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Anly interview
- SPECIAL -

Anly interview

大自然に囲まれた沖縄の離島で育った歌姫の全国活動開始から約1年。 10代最後の多感な時期を多くの新鮮な音楽的経験で駆け抜けたAnlyのニューシングル「カラノココロ」は、この1年でリロードした彼女の最新の感覚が詰まった、今でしか作れないメモリアルな作品に仕上がっている。

Interview & Text : 鞘師 至

ー 今作のリード曲「カラノココロ」は、先日11月25日にshibuya eggmanで開催したワンマンライブで聴かせてもらいました。あれは初出しですか?

■Anly (以下 “A”): そうです、あの時初披露させてもらいました。

ー 沖縄にいる時はあんまりテンポの速い曲やテンション高めの曲は思いつかなかったけど、東京や他にも色々な場所で、色々な環境で経験を重ねてからは、新しいテンポやフレーズの曲も書くようになった、と以前話してましたよね。 今回の「カラノココロ」はそれの最たるものなのかなって。

■A:この曲はテンポ感もそうですけど全体的に、今までデビューしてから一年間、eggmanで対バンさせてもらったり、フェスに行っていろんな音楽に触れたりして吸収してきた感性を凝縮したような曲かなって思ってます。 ラップっぽいパート、みんなで一緒に歌えるようなパート、あとサビに関しては、高校生の時にやっていたオペラっぽい合唱曲の影響が出てるのかなっていうところもあったり、本当に色々ミックスされてるなって。

ー 今のAnlyさんじゃないと作れない曲ですね。

■A:そうですね、ラップっぽい部分なんかは、エド・シーラン(英国のシンガーソングライター)等の影響もあったと思うし、新しいものにチャレンジした曲かな。

ー この間のeegmanのライブでは、他にもラップの曲がありましたね。

■A:そう! ギターをその場でサンプリングしてループする曲ですね。 ループビートになるとラップしたくなっちゃうんです。 もうギター弾かずに、歌わせて!って(笑) そういうパートがライブにあってもいいかなって。 それも新しい自分の音楽スタイルだと思うので。

ー 地元にいる時と比べて作曲方法は変わってきた?

■A:インスピレーションをもらえるものが少し変わりましたね。 昔から今でも私にとっては太陽の光って、創作意欲をもらえる大切なものなんですけど、伊江島にいるときは太陽の見え方がそのまんま、広い空に燦々とある感じだったのが、東京に来てからは物やビルの隙間から見えるようになって。でもその隙間の光の鋭い感じが逆に好きなんですよね。 鋭い光を目に当てるとと脳みそまで照らされて活性化される気がして。

ー 「カラノココロ」の歌詞にもその光が差し込む感じが反映されてますね。

■A:この曲の歌詞は、今までは触れなかった自分の暗い部分とかに向き合って書いたものなんです。 新しいことをしようってなると必ず壁にぶち当たる。この1年間何回も壁にぶち当たってきたんですけど、この「カラノココロ」はその壁がこれまでで一番分厚くて、制作してた期間もすごく長かったんです。 歌詞の出だし、最初の2行分で2カ月くらいかかっちゃうくらい難産でした。 それ位伝えたいことが強くて、でも言葉が見つからないっていう…。 音楽を “職業”とは言いたくないですけど、何かを伝えるっていうポジションに立たせてもらってるからには、必ず光みたいなモノを届けたいっていうのが私のテーマなので、この曲では苦しい部分を描きながらも前に進むための光を見出すところまでを言葉で表現するのにすごく苦労しました。 苦しんでる人とかしゃがみ込んでる人の立場に立たなきゃ見えない景色もあるし、自分がその立場に寄り添っていける為の言葉ってどんなものだ?とか、どういう言葉は響いて、どういう言葉は軽々しく聞こえる?とか、一所懸命考えて作りました。 言葉にすごく悩んだ、思い出の一曲になりましたね。 壁、高かった(笑)。
でも一番最初にメロディーが思いついた時から曲の構成はあって、最初の優しい始まりから一気に開ける感じのメロディーの変化とか、ストリングスが入ってくるアレンジとかがこの曲の中ではとても重要な役割を果たしていて、そういう最初からあった大事なアイディアの部分はちゃんと表現できたから、最終的にはうまくまとまったかな。 本当に一年の全てが入ってるような曲です。この曲、作る上でNARUTOって作品に助けられたところも沢山ありました。 物語の中には名言が沢山出てくるんですよ。 「諦めちゃいけない!仲間を支えるんだ」みたいな。 その名言が私の折れかけた心に響いて、私もがんばらなきゃな、って思えたことが何度もありましたね。 明るく見えるキャラクターでも闇があったり、キャラクターそれぞれに過去があって感動するんですよ。 凄く入り込めた作品でした。 単行本で72巻まであったんですけど、一週間で読んじゃいました。 

ー 作品通して自分のメッセージを伝えていく、っていう面では漫画も音楽もリンクしますよね。

■A:そうですね。 この作品を読んで、自分の人生とも重なる部分があったのでハッとしたんです。 自分が辛い時でも周りに辛そうな人がいると自分は差し置いて「大丈夫だよ」って相手に手を差し伸べたくなる時ってあるんです。 そういう時って、素直にその差し出した手を掴んでくれると自分も救われたりするんですよね。 こういう支え合いの大切さみたいなものを、NARUTOを読んで改めて感じました。

ー 「カラノココロ」はNARUTOの為に書き下ろした曲だそうですね。 

■A:歌詞に関しては書き下ろしました。でも「カラノココロ」っていうワードや、メロディーの根本は既にあって、そういう意味では元々の私の感性と、頂いたコンセプトのイメージをしっかりコラボして作れた曲ですね。 書き下ろしをやらせていただく時は、自分以外の物語に浸る事で改めて自分の中にもテーマを見つけられるんです。 そこがすごく楽しい部分でもありますね。

ー 他の二曲はアコースティックでやさしい感じの曲ですね。

■A:「初恋」は最近書いた曲なんですよ。 伊江島でランニングしてるときに思いついた曲で、ワードやコードがその時浮かんだものなので、島の風を感じられるような曲です。

ー この曲はかなりリアルなラブソングですが、Anlyさんの実体験?

■A:ええっと…そうですね(笑)

ー “ あのときにもらった青いシャーペンは…“ という歌詞、相手に分かられちゃいますね(笑)

■A:バレますよね(笑)。 どうしようかな、赤に変えようかな(笑)。 でもこの曲、気持ちを引きずっている訳じゃなく相手もどっかで頑張ってるのかな、って懐かしむ曲なんです、ある意味エール的な。 私大体片思いしかしたことなくて、自分から言えないんで静かに恋が終わっていくんですよね(笑)。 この曲もそんな場面を思い返して書いたものです。

ー 「だから」はこんなに曲調がやさしいけど、映画『新宿スワン』(2017年1月21日公開)の劇中歌ですね。

■A:この物語の中で優しい歌が入る場面で使ってもらいました。 実は私自身、この映画でシンガーソングライター役として出演してるんですよ。 その場面でこの歌を歌って収録したんですけど、綾野剛さんからも「いい曲ですね」って言ってもらえて嬉しかったです。 衣装もかわいいんですよ。

ー ちなみに、もうすぐ20歳になりますね。 どんな大人になりたい?

■A:1月20日が誕生日で20歳になりますけど、その日はちょうどeggmanでライブなんで、その日のライブが私にとっての成人式になりますね。 大人の目標、音楽的には触れたことない音に触れて新しい自分をまた見出せたらなって思ってます。 アルバムも作りたいですし。 人間的には優しい人になりたいです。 20代ってやっぱり若さっていうジャケットを脱いでそのままの自分で勝負できるようにならないといけないな、って思うんですね。 だから今以上に身も心も磨いていかないといけないなって思ってます。

ー 誕生日のeggmanでのライブは、どんなライブにしたいですか?

■A: やっぱりいつもとは違うライブにしたいなと思っています。 特別な日だから。 いつも歌わない歌を歌ったり企画っぽいのもしてみたいなぁって。 来なきゃ損だよ!って今から言っておきます(笑)。 それにしても渋谷で20歳を迎える事になるなんて…。 小さい頃は成人式は島でしみじみとやってるものかと思ってましたからね。 何があるかわからないですね。 とにかくワンマンはこの日にしかできないライブにしたいと思ってるので、是非沢山の人に見に来て欲しいです。