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HUSKING BEE interview
- SPECIAL -

HUSKING BEE interview

このアルバムを作るなかで意識したのは今までのHUSKING BEEの曲たちと繋がるようにってことでした。そしてライブで色んな曲が織り混ざり、お客さんとバンドか織り混ざり繋がっていくと嬉しいてす。メンバーも変わりリフレッシュしたHUSKING BEEですが、この「SOMA」からどんな想像が生まれ、どう円熟し、研磨されていくのか。答えはこの道の延長線上にあるのでしょう。 (磯部)

interviewer:西田旭人 text:森村敏夫

7年振りの再始動 9年振りのリリース

–7年前の解散宣言から昨年の再始動を経て、”HUSKING BEE”としては9年振りのリリースとなる今作ですが、以前と今回で変わった点はありますか?

磯部正文(Guitar,Vocal 以下、磯部):正直、再始動はしようと思っていなかったので、今活動している事が自分自身でもすごいなと思います。でも、やると決めたので、新しい音源をつくったり、スケジュールもちゃんと組んで、前に転がっている様にはしたかったので、メンバーもチェンジしました。メンバーが変わった事による変化は当たり前の事だと思うので、変化も楽しんで受け入れてやっていこうと思いました。ドラムのフィルが増えたとか、ベースはもっとアグレッシブでも良いかなとか、いろいろありますけどね。
お客さんは若干、女子が減ったかな。僕が目指していたのが男女半々ぐらいっていうのがあって、彼氏が彼女に勧めて好きになってくれてカップルで来てくれるような音楽を目指していました。解散間近は本当にカップル率高いなーっていうのはありました。でも、何年か間があって再開してみると、結構男が来るなーっていう変化は感じました。元々男子にはモテると思っていましたけど(笑)。

–歌い方が以前に比べてソフトになったと言いますか、より歌詞を届けたいという思いを感じたんですが、そういったアプローチもありましたか?

磯部:僕自身はハスキン(HUSKING BEE)の解散以降も音楽を続けてきて、歳も重ねましたし、レコーディングも何度もしてきましたけれども、歌入れに関しては一番短い時間で終えました。今回、一番の得意どころでもあるので、”自分が気持ち良いと思ったらいいや”って感じではありました。若いからできたんだろうけど、以前は喉が潰れても歌っていましたね。その後にツアーがあっても気にせずやっていましたが”果たしてあれはストイックだったのか”と今は感じますね。今の心境は”自分が気持ち良く歌っていれば、お客さんも気持ちいいんだろう”と感じます。昔は”必死に歌っている感じがキュンとくる”というのに応えようなんて思っていましたが、もう応えられません(笑)。

–そうなんですね。(笑)その中でもアルバムに収録されている「星降る昏い」ではそういった”ギリギリ感”みたいなものを感じた気がしました。

磯部:そうですね。そこは意識しました。なんか久々に”欠けボタン”(・・・2000年リリースの『FOUR COLOR PROBLEM』に収録されている「欠けボタンの浜」)感というか、ゆるい曲だけどギュンとくるような深い曲を作りたいと思っていた矢先にできた曲です。

メロディーが生まれる瞬間は物事が動いている時
歌詞が生まれる時は景色が止まっている時

–以前の作品にも収録されていた「Put On Fresh Paint」と「Face The Sunflower」の2曲も、今作でセルフカバーされていますね。

平林一哉(Guitar,Vocal 以下、平林):「Put On Fresh Paint」は2000年に僕がハスキンに加入してからはずっと歌わせてもらっています。

磯部:曲作りをしていく中で、今後リリースされる音源でボーナストラック的なモノが要るんじゃないかなという考えもあって録りました。始めは『GRIP』(2000年リリース)からどうかって考えていたんですが、曲ができてから20年ぐらい経とうとしている中で今の自分が歌うと思うと、恥ずかしい感覚しかなくて(笑)。”じゃあなにやろうか。”ってなった時にドラムの山崎が”俺は「Face The Sunflower」がめっちゃ好きなんです”って言って、決まりましたね。

–ライブの現場と曲の制作の現場というのは、同じようで全然違う作業だと思いますが、気を使っている事はありますか?

磯部:昔はあまり考えなかった事ですが、”きっとこの曲はライブで披露した時にこのテンポになるな”って事を意識して、わりとライブ感に近づけて曲を制作していると思います。

–部屋で聴く時に気持ち良いリズムというよりも、ライブハウスで聴いた時に気持ち良いリズムになっているという事ですか?

磯部:そうですね。

–歌詞の世界観として、”太陽”と”月”などの天体関係の言葉が多く使われていますが、どういう時にそのような言葉は生まれてきますか?

磯部:歌詞は家でしか書かないです。”太陽”と”月”って語感としてもメロディーに乗りやすいですし、自分が思う自然や哲学の事にも比喩されたり、一致する部分もあるので、もっぱら使っていますね。メロディーが生まれる瞬間は、物事が前に進んでいる時が多いですね。新幹線に乗っている時とか、車乗っている時とか、景色が”ウワーッ”と流れる時に”ウワーッ”と生まれます。歌詞が生まれる時は、風呂に入っている時とか、景色止まっている時ですね。その時できた曲のパーツをスタジオに持っていって、セッションでつくり上げていきます。思い掛けないモノに発展していって”なんだかなー”って阿藤快みたいになったりする事もありますね。

一同:(笑)。

磯部:セッションでなんとなくAメロぽい事をやって、なんとなく”サビ入るよ”ってやっていくんですけど、サビに入ろうと思った時に、ダゼ(Dr. 山崎聖之)が予期せぬ事をやったりするので、”なんだかなー”って感じになったりもします(笑)。

“今のハスキンはこういうモノだよ”っていうのを染み込ませて確立させていきたいと思っています

–新しいメンバーで、以前の曲を演奏した時に感じる変化はありますか?

平林:山崎は雰囲気を寄せてきてくれているなというのは感じます。でも叩き手が違うとノリ自体が違ったりもしますし、いろんな部分で違いを感じます。それを今後、彼の色として残していくのか、もっとこっちに引き寄せるのかっていうのはこれからのツアーでライブを重ねていく中で考えていくと思います。今までのノリが染み付いていて、違和感を感じてしまう部分もあるんですが、タイトに攻める部分は彼の持ち味だったりするので、そこはすごく気持ち良かったりもします。

磯部:逆に新しく作った曲は一緒に作っただけあって、やっぱりシックリきますね。リリース後はそのままワンマンツアーも始まりますので、やはりそこでは新曲中心のセットリストになると思います。

–久しぶりのワンマンツアーとの事で、本当に多くの人が楽しみにしていると思います。

磯部:僕個人としては、ずっと休まず音楽をやってきたので、だいぶフランクに肩の力を抜いてできていると思います。そこまで詰まったスケジュールでは無いので、ガンガン歌いたいなとは思います。”苦しそうに歌うところが好き”って良く言われるので、わざと苦しそうに歌ってみたりしようかなと。(笑)ツアー前だからまだよく見えていなくてどうなる事やらって感じですが、ツアーが始まればどうせ上手くなっていくので、バンド感が増してくれば楽しくなっていくと思います。

平林:バンドとしてどんどん重ねていきたいというのはあります。成長していきたいですし、周りの人やお客さんに”今のハスキンはこういうモノだよ”っていうのを染み込ませて確立させていきたいと思っています。

ハスキンの活動はどんどん続いていきます

–リリースツアーの追加公演も決まって、6月末ぐらいまでのスケジュールは発表されていますが、その後の”HUSKING BEE”の活動はどうなっていくのでしょうか?

磯部:まだスケジュールはちゃんと決まっていませんが、ハスキンの活動はその後もどんどん続いていきます。僕としては”磯部正文BAND”も楽しかったので、平行してやっていけないかと考えていたんですが、いろいろ考えて”ハスキン一本でやろう”って事になりました。

–(笑)。今回の作品をずっと楽しみにしている人や”HUSKING BEE”を初めて聴く人など、いろいろな人がこの作品を聴くと思いますが、そんな人達にどう聴いてもらいたいですか?

磯部:基本的には、聴き手の方の生活感もみなさん違うでしょうし、受け取り方は人それぞれで良いと思ってつくっています。パーソナルな事ではありますが、自分としても”親になる”というタイミングでもあったので、その僕の期待感を封じ込めちゃえというのはありました。昔からハスキンが好きでいてくれている人は、同じように親になっている方も多いと思うので、そういう人達の支えにもなればと思って作っていましたね。そういう気持ちで作っていれば、きっと今の”若い考え”の人達が今聴いても、親になった時に聴いても、いろいろな事を感じてもらえるんじゃないかなと思っています。