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Hakubi interview
- SPECIAL -

Hakubi interview

2017年結成とまだ浅い活動歴ながらも、活動スタートしてすぐから一気に信者を増やして、話題沸騰のHakubi。インタビュー経験も少ないということでたどたどしさはありながらもしっかりと目を見て自分の想いを話してくれたのがとても印象的だった。きっとこの目を持つ彼女が紡ぎ出す歌詞と歌、そしてそれを支えるリズム隊だからこそここまでの期待値をみんなが持っているのだろう。今後の活躍に期待大。

インタビュアー:ブッキングマネージャー窪田

―本誌初掲載ですし、今回の掲載でHakubiのことを知る方もいるかと思いますので、まずはメンバーの出会いから聞いていきたいなと思います。

片桐(Vo,Gt 写真中央 以下…片):私とドラムのマツイが大学の同級生で同じ軽音サークルに入っていて、そのサークル内でのライブで私が弾き語りでライブをしたことがあったんです。その後にマツイからバンドを一緒に組もうって誘ってもらったのが最初のきっかけですね。一人での活動の方が楽だなと思う反面、バンドはやってみたいなとも思ってはいたので悩んでいたのですが、自分のライブを観てそうやって誘ってくれたことが嬉しかったですし、そんな人ってなかなかいないだろうなと思って、バンドを組むことを決めました。そしてマツイがベースのヤスカワを誘って。

―そこはどういった繋がりだったんですか?

ヤスカワアル(Ba 写真右 以下…ヤ):近しき界隈にいたバンドマンで、SNSだけは繋がっていて、一応知り合いではあったんですが顔見知り程度でたしか話したことはなかったはず。
マツイユウキ(Dr 写真左 以下…マ):なかったね。ヤスカワがツイッターでバンドやりたいって呟いていたのを見てリプライのやり取りから始まって。
ヤ:バンドが解散した直後で、ちょうど就職活動のタイミングだったんですけど、普通に就職するのとかは想像できなくて、もう一回しっかりとバンドをやりたいなって思っていて。

―バンド名の由来は?

マ:三国志にでてくる“白眉”からとりました。周りのバンドの中でも優れた存在になっていきたいという想いがあって、そういった類いの言葉を探しているときにこの言葉に出会って、響きなども含めて気に入ってこのバンド名にしました。

―そしてそこから活動を重ねて、4枚目の作品となる『追憶』が先日リリースされたということですね。今作『追憶』のタイトルの由来をまずは聞かせてもらいたいです。

片:3曲のレコーディングがすべて終わってから決めたタイトルで、今作に収録されている3曲が昔の事を思い返すことが多い曲たちで、実際に私が10代の頃に書いた曲、昔のことを思い返して今を書いた曲、今と過去と未来を書いた曲。そういった曲たちだったので、このタイトルをつけました。

―そんな今作の収録曲について聞いていきたいと思います。1曲目「午前4時、SNS」はライブではずっとやっていた曲だそうですね。

片:活動を始めて半年経ったくらいのタイミングから今まで2年間くらいずっとライブでしかやってこなかった曲です。

―そんな曲をこのタイミングで音源化したのはなにか理由があったのですか?

片:正直、音源化するのはためらっていた部分があったんです。ライブ曲だからこそのこだわりというか。それこそライブでもその時の感情やライブ感を重視して、ライブ中に急にセットリストを変えてこの曲をやる時もあれば、逆にこの曲をやらないセトリに急遽変えたりとかもありました。そのくらい大事にしてきた曲で。でもそんな曲だからかこの曲を音源化してほしいという声をたくさんいただくようになって。その声がたくさん届いたこともあってそれに応えたいなと思い今回の音源化に踏み切りました。あとは今の感情、今思っていることを音源にしたいなという想いがより強くなったからですね。この曲は今の私が歌うのが一番良い形なんじゃないかなって。

―葛藤を経てこの曲を音源化してみて実際どうでしたか?

ヤ:想像以上に良い出来映えになったと思います。語りの部分とかは音源として聴いたらどうなるのか不安もあったんですが、これはこれでの良さがでたかなと思います。
マ:この曲を音源化すると発表したときに大きな反響をもらえたので、音源化して良かったなって思いました。そういう反応をもらえるとやっぱり嬉しかったです。

―この曲はどういった時にできた曲ですか?

片:曲名通り午前4時頃に書きました。SNSってとても難しくて。これを呟いたら良くないかなとかどうしても思ってしまう。

―本来はTwitterとかは呟くツールだからそういうことを気にせず書いていいはずなんですが、なかなかそうはいかないですもんね。

片:そうなんです。書きたくても書けない事ってたくさんあって。だから本当はSNSに書きたかったことをヘイトも含めて作品という形にしたのがこの曲ですね。

―なるほど。不思議な物でこの内容をSNSに書いたら批判とかも集まりそうですが、曲という形だと全然捉え方が違いますね。

片:そう言ってもらえてよかったです。

―こういった衝動で曲を書くことが多いのですか?

片:というかむしろそういった時にしかほとんど書けないです。それこそ書くぞと思ってデスクに座ってとかは全然できなくて。

―なるほど。確かにこういった内容はやはり感情が大きく動いた時にこそその力を発揮しそうですもんね。そんな曲に続くのは2曲目「Dark.」。

片:この曲は今作の中では一番最近作った曲で、学生時代を思い出しますね。学生時代はたくさんヘイトが溜まることがあって、その時は爆発的に悔しいとか、いつか見返してやるとか強く思っていたんですが、そういった想いが年齢を重ねるにつれてどんどん薄れていって。そういった感情を原動力の一つとしていたはずなのに、あの感情ってどこにいったんだろう、自分という存在はどこに向かって進んでいるんだろうっていう想いが自分の中に渦巻いていて。そういった気持ちを忘れないためにというか、忘れたくないなと思って形にしたかったんですよね。
マ:その結果今までにないすごいパワーというか爆発力を持った曲になりましたね。曲を作っている最中にライブ映えする曲になるだろうなってすぐに思えたくらい。結成したての僕らにもし聴かせたら“なんかあったん!?”って聞かれると思います(笑)。
片:確かに珍しいよね。今までは孤独を歌った曲が多かったんですが、この曲は孤独な部分はありながらも前向きというか、きっとみんなもそういう部分あるでしょっていう共感部分というか、曲のラストのシンガロングとか曲調が少し変わる部分が今の自分の心境の変化とリンクしているのかなと。少し殻を破れて、オープンになった感覚がありますね。

―今の片桐さんだから歌える今の片桐さんの歌ということですかね。そして今作のラストは3曲目「17」。

片:タイトル通り17歳の時に書いた曲です。オリジナル曲を書き始めた本当の初期の曲です。というか1曲丸々ちゃんと書いたのはこの曲が初かもです。17歳のうちにどうしても1曲書きたくて、18歳になる前日の夜に書き終えたのを覚えています。きっとみんなもあったと思うんですけど、友達と楽しく過ごしていてもふとしたときに孤独感を感じたんです。仲は良いはずなのに。周りのみんなも含めて自我が芽生える時期だったのかな。そういったことを考え込むことが多くなったタイミングで書いたんです。

―18歳になる前に書きたかったというのはなにか理由があったんですか?

片:いや、明確な理由はなかったんですけど、なぜか焦っていたんですよ。その時は音楽で生きていこうとかバンドをやろうとかまだあまり思っていなかったはずなんですけど、自然と行き着く先が音楽だったんですよね。

―ということはこの曲は弾き語りとかでやっていたんですか?

片:ライブハウスでたまに出る弾き語りライブとかでやっていました。
マ:それこそこの曲を聴いて僕は片桐をバンドに誘ったんです。“片桐”という存在を知った曲ですね。あの時この曲を聴いていなければ今この場にいることはなかったはずです。

―Hakubiにとってめちゃくちゃ大事な曲ですね。そんな曲が音源化できたのは感慨深いんじゃないですか?

マ:感慨深くはあるんですけど、それ以上に弾き語りでの世界観がしっかり構築されている曲だったので、バンドとしてこの曲をどう演奏するかというのはとても悩みました。
ヤ:1年前とかにも取りかかったんですけど、その当時では完成することができなくて。
マ:今ようやくこの曲を形にすることができて本当に嬉しいです。自分がバンドを組むきっかけになった曲ですからね。

―今作を聴いてもっと曲を聴きたいと思う反面、この3曲でのシンプルな切れ味が心地よいなと思いました。過去も3曲入りのe.pを2枚出しているのでそこにこだわりを感じたのですが。

ヤ:ライブのことも考えると3曲というのがすごくハマりが良いんですよね。ライブのセットリストにも組み込みやすいというか。

―ライブを主軸に置いた考え方なんですね。

ヤ:そうですね。3つ異なるタイプの曲を入れて、ライブを意識しています。
マ:過去の2枚もその形ですね。
片:音源としても3曲で異なるタイプの曲を入れるというのがバランスが良いと思っているんです。1曲は作品を引っ張っていってくれるリード曲、1曲は賛否が分かれるようなちょっとコアな曲、1曲はキャッチーな曲みたいな形で構成するのが良いかなって。

―そのこだわりがしっかりと聴きやすさに繋がっていますね。最後の質問になりますが、12月ということで来年の展望を聞かせてもらいたいです。

マ:来年に限らずで、大きな舞台は目指していくのはもちろんですが、ライブハウスでのライブはやり続けたいなと思っています。そういうライブを大事にするバンドになっていきたいです。
ヤ:僕は長く続けるバンドになっていきたいです。今20代前半ですが30歳になっていてもやっていたいし、その先も。
片:Hakubiとしての核はだいぶ定まったかなと思っていて、そこからどうやって広げていけるかが大切かなと思っています。それぞれの演奏力や人間力、そしてバンドとして一回り、二回り大きくしていきたいなと。来年は勝負の1年かなと捉えています。