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東京カランコロン interview
- SPECIAL -

東京カランコロン interview

東京カランコロンの新境地となる1年ぶりのミニアルバムがリリース!

「Melodrive」というドライブミュージックをテーマにした1枚ではあるが、ただのコンセプトアルバムではなく、バンドの未来をここに詰め込んだ心のある渾身の1枚。

一本の明確な道筋の見える美しい今回の作品につい聞かせてもらいました。

Talking Partner : TATSUKI

—前作「わすれものグルービー」から1年、ミニアルバム「MeloDrive」リリースおめでとうございます!

いちろー:ありがとうございます!前作から1年もたちましたねー。あっという間ですね。

—今回はドライブミュージックをテーマにしたコンセプトアルバムということですが、すっごく変化のある一枚ですね。全力でいい意味です!

いちろー:あ、ほんとですか!そう言ってもらえるのはすごく嬉しいですね

—うん、すごく新しいです!

いちろー:実際に今作を作るにあたって、結構チャレンジを詰め込みましたからね。

—そんなチャレンジもいろいろ伺っていきたいんですが、今回のリード曲は「リトルミスサンシャイン」。この曲はこのアルバムの中でどの時期にできた曲なんですか?

いちろー:前作の「わすれものグルービー」をリリースしてからも曲は作り続けていたんですが、今回のミニアルバムの収録曲は全てほぼ同時期に作りましたね。
その前に作っていた曲たちに対してこのままだと今までのものとそんなに代わり映えしないねっていう気持ちが出てきて、そうだったら根本的に作り方から変えてみようって話になったんです。作り方を変えてから作っていった曲が今回の収録曲になっています。
年明けから春にかけて作った曲たちで構成されたアルバムですね。

—作り方を変えたとありましたが、具体的にどういう風にかえたんですか?

いちろー:今までは僕がまず作りたい曲のイメージからメロディーを作って、みんなでスタジオでアレンジをして作り上げていっていたんです。
今回は各々のメンバーから“こういう曲を作りたい”っていうリクエストをもらって、その雰囲気にそって僕がメロディーだけ作って、それをスタジオじゃなくて僕の自宅でパソコンにみんなで向かいながら作り上げていくようにしました。
今までは自分の中でできたメロディーの中で、いいなって思えるものから順々に楽曲として仕上げていっていたんですが、そうではなくてビート感とかテイストやリズムのアイデアを先にメンバーからもらって、そこに自分がメロディーのアイデアを出していくという順序でした。

—全員でパソコンに向かって作っていくというのはそれはそれでものすごい時間がかかりますよね。

いちろー:そうですね、実際に時間短縮できるということは全くないんですが、今までのようにスタジオでアレンジを進めていくのも結局プリプロをすることまで考えるとそれはそれで時間がかかるものではあったので、最終的には同じくらいだったかもしれないですね。以前もレコーディングの直前には最終調整を今回のようにみんなでしていたので、不慣れな作業でもなかったですし。

—構成を作る段階から自宅作業でスタートさせたということですが、実際にやってみて具体的に変わったなと思えたところはどこですか?

いちろー:そもそも僕がいつも作るメロディーとは全く違うものが出てきたのかなと思います。自分はいつもいかにメロディーが気持ちよく入ってくるかってことを重視して作っていて、あとはバンドで歌のないイントロやバックとしての演奏の気持ち良さで組み立てていっていたんですが、今回はいつも感じる気持ち良さは一旦置いといて、リズムとかビートがいかに気持ちよくなれるかをまず重視して作っていたので、曲が派手に展開していくのではなくて淡々と続いていくものになりましたね。
それはずっとみんなが作りたいと思っていた曲の路線ではあったのでそこは叶えられてよかったなというところもありますし、今までとの大きな違いの一つでもあると思いますね。

—確かにそうですよね。僕のイメージする東京カランコロンって展開のインパクトがとっても強かったんですが。

いちろー:新しいことに挑戦したいっていうのはみんな常に思っていたんですが、ここ最近シンプルにしていくということも突き詰めていたのでそこも崩したくはなくて。だからシンプルにしながらも新しいものが作りたいという思いが強かったですね。ただそれってすごく難しくて、追求し続けていったらこういう楽曲ができたという感じです。シンプルと言っても、スリーコードの単純な構成のロックとかアコギと歌しか入ってない曲とかそういうことではなくて、今の自分たちの思うシンプルっていうのはいまはまだ言葉でうまく説明できない部分を形にはできたんじゃないかと思います。

—自分の気持ち良さを一旦置いといて、と言っていましたが、実際に完成したものを聴いてみてどうですか?

いちろー:ドライブという最終的に統一されたテーマとして、車に乗ってる時に聴けるようなものであれば僕たちが目指したものは正解なんじゃないかという一つの道しるべのようなものがあった前提での話なんですが、、、今までは歌が風景を作るという意識で自分の伝えたいことを伝えたいという意味合いがあったんです。でも今回はミックス作業の時にも今までよりも歌のボリュームを下げたりしたりしていて、聴いた時に絵が浮かぶといいなって思っています。耳じゃないところに問いかけるような作品になったなって思うんです。メロディーの綺麗さとかサビの派手さやインパクトで耳に対してのアクションじゃなく、想像力や視覚にアクセスできるようになったなって。

—いい意味で人の曲っていう感覚もありますか?

いちろー:それも正直ありますね。僕はこの曲は本当に客観的に作ったので。ある種、感情移入しすぎないように。みんなが作りたいと思うものに向かっていけるように僕は一歩引いて俯瞰的に進めていったらここなんじゃないかってところに辿りついたような気がしますね。なので歌詞を書くのが大変でした(笑)。歌詞までもが俯瞰というわけにはいかないので。

—完成品を聴いたメンバーの反応はどうでした?

いちろー:まだ直接は何も聞けていないんですが、みんなが各々作りたかったものを構築していけたから満足度は高いんじゃないかなって思いますけどね!せんせいも自信作だって言っていましたし。
僕はまだこの曲がどういう風に聴いた人に伝わっていくのかとか、今までとどのくらい違うのかとかがまだわかってないですね。

—メンバーさんのリアクションも楽しみですね!そしてそのほかの曲たちも同じく今までと一味違ったテイストになってるなという感じですが、アルバム曲の中で特に聞きどころなどありますか??

いちろー:繰り返しにはなってしまうんですが、とにかくシンプルなんだけど新しいものを作るということをテーマにし続けていたので、そこに関しては統一感のあるテーマがしっかり通せてるのではと思っています。あとは自然に音楽に体を委ねられるというか、体での感じ方に反さないような音楽をものすごく意識したので、そこが着地点になっていると思います。
その中で色々な曲を作れたなと思うんです。踊れる曲もあればロックな曲もあるし、何かにジャンルを絞りすぎずにいろんなテイストを取り込んでいけたかなと。
この曲浮いてるなーと思うのは「テルミーワイ」です。
「リトルミスサンシャイン」に関しては今回のドライブしながら聴く音楽というテーマに一番沿えてると思うんですが、そこからアルバムの真ん中にこの「テルミーワイ」が入っていることでしっかりとアルバムの山を作れているんじゃないかなって思ってます。
ただ、今回のミニアルバムはずっと6曲を流れで聴いてもらうというよりも、ループして何回も聴いて欲しいんですよね。曲順はものすごく考え抜いてこの順番に決めたので。
最後の「Blues Driver」という曲の最後にノイズが流れてくるんですが、そのノイズが「リトルミスサンシャイン」の頭にも同じノイズが入っていて、通常の曲間だけじゃなくて最後と最初の曲のつながりも意識して作ったので延々とループして聴けるようにしてあるんです。
山がどこにあるかというと「テルミーワイ」が山で、道でいうと結構険しい道を登っているイメージで、そこからが高スピードで坂を下っていってゴールに着くんだけど、そこからまた国境を超えて新しいドライブが始まっていくような感じですかね。
「リトルミスサンシャイン」で自分たちが目指す青い海に向かって進んでいく意思表示で「Blues Driver」はそれでも自分たちの道は永遠に続くいていくよね、どこかにたどり着いたとしてもまだ終わらないじゃんって。それが天国か地獄かわからないけど、進んでいることに意味があるのであってどこかに到着することが目的ではないなっていうところですね。ドライブと同じように「ループ」というワードは今回の作品のキーワードです。

歌詞に関していうと、「Blues Driver」に「意味があるかは詩が囁く」という歌詞があるんですが、これって最初は「死が囁く」にしてたんです。「意味があるかは詩が囁く」という文でももちろん意図を込めていて、意味があることを表現するのではなくて、表現したものに自分の意味が出るなという気持ちで。でもどこかのゴールに向かって進んでいるんだけどゴールに着くことが目的なんじゃなくて、ゴールに延々向かって進んでいることが結局目的であって、その意味があったかなかったかって死ぬ時にわかるんじゃないっていう意味を込めてるんですよね。それが「意味があるかは死が囁く」という一番最初に書いた歌詞の意味合いになります。このアルバムみたいにいろんな考え方や思いがループしていくっていうのが生きる意味なんじゃないかって結論ですね。

音楽的な話で、曲の中に展開があるんじゃなくてビートがループしてるというのとリンクするんですが、自分たちが延々と進んでいって時間が前にしか進まないことが繰り返されていくことへの賞賛とか苦しみだったりが入っていて、それを隠喩として「ドライブ」というワードで物語を作った感じです。

—今回の後半3曲、圧倒的に言葉数が少ないですよね。

いちろー:後半3曲にまとまったことはたまたまではあるんですが、どちらかというと前半のほうに歌詞が多いのが集まっちゃったなって印象ですかね。このアルバムを作るときに言葉数がそんなに多くなるような作品ではないだろうなと思っていたので。
たまたまとは言いましたけど、「テルミーワイ」が山になっていて、そのあとはアクセルを踏まなくても勝手に進んでいくっていうイメージは本当なので、必要以上に言葉が多くある必要がなかったので自然にこうなったのかもしれないですね。

—歌詞や曲順含めて本当にこうなるべくしてなった作品という感じがしますね。
そして今回のアルバムをもって“ミニアルバム「Melodrive」リリース記念ワンマんツアー2019“が開催されますね。今までとコンセプトから曲調から違った楽曲たちをどういう風にライブに組み込んでいこうと思っていますか?

いちろー:新曲に関してはリリース前からライブでやっていて、その中で今一番課題として感じているのはこの新しい曲たちが今までの楽曲とテイストが違うことを違和感なく過去の既存曲と並べて聴かせられるようにするために、自分たちのライブを演出していかないといけないんだろうなって。決して全部が全部今回のアルバムのような世界観のライブをしたいというわけではなくて、今回の作品には新しいフィールドが詰め込まれているのは間違い無いので、そういう曲も取り込みながらライブ全体としてどういう見せ方ができるかが一番大きな課題だなと思っています。
でもこれは今度のツアーだけではなくて現在進行形で悩みながら試行錯誤しながら作り上げようとしているところではあるので、昔の曲の見せ方も少しずつ変わっていくこともあるかもしれないですがツアーの時までには一つの形を作っていけるんじゃないかなと思っています。課題というと少し硬いですけど、僕らのライブを見てくれる人たちにこういう楽しみ方をしてもらいたいっていう願望なんですよね。気持ち悪いところまで楽しんでもらえればいいかなって思っていた今までとは少し違って、気持ちよく楽しんでもらいたいなっていう気持ちが今すごく強くなっているので。
それをチャンレジするには最適に1枚が出せましたよね、今回。

—今回のアルバム曲がライブに入ってくることによって、普段あんまりやってなかった曲がラインナップに上がってくるなんていうこともあるんですかね?

いちろー:それはもちろんあると思います。逆にいつもやっていたこの曲がハマりが悪いなって思うこともあるでしょうしね。選曲も含めてそういうところもチャンレンジしたくて今作を出したようなもんですからね。そこもとても楽しみです。

—踏まえて、今回のリリースツアーをどんなツアーにしたいですか?

いちろー:お客さんに、自分たちのライブの新しい楽しみ方を見つけてもらえるようなライブツアーにしたいなと思っています。こういう楽しみ方もあるんだなって。
自分たちはそうしてもらえるように全力で向かって行こうと思っているので。

—では今作を聞いてくださる方々にメッセージをお願いします。

いちろー:色々言いましたが、せっかくドライブミュージックをテーマに作ったので、一回騙されたと思って車で聴いてみてください(笑)。いい感じなんじゃないかなって思います。市販されているいろんなアーティストの楽曲を集めたドライブにいいミックスCDとかって、コンセプトが振り切れてるじゃないですか。おしゃれ、とか、四つ打ち、とか。そうじゃない方のドライブミュージックになっているので!景色が流れていく中でこういうのもいいねってなると思うんですよね、気持ちよく聴いてもらえるかなと。景色が見えてれば電車でもいいのかもしれないですね。

—ちなみにどの辺の道路で聴いて欲しいですか?(笑)

いちろー:どの辺がいいですかねー。。。

—先日246を車で走りながら聴いていたんですが、景色も見えないし渋滞してるしでちょっと間違えました(笑)

いちろー:うん、きっと246とか首都高ではないですね(苦笑)。もう少し景色の抜けのいいところですね!空が見えた方がいいなー。色々やってみて欲しいですし、目をつむって聴くだけでも逆に景色が見えてくるんじゃないかなと思うので。

—じゃあ最後になりますが、今回の作品を漢字1文字で表現するとしたらなんでしょうか。

いちろー:「道」ですね。

—ありがとうございます!