只々、自分の心が感動するように、歌っていたいな、って。
ー 今作聴きまして、相変わらずブレない音楽やってるな、と思いました(笑)。 10周年前後くらいですかね、音楽性の質感が変わってきてからは、迷わずにその時その時の音楽をアウトプットしているように思えるんですが、実際はどうですか?
■森良太(Vo./Gt. 以下”森” ): 今も常に試行錯誤は続けながらなんで、相変わらず自問しながら曲作ってはいますね(笑)。
ー ”無理してテンション上げない” みたいな。 自分に合ったやり方で、納得する曲を作る事に重きを置いている感じがしました。 そこから浮かび上がるのは森さんのこだわってものづくりする姿勢だったり。 今作を聴いて頭に広がったのはそういうイメージでした。
■森: 周り見渡しても、今他がやってる音楽性と自分たちのやってる音楽性が全く違うところにあるな、っていう自覚はあって、今流行ってる音楽の真ん中をやろうと思ったら、全然別の事をやる必要が出てきますけど、そうしたいと思ってる訳ではない。 ただ、メジャーでやってる以上、商業音楽である必要性もあるし、その辺のバランスは今も難しいと思いますけどね、最近はあえて意識しないで作ってます、今回も然り。
ー 周りと自分っていう関係性で言えば、今作収録の5曲、タイアップ曲の「パラダイムシフト」以外の新曲4曲は、歌詞が全て “君” 宛ての2人称との対峙で書かれてますね。
■森: やっぱり自分の中だけでは完結していない事柄なんですよね、今作で書いた歌は。 全部誰かに対して歌ってて。 その誰かは、以外と限定的なひとりの人に対してだけでなかったり、環境にだったり、音楽についてだったり、それぞれかたちをかえて存在してるんですけどね。
分かりやすくPOPな、ROCKなスタンダードなもの。
ー 因みに森さんって今おいくつですか?
■森: 僕は今年30になります 。
ー 30歳、その位のタイミングって周囲にいる人、例えば友達だったり家族とか、恋人とかと離れる事、くっつく事、あとは周囲の人に子供が産まれたり、逆に亡くなる人が出てきたり、そういう色んな人の動きが嬉しい事も悲しい事も、学生時代より増えてくると思うんですけど、最近の森さんの音楽に影響を与えているトピックって何かあったりしますか?
■森: 僕の場合今、音楽に対して歌っていることが多くて。 例えば憧れだけで始めた音楽人生の裏側だったり色んな事を知って、結局売れるかどうかは政治だな、って思って、これまでには一生懸命音楽やる事に対して馬鹿馬鹿しく思えてた時期もあったりしたんですけど、自分が最初にギターを持って歌い出した頃の事を思い返してみたら、”売れたい” みたいな気持ちすらなくて、”これ、自分良く歌えてるかな” とか、”もっと良く表現する為にはどうしたらいいのかな” とか、そういう事だったんですよね。 そこから始まった音楽生活なのに、やっていくうちに、バンドマンとしての成功には ”誰々と繋がるのが大事” っていう事とかが分かってきたりして。 なんか違うな、って思い始めたのが25歳くらい。 そこからまた色んな協力してくれる人たちが周りに増えていけばそういう色が濃くなっていくし、日々を過ごしている中で、やっぱり良い音楽をやる事が、自分の一番求めてる事だな、って再確認したんですよね。 だからどういう人との関係が今の音楽に影響を?っていうことで言えば、バンドに関わる色んな人たちと自分との関係なのかな。
ー そこから生まれた本作、どんな側面にこだわった作品ですか?
■森: 今回の曲には、誰にでも分かりやすくPOPなものと、ROCKなもの、っていうのを意識して詰め込みました。
ー 「パラダイムシフト」は自分的にサビの歌フレーズが超キャッチーな事と、あとバンドアンサンブル最後のギターフレーズの中華感が分かりやすくPOPでした(笑)。
■森: あそこ、そうですよね(笑)。 あれはもう中華っぽくしようと狙ってやりました(笑)。
ー Brian the Sun、サービス精神あるな〜と思って(笑)。 それに対比してラストの「スローダンサー」(M5)の切ないこと…。
■森: 切ないですよね、この曲。 歌詞的には対象となるのが “君” って書かれてますけど、何に対して歌ってるんだろう?って想像しながらいろんな解釈で聴いてもらえれば嬉しいですね。
音楽に対する探究心は高まっていくばかりで。
ー 今作を作った事で見えたものってありますか?
■森: そうですね、自分の中で出てくる音楽的な欲はやっぱり実現させないと、我ここにあらずな音楽をやっていたら自分はどこかで行き場を失ってしまうと思ってるんで、そういう意味で今回やれた事と、ここからやりたい事は明確で、その時その時での自分の音楽をこの先も実現していきたいと思ってます。