このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

ラックライフ interview
- SPECIAL -

ラックライフ interview

「なんでもない日常の積み重ねが今を作る。その今こそが最高なんだ」

10年を尊く振り返るよりも今と未来を見据えて進んでいくというVo.PONの強い意思と、誰にでもある日常を大切に切り取った言葉たちがたくさん詰まった「アルバム」という言葉がぴったりなセカンドフルアルバム「Dear days」。

結成10周年という節目にリリースされる今作について語ってもらいました。

Talking Partner : TATSUKI

ーまずはメジャーセカンドフルアルバム「Dear days」のリリースおめでとうございます!


PON:ありがとうございます!

——前回インタビューさせて頂いたときにも少しお話ししましたが、ものすごいハイペースでのリリースになっていますよね!





PON:そうですね!たまらないですね(笑)記憶がないですね。気づいたら夏やったみたいな(笑)

——結成10年の節目のアルバムリリースになりますが、タイトルの「Dear days」という言葉に直結する思いはどの様なものですか?

PON:10年経ったからって気持ちだけではなく、振り返ってみたらいろんなことがあった10年間だったけど、3650日あったうちの9割くらいは普通の日やったと思うんです。少なくとも9年分は。普通の日があるからこそこれだけ積み重ねてこれたんだろうなと思うんです。人生のハイライトシーンには残らないとても小さな何でもない日々が素敵だったんだなって。いつも通りご飯食べて“あ、おいしいなー”って言える日があったり、うまくいかない日があったり、そういう1日1日をとても愛おしく思えたんですよね。
なんとなく思い出したのが、「不思議の国のアリス」の中に「なんでもない日おめでとう」ってフレーズがあるんですけど、それをタイトルにしたいくらいしっくりくるフレーズでしたね。前回のツアータイトルに「生きてるだけで丸儲け」ってつける位ですからね(笑)。
きっとこれまでもこれからもこういう日々が続いていくんだろうなって思いで「Dear days」っていうタイトルをつけました。

——10周年というのが振り返るきっかけになったんですね。そういう曲たちがアルバム曲として出揃ったってことですよね。

PON:そうですね。あんまり狙って作れるタイプじゃないので考えすぎない様にはしましたけどね。なんでもない日にその時感じたことを曲にしたので、このアルバムの曲たちを作っている日々そのものがいつも通りの日常で「Dear days」そのものなんだと思うんです。なんでもない日を振り返ったから自然に生まれてきた曲たちですね。

ー早速、収録曲について聞かせていただきたいんですが、今回のリード曲「走って」について聞かせてください。

PON:走ってますねー!これは!アルバムのリード曲のテーマってとっても大事だと思うんです。それを考えたときに、10年間で一番大事なことを歌おうと思ったんです。自分たちが音楽を人生の真ん中に置いて生きてきていて
その中で自分たちが好きなこと、大事にしたいものってなんだろうなって考えたら僕にとってそれは「ライブ」で。
くじけそうな時もその日を思って立て直したり、そういうことを10年やって来て、その10年で出会ったものすごくたくさんの人たち1人1人にしっかり届いたらいいなって思ったんですよね。
ライブハウスに機材車で向かうことは僕らにとっては日常だけど、みんなにとってはスペシャルなことで、その先で待っていてくれる人たちとちゃんと向かい合って生きていたいっていうことがど真ん中にあるんです。
ただ、ライブハウスになかなか来られない人たちもいるし、僕らもなかなか行けていない土地もありますしね。それでもちゃんと届いたらいいなって。届いたらいいなって思いすぎて、こんなに歌詞書いたはずなのに、「とりあえずそれだけが君に届けばいいや」って1曲目で言っちゃったーって(笑)
最終的に行きつくところなんでしょうね。僕らを見つけてくれてありがとうね、嬉しいよ。って。10年走って来て一番最初に思い浮かぶことですね。

—きっとPONくんって10年前もこういう気持ちで歌って音楽やってたんだろうなって思いました。

PON:僕らの強みってそこだと思うんですよね。根っこは何にも変わってないという。今回本間さん(本間昭光氏)がプロデューサーとして入ってくださって、サウンドがとても華やかになったし、自分たちとはまた違う引き出しを開いてもらったんですが、そんな歌でもこういうことを歌うのが僕らかなって。
これだけ素敵なプロデューサーさんに関わってもらったら、普通もっと売れそうな歌詞の歌を歌うじゃないですか(笑)。今回それをしなかったのは、ラックライフの芯というか、人間がちゃんとバンドをやっているんだなって感覚を改めて信じられるし、この自分たちの自由さを認めて許してもらえるなんて、本当にいいチームなんだなとも思いました。

ー本間さんとサウンドメイクをしてみて、印象的な部分はありました?

PON:まずは、いろんな楽器のフレーズを考えてもらったり、アレンジを丸っと預けさせてもらったんです。戻って来た曲がものすごい変貌を遂げていてびっくりしたんですが、すぐさまそれを分析するんですよ、なぜここはこう聞こえるのかって(笑)。そういうのやってたら音楽が純粋に面白いなーって思えたんですよね。
それこそコード進行だったりも、僕らにとっては好きだったり鉄板のコード進行があったりするんですが、それを覆される場面がとても多くて、すごく勉強にもなりましたし面白かったですね。

—それでもラックライフらしさが欠けないですね。

PON:そうですね、それが強みとも思っているんですが、今回は本間さんも自分たちのライブを見に来てくれてどういう空気感でお客さんとどういう風に向き合っているのかを感じてもらって、「ラックライフ」らしさを理解してくださっていたのもありましたね。
あとは4人で音を出せばこの4人の音になるよねっていうのもやっぱりありますね。

—なるほど!ありがとうございます!そして、アルバム曲についてもいくつか伺わせてください。まず2曲目「おまじない」について聞かせてください。

PON:強がる感じが出したかったんです。ひねくれた視点というか、腹のなかで「うるさいなー」「言われなくてもわかってるし!」みたいに思う気持ちあるじゃないですか!でも、自分だから見えてない部分も多々あるだろうなとも思うから「くっそー」っていうもどかしい悔しさみたいな曲ですね。

—7曲に1曲くらいPON君のその感じたまに出て来ますよね(笑)人に何か言われるのは好きじゃないんですか?

PON:嫌いですね(笑)言い合うならちゃんとした関係性で話したいですよね。
ただ、今の時代って言いたいことがサクッと言えて本人にまで届いたりもするじゃないですか。それが自分が自分で見えてない部分だったり気にしてることだったりすると「もうわかったからそれ以上言わないでー!」って余計にうわーってなって曲にしちゃいますね(笑)
自分らしい曲だなって思います。「ガンガン行こうぜ」って本当に言えないタイプなんですよ。自分を守りたがるというか、傷つきたくないから。ここから先に行ったら大失敗してしまうっていう線を引くんですよね。昔から保険に入るタイプなんですけど、それを情けないと思いながらも、ガンガン突破していく人の姿をただ見ているというか。

——世代もあるのかもしれないですね。僕の世代にしてみれば、PON君世代の人たちは本当に頭がいいなって思いますよ!先の先まで見えてるし、冷静に物事を見据えてるし。

PON:世代の感じありますよね。先輩方は無鉄砲に豪快に行くイメージありますし。何がどうなってこうなったんだろう(笑)

—そして3曲目の「Over」。

PON:この歳になると人の死に直面することが増えるじゃないですか。すごく身近な人の大切な人が亡くなってその子が悲しんでいてっていうのもあるし。
前に、和菓子が嫌いな友人がおはぎを食べていたんですよ。不思議に思って「なんで食べてるの?」って聞いたら、「今日はじいちゃんの一周忌で、じいちゃんがおはぎ大好きだったからなんとなく食べてるんだよね」って言ってたんです。なんかすごく素敵なことだなって思ったんですよね。思い出したり、その人が好きだったものを食べてみることとか、そういうのってちゃんと残っていくものなんだなって。
僕は何かあった時にその時に曲を書くようにしてたんですが、しばらく時間が経つと、後悔の方が思い出す回数が多いんですよね。もっとお見舞い行けばよかったなーとか会いに行けばよかったなーとか。なんでそっちの方が多いんだろうって思うんですよね、相手は全然気にしてないと思うんですけどね(笑)
前にも歌にしたけど、もう一回歌にして、きっとこれからも思い出すたびに曲にして行くんだろうなって思いながら作りました。

—過去作「君の匂い」にもそういう気持ちが描かれていましたもんね。

PON:そうですね。こういう曲を聴いた時に、ちゃんと楽しいことまで思い出してもらえるといいなって思うんですよね。ほっこりできたらいいな。

—そして9曲目「夕焼け小道」。

PON :でましたね!これは10年前の曲ですね。ラックライフとしての1曲目としてデモCDに収録した曲なんです。この曲をきっかけにたくさんの人に出会って、本当にずっとライブでやって来ましたね。
内容は普通のラブソングなんですが、若すぎるが故に恥ずかしさもあるんですが、やっぱりこれが今でも理想だなと思える曲でもあります。
僕、ラブソングを作るのも歌うのも苦手なんです。でもこの曲をこんなに歌い続けてこれたのは、手を繋ぐだけなら誰とでもできるやんって思いで、ライブハウスで出会った人たちとずっと手を繋いでいけたらいいなっていう部分を重ねて歌うことができたからだと思ってます。
おじいちゃん、おばあちゃんになっても、この日のことを思い出しながら話せたらいいなって。
本当に大切にして来た曲です。

—10年前の作品を今回の作品に収録してみて、今のPON君が作った新しい楽曲たちと並んでるのをみて、どうですか?

PON :やっぱり印象が強いなって思いました。振り切れてるし、メロディーの突き抜け方が本当にすごいなって思えました。天才かなって(笑)気持ちよく音楽をやっているなっていうのをすぐに感じました。

—歌詞についてはどうですか?

PON :うん、、、成長してないなー俺って思いましたね(笑)

—「今も想いはあの時のまま!」ってことですよね?(笑)

PON :よく言えばそうですね(笑)。成長してないなーってネガティブに聞こえるかもしれないですが、でもだからこそ10年経った今でも胸張って堂々と歌えるんだと思うんですよね。それがラックライフの強みでもあると思うし。

—12曲目「その手とこの手」

PON :5年前くらいにラックライフ主催でオムニバスCDを作ったことがあったんですが、そこに収録していた曲ですね。作ったきっかけは友達のバンドマンが失踪してしまった時に書いた曲だったんです。本当に仲良くさせてもらっていたバンドで、一緒にツアーに行くことになっていて、九州での1発目のライブの日にいなくなっちゃって。
心の底から信頼しているボーカリストがいなくなってしまったっていうのはすごくショックで、曲にしました。
これ別れの歌なんです。間違ったことをしてしまっても戻って来てもいいよ、やり直していいよっていう歌なんです。しばらくしたらきっと今まで通りの関係に戻れるから、頼むから帰ってきてくれ!っていう気持ちが乗ってるんです。
でも、今は全然違う気持ちでやってるんですよ。
というのも、失踪した彼が戻ってきた時に、カムバックライブをやったんですよ。そのライブでこの曲を本人の前で歌った時に、この曲は完成したと思えたので、それをきっかけに別れの歌として歌うのは最初で最後にしました。今目の前にある出会いを思って歌う方がこの曲のためだし、自分自身そうやっていきていきたいなって思ったんですよね。

この曲を今回のアルバムに収録することを発表したら、彼はこの曲について SNSでコメントをつぶやいていましたね(笑)

—なるほど、この曲もとっても大切な曲なんですね。そして今作最後の曲「ソレ」について聞かせてください。

PON : この曲が一番最後にできた曲ですね。「走って」ではライブをしに行ったり届けることについて書いているんですが、この曲は自分が「生み出す」ことを歌にしようと思ったのがきっかけなんです。「走って」と「ソレ」という自分の音楽に対する考え方を描いた2曲でこのアルバムをサンドイッチしてる感じです。
自分の中で好きな曲ができたなって思えていますね。僕そのものだなって。
曲を作る上で大事なことって心を乗せること、自分に嘘はつかない、綺麗事を言わないということだなって思ってるんですよね。空想でも書けるんでしょうけど、それでは自分が楽しめないんですよね、きっと。
だから、自分の思ってることだけを歌にするんだよっていうことを10周年のアルバムの最後に言おうと思って歌詞も曲順もこうなりました。

—本当に意味のある14曲目になったんですね。

PON : この曲が最後だなんてメンバーは思ってなかったと思うんですが、ここは僕のこだわりとして貫かせてもらいました。

—そんな14曲入りのアルバムですね。もの凄いボリュームですね。PON君は人生で何曲作って来てるんですか??

PON : それがまた面白いことに、ラックライフになって初めて作った曲が「夕焼け小道」なんですよ。そしてちょうど100曲目が「走って」だったんですよ。こんな偶然あるかなって思いましたね(笑)

—そうなんですね!!そういう意味でもラックライフの歴史が詰まった一枚になってるんですね!
そしてこのアルバムを引っさげて、10周年アニーバーサリーツアーが開催されますね!意気込みを聞かせてください!

PON :クアトロツアーってかっこいいなっていうのがあって、今回はクアトロを廻らせてもらうことにしたんです。そして他の土地も規模感を一つ上げてやってみようというツアーですね。せっかく10周年だから懐かしい曲も歌いたいとも思ってるんですが、とにかくその瞬間の話を大事にしたいなっていうのはありますね。昔何があろうが、いつ出会おうが、いま一緒にいられることが最高だと思うので、そういう気持ちを大切にして歌いたいなと思います。

—今回の作品を手に取ってくれる方々へメッセージをお願いします!

PON :10年間いろんなことがありましたけど、いま一緒に居られることが一番大事で、これからのことを大切にしていきたいと思っているので、気を張らずに聴いていただけたらなと思っています。たくさんの人に届けばいいなって。

—そして最後にいつものやつを聞かせて欲しいんですが、今回の作品をあえて漢字1文字で表すならなんですか?

PON :「今」です!何度もいうんですが、結局やっぱり今なんですよね。10年走ろうが100年走ろうが、結局今が全てだなということを強く思ったので。
最先端が今で、いろんな日々を乗り超えて来た自分が詰まった作品なので!

—ありがとうございました!これからも応援させていただきます!