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ザ・クロマニヨンズ interview
- SPECIAL -

ザ・クロマニヨンズ interview

ザ・クロマニヨンズの10作目『BIMBOROLL』が完成した。この10年、コンスタントに毎年1作を発表してきたが、何作目であろうと甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)が書く曲は、ロックンロールに初めて出会った時のようにワクワクさせるてくれる。今回も然り。敬愛するザ・フーも落としたクリームパンもご機嫌なロックンロールにしてしまう、彼等の自由さとブレのなさは圧倒的だ。飄々と質問を交わしながら答えていく二人の空気もまた唯一無二。新作からロックンロールの歴史や本質に触れていく彼等ならではのインタビューになった。

(取材・文 今井智子

ーーザ・クロマニヨンズは活動開始から10年が経ちましたね。

甲本 でも、9年も10年も11年も、そんなに変わんないと思うんですけどね。意識の持ちようですかね。気にしない人は全然気にしない。

ーーでも周りはついつい騒ぎたくなる。

甲本 そうなんですよ。こういう取材の度に言われて、そうなのかー、そうだったんだねーって」

ーーそして新作『BIMBOROLL』は10作目になります。

甲本 二桁ですね。

ーーアルバムのタイトルにはどんな意味が?

甲本 ないです。今度のアルバムが『JUNGLE 9』(前作のタイトル)でもいいんですよ。数字でも、何でもいいんです。そのぐらいなの。内容とは関係ないし。でも、こうやってジャケット出来上がってくると、タイトルあったほうが楽しいし、それは、数字だとちょっと味気ないかな。

ーーアルバム・タイトルを考える楽しみもあるわけでしょう? 誰もわかんないよねって思いながら?

甲本 誰もわかんない、自分たちもわかんない。ほんとほんと、だから『JUNGLE 9』でもいいの。信じてくれないんですよ、僕がいくら真面目に答えても。信じてくれないから変なことになるんです。僕は真面目に答えてるんですよ。

ーーいえ信じてますよ。新作『BIMBOROLL』カッコいいですし、ちょっとブリティッシュな感じがしました。

甲本 おお、ブリティッシュな感じ? 僕とマーシーのルーツの中に、ブリティッシュは多めに占めてる感じがする。

ーー曲名が「ピート」(・タウンゼント)で、その曲に「マイ・ジェネレーション」というザ・フーの曲名が入っていたりするし、他の曲でもサウンドがブリティッシュ風だったり。

甲本 僕とマーシーは、ブリティッシュ・ロックを通じてアメリカのブルースに行ったわけだから、そこを通ってるんですよね。ローリング・ストーンズとかビートルズとかがやる黒人音楽が元で、チェス・レーベルとかを知ったし。大きいと思います。ブリティッシュっぽいアレンジは、具体的に何箇所か施してあると思います。「デトマソパンテーラを見た」の面白いアレンジは、絶対イギリス人だと思う。

ーーデトマソパンテーラって、イタリア製のスーパーカーですね。

真島 名前がいいじゃないですか、デトマソパンテーラ。強そうだし。

甲本 我々の世代はみんな、スーパーカーブームで。好きじゃなくても知ってたもんね。

真島 うん。ちょうど僕らが中学生ぐらいのときスーパーカーブームで。

ーーそのスーパーカーを見てパンを落としちゃう歌ですか?

真島 それは、公園でクリームパンを食べようとしたら、包装が固くて、力いっぱい開いたら、パンがこぼれて。砂を払ったんだけど、細かいのが付いてて、やだなと思って水洗いしてたんですよ。ちょっとだけ水出して。

ーーパン、水で洗いますか?

甲本 あれね、表面すこーしオイルコーティングしてるから。

真島 ちょっとテラっとしてるじゃないですか菓子パンて。

甲本 蒸しパンはだめだね。

真島 そうだね。

甲本 クリームパンでよかったね」

ーーその後そのパンは食べたんでしょうか

真島 もちろん!

ーー「ナイアガラ」も真島さんの曲ですけど、メロディとコーラスが綺麗ですね。

真島 ええ(笑)メジャーセブン・コード使ってますから、おしゃれな(笑)

甲本 ナイアガラのデカさって、みんなデカいっていうけど、実際見た人の、デカいっていうのと、見ないでイメージで語るデカいは、全然違うよ。

甲本 見た方がいいよ。

真島 驚愕の大きさだよ(笑)

甲本 デカいっていうレベルじゃないもんね。

ーー(笑)見てみたいです。「誰がために」はギターのカッティングがウィルコ・ジョンソンみたいでかっこいいですね。

甲本 やっぱブリティッシュの人って、ブルースベースなんですよね。

ーーこの曲は哲学的な歌詞にも思えますが。

甲本 学校サボってる歌ですからね。学校サボって漫画読んでる。

ーー後半にはアルコール類が出てきますよ。

甲本 。時間軸がおかしいですね。気づかなかった(笑)

ーー「モーリー・モーリー」は、いろんなことが”つもり”でできる歌でしょうか。

甲本 や、つもりなんですよ、全て。僕、100%食べたと思ってるんですけどね、昨日の晩飯。でもそうじゃないかもしれない。今ここにいるつもりなんですけど、いないかもしれない。

ーーそれもまた哲学的にも思えます。最後の「大体そう」は真島さんですけど、たいていの日には何もないっていう歌で、達観でしょうか。

真島 普通に暮らしていれば、たいてい何もないですよ。そんなに面白エピソードはないですよ、毎日毎日。ふふっ。

甲本 カツジ(桐田勝治 :Ds)と一緒にいたら、毎日何かありそうだな。

真島 面白エピソード?(笑)

甲本 なんか面白いんだよな(笑)

ーーそうなんですか?ベースのコビー(小林勝)さんは?

甲本 コビーも面白いんだけど、コビーはカツジの面白さを、一緒に楽しんでくれる仲間っていう感じ。

ーーところで「ペテン師ロック」が先行シングルになったのは?

甲本 まあなんとなく、いつもように。どの曲もシングルでいいと思うんですよ、毎回。全部シングルでいいんだけどなあって。

ーー1950年代頃は、シングルをコンパイルしてアルバムにするのが普通だったんですよね。

甲本 僕らも1曲ずつセパレートで作っていて、アルバム用に作った曲ってないんですよ。普通に作ってる曲を寄せ集めたわけだから、それをその時録音して出せばシングル。それを寄せ集めたということなんですよ。だから、シングルは特にこの曲じゃなきゃだめとか、アルバム用とかないんです。

ーーピンク・フロイドのようなコンセプト・アルバムとかではない?

甲本 ないです。コンセプト・アルバムの面白さもあるだろうけど、僕らの今回のアルバムは違うし、今までも違った。

ーー曲は、日記みたいに書いてたりするんですか?

甲本 よく聞かれるんですけど、ほんとに、浮かんだ時にちょこちょこっとやるぐらいで。そんなに真面目に、なんかこう、曲を書き貯めよう!とかそういうの、僕はないです。

ーーアルバムを11月2日にリリースして、17日からツアーがスタートしますね。新曲を聴くのが楽しみです。

甲本 毎回、ここんとこのツアーでは、ニューアルバムを全曲演奏してるので、次もそれに近い感じになると思います。全曲やるか、ほとんどやるか。でも新作中心になると思います。