそバンドにカンフル剤を注入しなきゃいけないという危機感にも似た強い気持ちがあったと思うんですね。そのあたりを武井くんに語ってもらいたいんですけど。
武井:ここまでバンドを続けてきて、メジャーデビューしてから音楽で生活はできているけどどこかで満たされないような感じもあって。もっと(多くのリスナーに)伝わってほしいという気持ちをずっと持っているんだけど、今振り返ると伝えたいという意識は二の次でずっとやりたいことを自由にわがままにやってきたなって思うんですよね。作品を作るうえでエゴの部分に重きを置いていたところがあって。そうやってずっと突っ張ってやってきたけど、届ききってないと感じるのはやっぱりエゴのせいで。あとは鎖国じゃないですけど、プロデューサーも入れずずっと5人でレコーディングもやってきたので。新しい風を入れたいという気持ちがあったんです。それに海外シーンではこういう異ジャンルのアーティストとのコラボレーションはいっぱいあるじゃないですか。でも、日本ではこういうポップなバンドと日高くん(SKY-HI)みたいなラッパーのコラボレーションはあまりないしおもしろそうだなと思ったんですよね。
——自分たちの音楽をもっと広く届けたいと思うようになったのはいつごろからですか?
武井:2015年の半ばくらいですかね。だんだん寂しい気持ちになってきたんですよ。いい音楽を作ってるはずなんだけど、天邪鬼なところがあったのでそれを伝える気持ちがない自分たちに対して。そうすると自分自身のこともイヤになってくるし、自分にもバンドにも自信がなくなってくるので。でも、バンドは辞めたくないという葛藤がずっとあって。
——武井くんのそういう気持ちはメンバー間で共有していたんですか?
武井:う〜ん、全部を伝えているかというと難しいかもしれないですけど。同じ時間軸で生きているので考えてることは遠くないと思うし、俺はだいぶ態度に出ちゃうので伝わってるはずですね(笑)。
——4人はそのあたりどうですか?
S:そうっすね……。
——いや、あなたに訊いてない(笑)。
一同 (笑)。
砂川:絶対に入ってくるだろうって思った(笑)。
武井:食い気味に入ってきたもんね(笑)。
―—あらためてどうでしょう?
タカハシ:(武井の思いを)感じてはいて。それを踏まえてライブをもっとよくしていこうって目標を立てたりして、毎年成長できているとは思うんです。武井さんが落ちてる時期はあったかもしれないけど、バンドは「ガッとやっていこうぜ」というテンションではあったので。昔だったら武井さんの波に飲まれるわけではないけど、みんなで力を合わせていく感じにはなれなかったのかなと思うんですよね。でも、今は全然違って、ちゃんと目標を立てて活動ができていると思います。
——ROCK IN JAPAN FESTIVALのライブもすごくオープンなマインドだなと思ったし、あきらかにお客さんと真っ向からコミュニケーションを取ろうとしているんだなと感じたんですね。それこそ、コロムビアからメジャーデビューした当初とはあきらかに異なるモードだなと思ったし。きっと、ずっとチェコを応援している人は今の状況を感慨深く思ってるはずで。
武井:確かに(マインドとして)愛みたいなものが強くなってる感じはありますね。
——今、日本にはいろんなスタイルを持ったラッパーがいて。その中でもSKY-HIは本当にマスにもコアにもコミットできるスキルとコミュニケーションを兼ね備えた稀有なラッパーの一人ですよね。たとえば先日「キョウボウザイ」という曲を突如ドロップして、ポリティカルな態度も音楽で示している。SKY-HIに対してリスペクトや畏怖の念を抱いている同業者も多いと思う。あらためて今回、チェコがSKY-HIにオファーした一番の理由を聞かせてもらえたら。
武井:ラッパーの方とコライトするのが一番おもしろい気がしたんですね。俺が書く歌詞もオブラートに包んでるつもりはないんですけど、ものすごく剥き出しのもの(感情)を放り込んでいるというわけでもないので。言葉の部分でも直球のものが俺の作った曲に入ったときにどうなるのかすごく気になったんですよね。ラッパーはたくさんいるし、どの方がいいかものすごく悩んだんですけど、やっぱり実際に会って話したことがある人じゃないとイヤだなと思ったんです。そのときに「SKY-HIだ!」ってピンと思いついて。みんなが参加する全体会議があったんですけど、それまで誰とコライトしたいか全く名前が出なかったんですよ。それで、俺が唯一出したのがSKY-HIだったんです。
——チェコとSKY-HIは事前にどういうコミュニケーションがあったんですか?
S:(2015年8月に開催された)FM802のイベントで対バンして、その打ち上げで少しだけ話して。砂川くんが「イケメン対決しようぜ」って言ってきたり。
砂川:俺、そんなに我が強かった?(笑)。
S:それを経て、音楽誌やネット媒体などでチェコの活動をなんとなくチェックしていたんですけど、2017年の頭に武井くんと再会を果たして。武井くんはそのときベロベロに酔っ払っていて、「最近ロックシーンに殴り込みをかけているSKY-HIくんじゃないですかぁ」って(笑)。
武井:本当にそんなだった?(笑)。
S:いや、俺はどちらかと言うとそれがうれしくて。
武井:とある新年会でお会いしたんですよ。確かに酔っ払って無礼を働いたなという罪悪感は残っていて。
S:いや、無礼はなかったですよ。
武井:本当に?
S:ホント、ホント。そういう認識を持ってもらえていたことがうれしくて。去年くらいからロックフェスにもやっと呼んでもらえるようになったけど、基本的にドアウェーで誰も俺のことを知らない現場に行って、それをいかにひっくり返すかという挑戦をしてるから。そこ(ロックシーン)にいる人からそういう認識を持ってもらえていたというのはすごくうれしかったし、印象に残ってます。
——今、バンドに一番モテているヒップホップアーティストはSKY-HIとCreepy Nutsじゃないですか。
S:そんなやめてくださいよぉ(笑)。
——いや、でもマジでSKY-HIはそういう自負を持っているだろうし、その理由を自覚しているとも思うんですね。
S:なぜそう言ってもらえるのかをロジカルに説明しろって言われたらできるけど、それは野暮だし(笑)。一つだけ自信があるとしたら、そこにメッセージはないって言って鼻歌のように歌っている曲でも、何かしらのメッセージをそいつが発していて、そいつがどうなりたいかという言語化できない意志が込められてると思うんですよね。俺はそれをちゃんとラップで表現できる自信があるんですよね。さらに今回はチェコから呼んでもらったということに感謝が大きいから恩返ししたいという気持ちもありました。
——SKY-HIはチェコからオファーがあったとき即答で快諾したんですか?
S:即答でしたね。
武井:うれしい。
S:これで裏ですげぇ悩んでたらイヤだよね(笑)。
武井:でも、無理だろうなって思ってたよ。
S:俺の武道館ライブ(2016年5月2日、3日に開催)に来てくれて、5月末にはオファーが来て。
——でも、SKY-HIは今最も多忙なアーティストと言っても過言ではないし、これだけ直近のオファーに応えてくれた気概をチェコは感じていると思うんですよね。
S:でも、逆に言ったらFM802のイベントで最初に会ったのが数年前で、それから最近また再会して。そこには縁があるわけで。その縁を潰えさせたくなかったんですよ。この前のROCK IN JAPAN FESTIVALの出演日もたまたま同じで、チェコのステージで「タイムトラベリング」を披露できたのも縁だと思うし。だから世の中上手くできてんなと思いましたね。
——SKY-HIのCzecho No Republic論を聞かせてもらいたんですけど。
S:ロックバンドっていろんなサークルがあって、そのサークル内の交流って外に見えやすいと思うんですね。このバンドとこのバンドは仲がいいとか、年代だったり音楽的なスタイルによってその丸が重なっていたりいなかったりすると思うんですけど。チェコってその丸を重ねようと思ったら重なるところも少なくないはずなんだけど、絶妙にどことも重なってないのか、もしくは重なろうとしていないのか。それはわからないけど、スタンスとして閉じてないけど媚びないみたいなところをキープしたままやり続けているイメージがあって。だからこそ、今回呼んでもらえてすごくうれしかったし。
——すごく的確なことを言いましたよね、今。確かにこれまでのチェコに外交的なイメージはないですよね。
武井:ちょっと傷ついてますもん(笑)。
タカハシ:確かにすごくそうだなと思うけど「なんでだろう?」とも思う。
——そもそも洋楽至上主義の則ったうえでオーバーグラウンドでも勝負しようとしている、そのバランスにおいていそうでいないバンドなんだと思うんですよね。
S:スイス的な立ち位置というかね。Swiss No Republic(笑)。
武井:すごくわかる(笑)。そもそもガツガツしていないメンバーの集合体みたいなところがあって。このバンドがスタートしたときも俺と正太郎が長く続ける意識がないまま自然発生的に生まれたんですよ。だから、天下を取ってやろうとしている人たちと一緒にいるときに失礼な温度差が出ちゃうときがあって。「すげぇ、あいつら(ライブ前に)円陣組んでるよ」みたいな。俺たちも円陣を組みたい気持ちもあるんだけど、それを表に出せないタイプで。
——そういう、内に秘めた熱量を放出したいという意志は伝わり始めてると思うんですよね。それもあってこそのSKI-HIとのコライトだろうし。
武井:うん、そうそう。
——「タイムトラベリング」を聴いてまず驚いたのは、チェコがこんなに性急で生々しくストレートなバンドサウンドを用意したんだということで。サウンドプロダクションの方向性においてはいろんな可能性があるじゃないですか。もっとインディポップ然としたシンセポップにも寄せられただろうし。
武井:試行錯誤は本当にあって。それこそシンセポップっぽいものを作ったり、サビで急にテンポを落としたりとか、俺の自我が出ているようなデモをいっぱい作ったけど、「それはSKY-HIとやるべき曲じゃなくない?」という意見が出て。「そういう曲はチェコ単体でやればいいじゃん」っていう。去年出したアルバム(『DREAMS』)は打ち込みに舵を切った作品で、俺も生ベースを1曲しか弾かなかったんですよ。そこからまたメンバー的にもバンドサウンドに戻ろうという暗黙の了解もあったんです。それで俺もバンドサウンドのいい曲を書きたいという挑戦をしたいなと思ったし。シンセポップに逃げがちなところもあるんですけど、真っ向からいい曲を書きたいなと思ってギターとベースがちゃんと生で鳴っているような曲を作ろうという気持ちでいました。
——このオケにも人間味のある音を出したいとか、あるいはお客さんと深いコミュニケーションを取りたいというモードが表れてると思うし。
武井:やっぱりバンドのオーソドックスな姿でSKY-HIを迎え入れるのがチェコからの最上級のおもてなしだと思ったんですよ。この曲で俺がサンプラーを叩いたりシンセベースを入れたりするのは違うなと思った。
——SKY-HIはあらゆるビートにアプローチできるラッパーだし、生バンドでラップするのは普段からライブでもやってることでもありますけど、このオケをどう受け止めたんですか?
S:何をやったらキャッチーで、何をやったら俺の存在意義が出るのかなというバランスはすごく考えました。それで(ラップの)素材をたくさんレコーディングブースに持っていって。チェコのメンバーに「これどう思う?」って訊きながら進めていって。コライトの強みだと思うんですけど、最終判断するのが自分じゃなくてチェコのみんなだからすごく少年漫画っぽいんですよね(笑)。BPM186で、それを半分にすると93だから、BPM50前後の最近のヒップホップビートと親和性が高くなる三連(符)の今っぽいフロウもできるし。かといって、ずっとそれでいったらチェコがせっかく王道のアプローチできてくれたのに一切キャッチーさがないというのもイヤだから。それでイントロと1サビのあとはあえて同じフロウで声を重ねる本数だけ変える対処をしたり。2サビのあとにラップを繰り返すのは効果的じゃないかなと思ったら、チェコサイドが乗ってくれたり。そういう楽しみがありましたね。すごくコライト感がありました。
——ドラマーとしてはどうでしたか?
山崎:圧巻でしたね。ラッパーの方がブースで歌ってる姿を初めて生で見たんですけど、すごいっす、マジで。リズム感ももちろんなんですけど、歌詞がまだない部分を一緒に考えてるときにすごい速さで言葉が出てくるんですよ。すぐさま「じゃあちょっとやってみましょう」ってブースに入って歌っちゃうんですよね。
S:ブースに入る度にチェコがこの人数で褒めてくれるから照れくさかったです(笑)。
砂川:本当に圧巻という感じで。リズムの捉え方がやっぱり僕たちバンドマンにはないものなんですよね。多角的にリズムを捉えてラップを乗せてくる感じがおもしろかったし、純粋に感動しました。
八木:普通のハモりじゃない声の重ね方とかガヤ的な声の入れ方とか、声にエフェクターがかかってる感じで「こういうやり方があるんだ」って聴きながら思いましたね。
——歌詞のトピックは武井くん発案ですか?
武井:そうです。
——過去に思いを馳せながら、一番近い距離にいる存在に対して気づけないことがあったと認め、今と未来に気持ちを向かわせるという内容は今のチェコにとってもリアルなストーリーだと思うんですね。
武井:歌詞を書いたあとにまさしくそういうことなんだろうなって思いました。歌詞を書いてるときは「なんで“タイムラベリング”というテーマになったんだろう?」ってわからないまま気づいたらそういう内容になっていたんですよね。過去を否定すると今も未来も否定することになるんだなって。そういう心境だったんですかね。
——素直な筆致の歌詞を書こうという意識があったんじゃないですか?
武井:でも、けっこう(SKY-HIに)相談したんですよ。途中までもっとフィクション寄りというか、若干ファンタジー要素があったんです。その要素を削って、生々しくして、世界を狭めるようなワードは入れないように意識していって。恋愛っぽくしすぎないようにするとか。
——その方向性をSKY-HIが引き出してくれたと。
武井:完全に引き出してもらいました。
——引き出した側としてはどうですか?
S:すごくいい歌詞になったという自負はあるんだけど、それと同時にもしファンタジー寄りのチェコを聴きたい人が「今回は生々しいな、こいつのせいか」ってなったらどうしようって(笑)。大丈夫かな?
武井:全然大丈夫。
S:よかった。ラップのヴァースの歌詞はファンタジー寄りのところにカウンターで俺が生々しい感じの言葉を入れたらいいかなと思ってたら、武井くんがそれを受けて「もう1回歌詞を書き変える」って言って。そこから歌詞のやり取りが何回かあって、レコーディングの日まで続いたので「そんなにやってくれはんねや」っていう驚きがありまんねや(笑)。
一同:(笑)。
——歌詞に春夏秋冬を散りばめるというのも自然な流れで?
武井:そうっすね。もともと四季が好きなんですけど、昔、「ダイナソー」という曲以降は春夏秋冬を入れてなくて。今回は季節が巡るような内容にしたかったんですけど、どうしても冬を入れられなくて。それで、最終的に日高くん(SKY-HI)が冬を入れてくれたんです。季節的というよりも感覚的に冬を入れてくれて。
S:概念としての冬。後ろ向きにならないための冬というか。「それは俺が言うから武井くんは最後のラインに専念してくれ」って言って。
——いいコンビネーションですね。
武井:めっちゃ気がラクでした。
——最後にこのコライトがそれぞれの今後にどういうフィードバックがあると思うか聞かせてもらえたら。
武井:この曲がなかった過去とこの曲がある未来で全然違うし、うれしいですね。日高くん(SKY-HI)を通してチェコのことを知ってくれる人もきっといるし、最近、日高くん(SKY-HI)のファンからTwitterでレスをもらったりするんですよ。そういう出会いも楽しいし、はじめましてとの方ともいい関係になれたら、という感じです。あとは日高くんとの関係もこれから続いたらいいなと思ってます。
S:前に『FLOATIN’ LAB』(2012年5月リリース)といういろんなビートメイカーやラッパーとコラボレーションした企画盤をリリースしたんですけど。その中にはKenKenとか元相対性理論の真部(脩一)さんなどもいて、そうやって、いろんなアーティストとコラボレーションしたときにあった覚えた初期衝動的フレッシュネス、開けたことのない扉を開ける感覚の楽しさ。もっと遡ったら中学生くらいのときに聴いたことないんだけどCDショップがお薦めしてるからとりあえず聴いてみるとか、お金がないからメモだけ取るとか。ああいう感覚と一緒で、知らない扉を開けるという体験を、30歳を迎えたこのタイミングでさせてもらえたのはすごくうれしかったし、楽しかったです。それが一番幸せですね。最近は一人で曲を作るのがあたりまえになっていたから、今年はいろんな人とコラボレーションしようと思っていて。もっとやりたくなりましたね。他のアーティストとの共作もそうだし、チェコとのこれからもそうだし、自分自身がさらに音楽に対して積極的な気持ちになれたのが何より得たものですね。