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山口リサ interview
- SPECIAL -

山口リサ interview

抑揚豊かな歌声で魅了してきた山口リサが、新たな決意を見せるべくニューアルバム「La Blanche」をリリース。移ろいゆく環境の中で制作されたという本作は、誰もが日々シェアする「愛」に焦点を当てた普遍性の高い楽曲が並び、彼女の強固なまでの信念をじかに感じ取ることが出来る。腕の立つアーティスト/クリエイターとのコラボレーションにも注目しつつ、本作完成までのいきさつをさっそくご覧頂こう。

Interviewer & Text:白原ケンイチ

―前回のアルバム「DRAMA」と比べて、制作面での変化はありましたか?

山口リサ(以下Y):前作の環境と今回のアルバムを作っていく環境とでは、大きな変化がいくつもありました。地元の浜松に居を移したこと、より等身大の自分を大切にしようと思ったこと、そして今回のアルバムに関しては、セルフ・プロデュースに等しい形で関わらせて頂いたことも大きな出来事でした。大枠のことから細かなことまで、自分の考えをみんなで具体化させていくという作業は、自信や責任感が強まるきっかけになり、自分自身の成長にも繋がった気がします。

-アルバム・タイトル「La Blanche」は、フランス語で「白」を指す言葉だそうですね。

Y:フランスは、一人旅で行ったりするほど私にとって親しみのある国で、タイトルを決めるにあたってピンと来るフランス語を探している中、この言葉に出会いました。制作に入る前から、今回のアルバムでは”ピュアネス”をテーマにしようと決めていて、疲れた心を癒すような言葉や、色んなことで葛藤している人に寄り添えるような温かい音を意識しながら曲を作っていったんです。そうしたコンセプトと、すべてを包み込む色=白という意味がピッタリはまり、さらに”ラブランシュ”という響きの良さもあってこのタイトルにしました。

-本作に先駆けてリリースされたシングルが2曲。まず”#I’M HERE”は、「世界に一人 私は私だけ」と自らに力強く歌う前向きなミドル・ナンバーに仕上がっています。

Y:ただポジティブなのではなく、ネガティブな自分のことを受けとめている曲でもあって。実は前作をリリースした頃、このまま音楽が嫌いになってもおかしくないというくらいに色んなことがあって、私の心は疲れ果ててしまっていました。そこから地元に帰り、自分とゆったり向き合う時間を作り、「やっと心を取り戻せたかもしれない」というタイミングで書いたのが”#I’M HERE”なんです。「自分の人生なんだから、自分を大切にしなきゃって」って自分に言い聞かせながら、また同じように悩んでいる人にとってもこの曲が救いになれば、という思いで書きました。このアルバムだけではなく、自分の音楽活動の中でもとても意味のある曲になったと思っています。

-続いて、配信シングル第二弾”Baby… ~離れていても~”。こちらは、伸びのあるヴォーカルが印象的なせつないラヴソングに。

Y:この曲は遠距離恋愛中に突然頭に降りてきた曲で。離れているだけに一人で考え込む時間も多く、「強くならなければ」とポジティブになろうとするんだけど、結局は寂しさや不安に負けそうになったり・・・・・・そんな日々が続いていた矢先、地方でのライブ出演後のホテルでメロディが突然降りてきて、居ても立っても居られないくらいの勢いで書き上げました。自分が歌詞を書き始めた頃と同じような感覚で、溜まっていた感情をすべて吐き出せた一曲です。

-多彩なプロデューサー陣の参加も、本作を語る上で欠かせないトピックですよね。まず特筆すべきは、新鋭トラックメイカー:JIGGとのセッションから生まれた”30歳のカルテ”。なかなか面白い曲になっていますね。

Y:JIGG君のことは、SIMON君の1stアルバムに彼が参加した頃からずっと気になっていて、どこかのタイミングでリンクしたいと思っていたんです。だから本作のクリエイター人選をするときも、最初の段階から名前を挙げさせてもらっていて。歌詞では包み隠さず、言いたいことを正直に詰め込んでみました。特に、私と同じ独身アラサー女子にはかなり共感してもらえる曲だと思います。

-ダンスホールのフレイヴァーを含んだ”I wanna know”は、三木道三らを手がけてきたKatsunori Yamamotoによる制作。

Y:以前に担当してくださっていたA&Rさんから「一緒に制作したいって言ってくれている人がいるんだよ」というお話を頂いたのがすべての始まりだったのですが、ここ1〜2年の間で自分がレゲエ・シーンの方から客演で呼んでもらう機会が増え、ダンスホールに対する意欲がちょうど高まっていた時期でもあったので「このタイミングでぜひ山本さんと一緒にやりたい!」と。大阪のスタジオでレコーディングしたのですが、ずっとスタジオにこもっていたので、タコ焼きをひとつも食べられなかったのが心残りです(笑)。

-そしてやはり外せないのが、DABOを客演に招いた”TB 90’s”。前作収録の「Everyday is My Life」に通じるクラシカルなR&Bナンバーで、トラックはリサさんの活動初期からの盟友であるU-Key a.k.a monologが担当しています。

Y:タイトルの”TB90’sは”Throw Back 90’s”の略で、直訳すると「90年代を振り返る」というような意味になります。自分のルーツである90年代のヒップホップ/R&Bの音に多大なリスペクトを込めて作った曲で、U-Keyにも「ピート・ロックみたいなトラックをください」とお願いをしました。1コーラス作った時点で「頼むべき時がきた」と直感し、DABOさんに客演のお願いしたのですが、痒いところに手が届くさすがの腕前で、一緒に制作している間に何度も興奮しました。いつかこの曲でリミックスもやれたらいいなと思っています。

-客演と言えばもう一曲、YOUNG DAISを迎えた「CRY」があります。シリアスなメッセージが込められていそうですが、どのような楽曲なのでしょうか?

Y:夢を持ちにくい時代だからこそ、これからを担う子どもたちに向けて歌いたいと思って書いたのが”CRY”です。このアルバムを制作している間、友達の子どもと会ったり、妊娠の報告を受けたりする機会があり、次第に「私の歌も子どもたちの役に立てないかな」と思うようになったんです。私自身、両親が離婚したときにすごく辛い思いをしたのですが、音楽に対して夢を持つようになってからは暗かった気持ちがどんどん変わっていきました。だからこの曲で、少しでも希望を持ってもらえたら嬉しいなと。DAIS君とは前回一緒に制作したときにお互いの幼少期について話したことがあったので、あらかじめ彼と作る前提で曲を練っていきました。DAIS君がイメージしていた通りのラップをしてくれたので大満足です。

-このアルバムを引っさげ、今年5月には2年ぶりとなるホールワンマンライブが控えているとのことですが、ぜひ意気込みを聞かせてください。

Y:前回のワンマンライブはベストアルバムのツアーファイナルだったこともあり、今までの集大成を意識して内容を詰めていったのですが、今回はそれから2年の時間が流れているので、その間に生まれた曲ももちろんやりたいですし、とにかく「来てよかった」と絶対に思ってもらえるライブにしたいです。

-34周年を迎えるeggmanに向けて、何かメッセージがあればお願いします。

Y:eggman34周年、本当におめでとうございます!そしていつもありがとうございます!私の中でeggmanはそれこそピュアネスで、音楽愛に溢れた場所だと思っています。またライブできる日を楽しみにしています!

-では最後に、「La Blanche」を聴いて下さる皆さん、このフリーペーパーをご覧の皆さんにメッセージをお願いします。

Y:ここまで読んでくれてありがとうございます!「La Blanche」は、自分の経験から生まれた音楽が、少しでも皆さんにとっての力や癒しになればいいなという思いで作ったアルバムです。是非とも寒い夜、疲れたとき、ポカポカしたいときに聴いてください。そして、曲を覚えてワンマンライブにもぜひ遊びに来てください!会える日を楽しみにしています!